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《世界史》南北戦争

こんにちは。
Ayaです。
アメリカ史第2回の今日はリンカーンと南北戦争についてとりあげます。

エイブラハム・リンカーン(1809~1865)

エイブラハム・リンカーンは1809年アメリカ合衆国ケンタッキー州に生まれました。彼の名前は祖父に由来しますが、父が幼いころ目の前で先住民族に殺されるという暗い過去がありました。父は無学ながらも農場を経営していましたが、その権利証書が偽造によるものと分かり無一文になり、一家はインディアナ州に移ります。リンカーンの実母は若くしてなくなり、父は再婚しました。リンカーンとこの継母との関係は良好で、彼女に本を与えてもらっていたという逸話が残っています。学問を好むリンカーンでしたが、彼の父にとって「なまけもの」でしかなく、リンカーンも閉鎖的な田園社会を嫌うようになっていきます。
22歳になったリンカーンは独立し、イリノイ州にわたります。船の荷役をして働いていましたが、このとき黒人奴隷の売買を見聞きした可能性があります。次第に政治活動に関わるようになる一方、1836年弁護士資格を獲得します。名門出のメアリー・トッドと出会い、1842年結婚します。メアリーは社交界の華として知られていた女性でしたが、浪費癖がありました。そのうえ息子たちを若くして亡くしてしまったため、ヒステリー症状に苦しめられます。妻のヒステリーに苦しめられながら、リンカーンは弁護士活動と政治活動に勤しみます。

リンカーンの妻 メアリー
息子4人のうち3人を亡くしたため、ヒステリー症状に苦しめられる。目の前で夫が暗殺され、さらに不安定になり、長男により精神病院に入院されられる。


1846年には下院議員に当選しますが、米墨戦争に反対したため支持を失い、下野。弁護士活動にもどりますが、政治活動も精力的に行い、1854年には奴隷制度反対演説を行い、大統領に就任するまで継続します。
この頃、黒人にアメリカ市民権を認めないとする最高裁判決が出るなど、アメリカ社会的にも奴隷制度に対する関心が高まっていました。当初共和党の大統領候補には別人が立てられていましたがリンカーンに人気が集まり、1860年大統領に選出されました。リンカーンは奴隷は個人の私有財産なので奴隷制度廃止を声高に訴えることはありませんでしたが、奴隷制度の継続を求めるアメリカ南部が連邦脱退を決めます。自由州と奴隷州をわけるミズーリ協定の拡大でリンカーンは手を打とうとしますが、南部側が拒否。南部各州は次々と連邦脱退を宣言し、翌年アメリカ連合国の成立を宣言します。ついにアメリカは内乱に突入したのです。

南北戦争(1861〜1865)

アメリカ連合国に参加したのはサウスカロナイナ州・ミシシッピ州・フロリダ州・アラバマ州・ジョージア州・ルイジアナ州・テキサス州で、暫定大統領としてジェファーソン・デイヴィスが就任しました。奴隷制度の継続を支持する南部は否定的に取られがちです。しかし、彼らとしては奴隷たちに頼らざるおえない事情がありました。南部は大規模なプランテーションが多く、その運営には奴隷たちが欠かせませんでした。一方で北部は工業化が発達して、奴隷制度への嫌悪が広がっていたのです。北部と南部の違いは戦いのなかでも顕著にあらわれました。南部はあくまで合衆国の一部であって、北部との人口差が激しく、50歳まで徴兵年齢をあげても兵士が増加しませんでした。司令官リー将軍がゲティスバーグの戦いで奮戦しましたが、兵力の劣る南部軍にとって2万人の戦死者のダメージは強く、結局南部は敗北してしまいます。

南部軍の指揮官 リー将軍
アメリカ史上屈指の司令官とされる

辛くも勝利を収めたリンカーンはゲティスバーグ演説の『人民による人民のための政治』を実現させようとしました。
しかし、1865年観劇中背後から撃たれ、暗殺されます。享年56歳。
彼の理想・奴隷解放は果たされましたが、特に南部では黒人に対する差別が横行していました。この解決には1960年代の公民権運動まで待たなければなりません。

南北戦争を描いた作品として有名なのは、マーガレット・ミッチェル著の『風と共にさりぬ』でしょう。1939年公開の映画では、主人公スカーレットをヴィヴィアン・リー、相手役レッド・バトラーをクラーク・ゲーブルが演じ、ハリウッド史上屈指の大ヒットとなりました。

映画『風と共に去りぬ』
日本では公開時検閲のため上映されなかったが、密かに鑑賞した者もいた。彼らは『こんな映画を作るアメリカに勝てるわけない』と思ったという。

しかし、2020年動画サイトが『黒人差別を美化している』として『風と共に去りぬ』の配信を停止しました。たしかに舞台が南部ということで、主人公スカーレットの乳母をはじめ、多くの黒人奴隷たちが登場します。しかし、それを『黒人差別を美化』として配信を停止してしまうのは、『黒人奴隷の歴史』を見ないようにしてしまうのと一緒ではないでしょうか。

アメリカ史第2回『南北戦争』はこれでおしまいです。近年は『マイ・フェア・レディ』もアメリカに舞台を置き換えて黒人女性を設定することがあるそうです。たしかに多様性を認めるという意味でいいでしょうが、原作の良さが損なわれる改変もあるのでなんだかなという感じです。
次回は『ニューディール政策と原爆』について取り上げます。

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