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家族の定義を広げる。住みびらきシェアハウス@神戸
家族って、誰のことを指すのかなぁ、とよく考えます。
仲良い友人たちを「〇〇ファミリー」といったりすることもあるし、大事な人を「家族みたいな存在」と比喩することもある。今働いているアフリカのタンザニアという国でも、村やコミュニティが一帯となって、一つの大きなファミリーとして生活をしていたり。シングルマザーで一人っ子の私にとって、『家族』という言葉は、曖昧さとぼんやりした憧れを含んだ言葉。
また社会を俯瞰してみると、ここ数年、「ウェルビーイング」や「拡張家族」という言葉の広まりや大都市から地方移住のムーブメントにみられるように、「どんなキャリアを描くか」論の後を追うように、「どんな暮らしを創るか」という考え方が重要視されてきています。これは、収入の増加が単に幸福度の増加に比例しなくなり、別軸での幸福度を探し始めているからではないかと思います。
人とのつながりやコミュニティの中で生きることに興味を持った若者は、自分の固定の家を持たず、シェアという生き方を選ぶことが多くなってきました。大都市だけでなく、地方にもシェアハウスや古民家ゲストハウス、サブスクリプションタイプの他拠点居住サービスなど、その選択肢もますます多様になってきています。
とかいう私もそのような若者の1人で、学生時代にシェアハウス生活を始めて4年目、住んだシェアハウスは計5ハウスになりました(多い笑)。
今回は職場のある兵庫県神戸市で出会ったとある変わったシェアハウスでの、濃くて、ゆるやかで、ダイナミックな日々を、そして気付くといつの間にか家族になっていた2ヶ月の日々を、丁寧に残しておきたいと思います。
桜真っ盛りの春の日本を飛び出して、真夏の国タンザニアから書いていますが、よかったらお付き合いください。
ケレケレとの出会い
ケレケレという神戸にある住みびらきシェアハウスに住んだのはちょうど2ヶ月。
大人6人と2歳児1人。家族のような、友達のような、他人のような。
不思議だけどいろんな人達が知らず知らずに吸い込まれていく家。
<すみびらきのお家ケレケレについて>
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**そもそも住みびらきとは〜
"住み開きとは、本来プライベートなスペースである自宅の一部を開放し、カフェやギャラリーなどコミュニケーションの場として公共化することです。そもそも住み開きには明確な定義はなく、表現活動の一環として始まりました。" 引用元
「ここに住まわせてください、4日後から。」
内覧は、滞在時間3分でシェアハウス入居を決めた。
いや、正確には家に向かうバスの中で、98%くらいは確信していたと思う。
初めて訪れた神戸市北区という場所、三宮からバスで20分ほど揺られ、トンネルを抜けた後にポツンと落とされた。
田舎の景色が広がる山の方向に歩いて7分くらい、ケレケレと手作りの表札がある古民家に着いた。
<ケレケレのお家到着>
*そもそも「ケレケレ」って何?
“ケレケレ” はフィジー語でシェアという意味があり、“服を貸して” とか “食べものシェアしよう” など、なんでも使える言葉だという。フィジーでの青年海外協力隊時代に出会った夫婦による、この家のコンセプト。
イッペイ氏のnoteはこちら
閑話休題。
こういう、暮らしを変えるときの自分の直感は当たる気がする。
人生で初めて住んだアオイエという東京のシェアハウスも同じような直感に導かれて、管理人と知り合った当日(知人と会う約束をしたらそこにいた)に内覧に行き、3時間後には一人暮らしの家と家具全部を捨てる決断をしたんだったな。
それからずっとシェアハウス生活を5年くらい続けているので、あのときデビューした判断は正解だった。
ケレケレオーナーはtwitterでたまたま繋がった人。誰かに紹介されたわけでもなければ、彼のフォロワーも多いわけではなかったが(笑)、この人は信頼できそうという予感がした。内覧時には、職業を料理人を名乗る人と魔女を名乗る人、の住人2人と会釈を交わすくらいだったが、なぜか不安はなかった。
玄関には呼び鈴はなく「こんにちわ〜」と言いながら、古民家の扉をガラガラ開けた。キッチンとの仕切りを取っ払われた居間は物が雑然と置かれていたし、ミシミシいう階段を10段ほど登った2階の一番奥の個室は、今度は逆にがらんとしていて、DIYらしい机とマットレス布団しか無かった。壁2面をいっぱいに広がる窓には、カーテンがあったがあまり機能していなかった。
それでよかった。自分でなんでもつくれる気がした。
窓から外を眺めると、農と空の広さに一瞬で心奪われた。
「ここに住みます。決めました。」
<部屋からの景色>
4日後にスーツケース2つと、ヨガマットと、お気に入りのガジュマルの鉢植えを、えっこらえっこら運びこみ、シェアハウス生活をはじめた。
料理を囲む毎日。
誰かと食を囲む、「おいしいね」を共有する時間は楽しい。
強くそう思わせてくれたのは、入居したての2週間だけ、滞在期間が被ったスパイス料理人。彼の料理は、毎食をワクワクさせてくれる日々の生活のスパイスみたいだった。
私は平日は家でリモートワーク、2階の自分の部屋でPCに向かってカタカタ仕事をしている。
昼間のランチ休憩や夜仕事を終えて1階のリビングに降りると、スパイスカレーのいい匂いが私を待っていた。
自分では作らないような色鮮やかなカレーが日々出てきて、毎食が楽しい。
たまにオフィスに出社したときも、あの美味しい空気に包まれたくて、早く帰りたくなっていた。
<容易に作られる豪華なスパイスカレー>
入居した最初の週末、手が足りないからと、知り合ったばかりのその料理人のスパイスイベントを手伝いに。
「美味しい」を味わう時間も楽しいけれど、「美味しい」を協力してつくる時間ももっと楽しいんだと知った。
お客さんの笑顔、スパイス料理家のファンたちの熱、ドカンと40人分のスパイスカレーの豪快さと鮮やかさ、スパイス料理の盛り付けの繊細さ(何度も注意された)、心地よい疲労感、イベント後の静けさ。
次もまた機会があれば、一緒に料理とその空間を作りたい。
<40人分のビリヤニ>
彼が家を出てからも、毎日7-8人分のご飯作りは引き継がれる。
当番などは決まっていなくて、御飯時になるとそこにいた人が、家にある食材から何を作るかぬるっと考え始める。
どんなに沢山作っても、7人もいれば大体その日か次の日には無くなるので、やりがいは大きい。
作ったり、作ってもらったりするご飯イベントは、家への貢献と感謝が重なる時間。
いろんな会話はご飯の時間に生まれる。
ただの他人だった状態から、ゆっくりと、いつしか家族になっていく。
2歳児を一緒に育てる。
このシェアハウスの特徴は、住人は大人だけではないというところ。
ケレケレシェアハウスを選ぶということは、オーナー夫婦のわんぱく娘氏との子育て生活が始まるということ。
2歳の彼女は、ひたすら鬼のパンツとあわてんぼうのサンタクロースのエンドレスメドレー。笑 YouTubeに合わせてダンスをするのだが、横にいると大人もダンスを強要されるので(笑)、自然と全歌詞を覚えてしまった。
<ダンス中>
仕事終わりに、2階に降りると「おねぇしゃーーーん」と抱きついてくる天使は、喜怒哀楽の感情で忙しい。
美味しいの全力笑顔、ヨガのまねっこ、母がマッサージされるとかわいそうと大泣き、まったく寝てくれない平日夜、寝起きでぐずる毎朝、日々どこからか覚えてくる新しい言葉。
他人の子育てに参加させてもらってる中で、こちらも育てられている感覚がする。打算的でない人間かどうかを試されてるようだった。
・この人は、一緒に楽しんでくれる相手なのか?
・楽しい時以外も共にしてくれる相手なのか?
・自分の変化に気づいてくれる人なのか?
最終日、家を出る間際の15分、いつもはしないのに、ご飯を食べながら手を握って離さなかった。今日バイバイすることは伝えていない。私のソワソワの気持ちを読み取ったのか。
このお姉ちゃんとの生活は楽しかった、もっと一緒にいたいよ、という無言の合図だったらいいな。
<最終日、バス停へお見送り途中>
タンザニアについて少し時間が経って、彼女の成長をケレケレSNSを通じて、こっそり眺めていると、なんだか姪ができたような感覚になっている。次会えた時はどんな言葉を覚えているかな。変わらず「おねぇしゃーーん」とハグしてくれるだろうか。
長くなってしまったので、続きは次のnoteで。
次回note目次(予定)
・個性の強い住人たち
・人は火に集まる
・ケレケレに人が集まる理由
最後に。
そんなケレケレは、新しくリノベーションして自由に汚せるアトリエを作ったり部屋数を増やしてるとのこと。気になる方は、気軽にDMして遊びに行ってみてください。
<ケレケレのリンクはこちら>
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