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アップセルのひよこと卵:カスタマーサクセスから始めるアップセル予兆の管理方法

こんにちは、金木です!

カミナシに入社して3年弱が経ち、当初4名だったカスタマーサクセスチームは現在20名を超えました。

この記事では、約2年前に運用がスタートし、現在も継続している、
「カスタマーサクセスを起点としたアップセル予兆の管理方法」についてお伝えします!

この記事はこんな方におすすめです!

・スタートアップ初期フェーズで、まずはお客様のアップセル予兆を検知し、管理を始めたい という方
・お客様のアップセル予兆を、カスタマーサクセス起点でセールスに共有したい方
・カスタマーサクセス起点のアップセル管理を試みたが、うまく浸透しなかった方


1.はじめに

なぜアップセルが大切なのか?

すごく当たり前のことを書いて恐縮ですが、
アップセルは、プロダクト提供企業にとって売上を生み出す重要な要素です。
※カミナシのアップセルは、ユーザー数追加・プランアップの大きく二つになります。

お客様の立場から見たときも、課題解決に向けて適切なユーザー数とプランであることは重要です。

必要十分なユーザー数でないと、プロダクトの影響範囲が限定されてしまいます。
また、必要十分なプランでなければ、お客様の叶えたいことを叶えることができず、
結果として両社にとって大きな機会損失につながります。

カスタマーサクセスを起点とした「アップセル予兆の管理」を導入した背景

アップセルの予兆の管理を導入する前は、
「ユーザー数を増やしたいです」「プランアップをしたいです」とお客様起点でアップセルが生まれることが殆どでした。

これ自体は大変ありがたいことで、感謝しかありません。
ただ、もっともっと早くにお客様のニーズやプラン変更の兆候を捉え、最適なタイミングでセールスがアプローチすることで、
「お客様の課題解決の早期化」と「プロダクト提供価値の最大化」を測れないかと思い、仕組みを考え始めました。

2.仕組みの概要

アップセル予兆の管理する上で

B2Bセールスプロセスにおけるアップセル受注までのステージ管理法は、
企業や業界により異なりますが、一般的には「パイプライン管理」「ヨミ管理」が使用されていると思います。

例えば、私が以前いた会社では、各商談の予測精度(確度)を分類し、受注見込みを「ヨミ」で管理する手法でした。
ただ、ヨミの概念がチーム間・メンバー間で異なることがあり、正しいヨミの定義について論争が勃発することがありました。笑

上記のような概念はセールスには向いているかもしれませんが、
カミナシのカスタマーサクセスメンバーは、セールス経験のないメンバーも多くいた為、
このような手法を用いたところで、運用浸透がしづらく、形骸化することが目に見えていました。

そこで、生み出したのは「アップセルのひよこと卵」という概念でした。

アップセルのひよこと卵の概念

アップセルのひよこと卵と聞いて「何それ🤷‍♀️」と思われた方もいると思うので、簡単に概念をお伝えすると・・・

ひよこ🐣 
ユーザー追加・プランアップしたいタイミングが決まっている
卵🥚 
ユーザー追加・プランアップをしたいが、まだタイミングが決まっていない

このような意味合いを持たせました。

ひよこの例:
「今使用しているユーザー数では足りなくなりそうだから、◯月頃からユーザー増やそうと考えている」と言われた。

卵の例:
「今使用している現場で運用がうまくいったら、いつかは他拠点でも活用範囲を広げたい」と言われた。

この概念を用いたのは、「ひよこ」「卵」は感覚的にフェーズアップがわかりやすく、わかりやすい言葉のため社内浸透しそうと考えたためです。
また、「卵」を「ひよこ」に温めて孵化させることは、
カスタマーサクセス・セールスもお客様を大切にフォローし続けて、次のステージへ進む意味合いとマッチしていると思ったためです。

3. 実際の運用 

Slackフォームとスプレッドシートを使った共有と管理

簡単にはなりますが、システム面で実装した仕組みは以下となります。

1.専用のチャネルでSlackでワークフロー立ち上げる

2.必要事項を情報入力する

3.Slackに入力した情報が通知され、担当Salesに情報連携されます。

4.スプレッドシートにデータが反映されます。

上記の写真のように、フォームに投稿した情報が、スプレッドシートの予兆一覧に蓄積されていきます。

データを蓄積させることができると、そのデータを元にグラフを作成し、視覚的に状況をわかりやすくすることができます。
また、別のスプレッドシートシートにImportrange関数で同データを出すことで、投稿されたひよこ・卵に対して、コメントや進捗状況を入力していくことも可能になります。

今回設定に関して詳しい内容は割愛しますが、以下のチュートリアルを参考に設定しました。
自動化 : 簡単なフォームを使用して情報を収集する

4.運用の結果と改善点

運用の結果_数値変化

なんと、運用開始から約2年で、数百件以上の「ひよこ」や「卵」が、
セールスやカスタマーセールス(以下、CSales)に共有されました!

特に、アップセルの予兆管理する上で重要なのは、
「卵の数をいかに把握し、共有するか」ということですが、
共有の内訳を見ると半分は「卵」の共有でした!

運用の結果_その他の変化

これまでのSlackスレッドでやり取りするようなフロー型の情報共有ではなく、ストック型の情報蓄積に変わり、CS・セールス双方での管理がしやすくなりました。

また、仕組み導入後は、ほんのわずかなお客様の予兆でも、
その予兆を捉えた瞬間にいち早く、簡単にセールスに情報共有できるようになりました。
その結果として、CSとセールスのやり取りが活発になり、ユーザー追加やプランアップのフォロータイミングの早期化にも繋がったと感じられます。

(時に「たまひよ」「孵化」「卵を大切に温めてひよこにしよう🔥」といった派生する言葉を使うメンバーも現れました。仕組みを産んだもの冥利に尽きます)

運用をしばらくして出た改善点

カスタマーサクセスの入力する習慣がつき、つぶさに共有できるようになった事は良いのですが・・・
組織規模が100名を超える程大きくなり、セールスではなくCSalesが専任でアップセルのフォローをする今、共有する際の粒度や管理手法のアップデートを図る必要性が出てきました・・・!

5.今後の展望

現在、CSメンバーの雁部さん宿利さんがアップセルの予兆の仕組みは引き継ぎ、CSalesと密に連携を行い、現在の組織にあった形で仕組みをアップデートを行なってくれています🔥🔥

今後どのようにアップデートされるのかがとても楽しみです!

6.最後に

お読みいただいている方の組織規模や職歴、社内の風土によって、アップセルの適切な管理方法は異なると思います。

アップセルを管理したいけど何からやったらわからない、
そんなスタートアップ組織初期フェーズの方が「まずはお客様の予兆を検知し、共有と管理を始める」という点で役立つ仕組みとなります。

よろしければ、ご参考にしていただけますと幸いです。


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