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オレンジの砂浜で出会った言葉

今まで生きてきた中で、ものの見方や考え方を変えられた言葉との出会いがいくつもある。

その中の1つ、私が海外での生活を始めた頃、英語が苦手だった私を勇気づけてくれた言葉がある。

海外生活も長くなってきた今でも、別に自信満々に英語が話せる訳でもないけれど、こっちに来たばかりの頃の私は、人と会話をするときにいつも不安を感じていた。

こんなぐちゃぐちゃな文法で、こんな日本語訛りの英語で、私の言っていることは果たして相手に伝わっているだろうか、と。


そんなある日、夕日を見ようと沢山の人が集まっていた砂浜で、1人の女の子に出会った。

その子はカナダの北東にあるケベックという地域で生まれ育ち、そこから1人で旅をし、ここ、カナダの西海岸にあるバンクーバーにきていた。

ケベックではほとんどの人が英語ではなくフランス語を話すため、その女の子もまた、訛りのある英語を話していた。

いつも通り、なんだか弱々しく自信なさげに話す私とは違って、彼女はとても明るく、堂々としていてなんだかキラキラして見えた。

綺麗な夕日を見ながらその女の子と私の友達と私で会話は自然と和やかに続いた。

彼女は彼女の故郷ケベックの話や、旅の話など色々を話してくれた。

そしてこんな話もしてくれた。

「私の英語ってフランス訛りがあるでしょ?でもそのおかげで旅で出会う人たちとは会話がはずんだりするの。私の訛りを聞いて、あなた出身はどこなのって会話になるの。それだけで自分に興味を持ってもらえたりするのよ。」

その時、ハッとしたのを覚えている。

それから何年も経った今でも、たまに自信をなくした時思い出すこの女の子の話と綺麗な夕日。

色んな国の人がともに暮らしていて、そんな彼らが1つの同じ言語でコミュニケーションをとっている。

そんなバンクーバーという街が、少し前より好きになったし、いつも通り完璧じゃない自分を少し許せるきっかけの出会いだった。








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