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何気ない日常に潜む

なにげない、いつもと変わらない朝だった。
子どもたちを送り出した後、携帯のメール通知を見て、目を見開いた。
昨晩起きた事件について、今朝の登校時は見回りを強化します。
昨晩?事件?

とっさに、検索した。
便利な時代だ。知りたい情報にすぐアクセスできる。
出てきたのは、となりの1丁目で起きた殺人事件。私たちが寝ていた時間だ。
殺された人は、来客の応対に玄関に出て、血まみれでリビングに戻って生き絶えた。
子どもが、なんで?と叫ぶ。奥さんは夫の姿に訳が分からず、混乱しながらも気丈に救急車を呼んだ。
惨状が浮かぶ。
日常は、日々の続き。でもこんなことが起こるなんてだれが想像しただろうか。

犯人はすぐに捕まった。でも、動機はまだ分からない。
どうしてそんなことをしたのか。
人を殺すなんてよほどの理由のはずでしょう?

けれど犯人は言った。
「チャイムを鳴らして、出てきた人がいたら刺そうと思った」

日常に狂気は潜む。
平常と狂気の間で、
私たちはたまたま息をしているだけ。

そう思い知らされるようなできごとだった。

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