弁護士 佐野綾子/ Atty. SANO Ayako

弁護士(第二東京弁護士会) バレエファン(観る+踊る)の法律家の視点でバレエの世界につ…

弁護士 佐野綾子/ Atty. SANO Ayako

弁護士(第二東京弁護士会) バレエファン(観る+踊る)の法律家の視点でバレエの世界についての雑感をまとめていきます。バレエ関連の裁判例や著作権法の解説に限らず、バレエ教室の運営やバレエダンサーに必要な法律知識などいろんな切り口でバレエ関係の話題を提供したいと思います。

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自己紹介/ Profile

弁護士(第二東京弁護士会) Attorney at Law, admitted in Japan (Daini Tokyo Bar Association)

    • 指導者がバレエ・レッスン中のけがの賠償責任を負うことはあるか~生徒同士が衝突した場合~

      1.はじめに2022年にバレエ安全指導者資格のティーチャーズコースで法律入門の講義を2度担当しましたが、2023年上半期(第5期)はベーシックコースで講義を担当することになりました。より多くの方に法的な問題意識をお伝えしやすくなるものと期待しています。 そんな折り、このようなブログを読みました。初心者なのに中級クラスに参加し、センターレッスンで立ち往生して他の生徒の進路妨害や衝突の危険をもたらしてしまう生徒に指導者として向き合ったときのご苦労などが綴られています。 【ひ

      • 生徒のプライバシーや安全を尊重できていますか?

        1.はじめに最近、気になるつぶやきを見つけました。 私は、このつぶやきで言及されているバレエの「先生」のInstagramアカウントを把握していません。実際に投稿されている写真・動画も確認できておらず、その教室や先生の名前もわかりません。 ただ、以下のような状況であろうと推測できますので、今回は、このような投稿をしている教室があると仮定して、その法的な問題点と留意点を検討します。 アカウント:バレエ教室またはその教室のバレエ講師の実名アカウント。宣伝目的で運

        • バレエ指導者のための法律入門講座

          先日(2022年4月24日)、バレエ安全指導者資格ティーチャーズコース第2期において、「指導者のための法律入門ー主として損害賠償責任の観点からー」と題する講義を行いました。 以前の投稿でも触れましたが、一口に法律問題といっても多岐にわたります。ですが、今回の資格のコンセプトが安全・安心・健康なので、ここはやはり、不適切な指導のために生徒の安全や健康が損なわれた場合の法的責任、ずばり損害賠償責任を中心に扱うのが良いだろうと思い、それをメインテーマにしました。 正直なところ、

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          フィギュアスケートの振付けの著作物性

          1.はじめにいよいよ冬季オリンピックの開幕が目前に迫りました。メディアでは連日、羽生選手をはじめとしたメダル候補の選手の動向が報道され、フィギュアスケートへの注目度の高さが感じられます。 そこで今回は、フィギュアスケートの振付けが著作物となりうるのか(著作物性)について、フィギュアスケートとバレエの振付けの異同を考慮しつつ、検討してみます。 バレエその他のダンスの振付けが著作物になりうることは論を俟たないですが(以前の投稿をご一読いただけると幸いです。)、フィギュアスケー

          フィギュアスケートの振付けの著作物性

          バレエ指導者向けの法律講義

          はじめに 今春開講されるバレエ安全指導者資格のティーチャーズコース(第2期)で法律の講義を担当することになりました。そこで、今回は、バレエ安全指導者資格と、私の担当する講義のテーマについて、簡単にご紹介したいと思います。 バレエ安全指導者資格とはバレエ安全指導者資格は、2021年に発足した新しい資格です。詳細は運営団体(セーフダンスアソシエーション)のウェブサイトをご覧ください。 バレエの資格というと、もっぱらバレエの技能や教授法を学ぶことをイメージされると思いますが、本

          バレエ指導者向けの法律講義

          Lawsuit for Unauthorized Performances of Béjart's Works in 1990’s Japan

          This is a translation of my post from October 18, 2021. However, the contents are slightly different from the original Japanese version. 1. IntroductionFrom October 9 to 17, 2021, the ballet company Béjart Ballet Lausanne visited Japan for

          Lawsuit for Unauthorized Performances of Béjart's Works in 1990’s Japan

          バレエの振付けの著作物性

          1.今回のテーマ 今回は、バレエの振付けの著作物性について検討します。 ダンス(バレエを含む)の振付けは、一定の要素を満たすと「著作物」に該当します(著作権法2条1項1号、以下、著作権法の条文を紹介するときは単に「法」といいます。)。そして、振付家(著作者、法2条1項2号)は、その作品について著作権及び著作者人格権を享有します(法17条1項)。著作権及び著作者人格権の享有にあたっては、いかなる方式(出願や登録等)も要しません(法17条2項)。 本稿では、まず、作品が著作物

          バレエの振付けの著作物性

          ベジャール作品が日本で無許諾上演されたときのこと

          1. はじめに2021年10月9日~17日、モーリス・ベジャール・バレエ団が4年ぶりに来日し、ベジャールの作品を中心としたプログラムを披露しました。 17 October 2021 The end of japan tour 私は残念ながら今回の公演を観に行けませんでしたが、公演を観た人達の感想がSNSにたくさん流れてきて、ベジャール作品の色あせぬ人気と魅力を感じさせてくれます。 そこで、初回はベジャールにちなみ、ベジャールが1996年に日本で提起した裁判(東京地方裁判

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