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退職してロンドンへ。5年間かけて食の視点から見えた未来

この夏からロンドンへ移住することになり、新卒から5年間働いた会社カフェ・カンパニーを6月末で卒業します。仕事とはいえ、この5年間は仕事の時間が人生そのもの、人生のすべてのような時間でした。

(最後にオフィスで撮ってもらった写真)

出会った沢山の方々が、未熟だったわたしを大きな心で育ててくださったことを本当に心から感謝しています。そして合わせてになり恐縮ですが、みなさんに直接お伝えできずこの日を迎えたことをお詫び申し上げます。

(毎日働いた愛おしいオフィス)

会社では主に新規事業企画を担当。「おいしい」という食の視点から未来を考えていくことが仕事でした。だけど退職する今、それはわたしにとっては仕事という枠を超えた価値観であり生き方なんだと思うようになりました。

ここでいう「食の視点」とは何なのか。一言で言い切るのはとても難しいけれど、それは「有機的な視点」をもつことだとわたしは考えています。地球だって社会だって、ひとりひとりの人間が、ひとつひとつの生命が有機的につながりあって、関わりあってつくりだしている。そんな有機性を大切にしながらこれからの社会をつくっていきたいと思うとき、わたしは生き方として食の視点をもっていたいと願っているのです。

昨年12月に出版した書籍おいしい経済は、そんな食の世界がこれからますます政治や経済や文化の中でもあらゆる世界とつながって、特に日本ではより重要な役割を果たすものになっていく流れを強く感じて書いたものでした。

カフェ・カンパニーでは「CAFE=Community Access For Everyone」というコンセプトが真ん中にあります。

飲食経営の会社というよりは、CAFEを通して地域コミュニティをつくる街づくりの会社でした。振り返るとこの5年間は、ずっとずっと「コミュニティ」という「人と人が共に生きること」について考え続けた時間だったように思います。

(新店舗のオープン日に一緒に働くみんなと)

その中でも特に、緊急事態宣言をきっかけに日本の食文化産業の継承を目的に生まれたGOOD EAT CLUBの立ち上げを通して、仕事や人生の見える世界が大きく変わっていきました。

忘れもしない、2020年4月の緊急事態宣言。

4月6日に発令された緊急事態宣言のあと、4月20日には文化産業に関連する政策提言に動いたり、飲食店の方たちに向けた助成金に関する まとめnote を書いたりしました。

とにかく自分たちの会社のことだけを考えているような危機ではなく、これは日本の未来に影響することだという社長楠本さんの本能的な危機感と大きな志の元、一緒に思いつくできる限りすべてのことをする日々でした。

多くの方々にご尽力頂き、毎日毎日意見交換をさせて頂いたことを今でも鮮明に覚えています。とても大変だったけど、社会の最前線で働く方々の動きを間近で見れたことはとても貴重な経験だったと思います。

その後、docomoさんとパートナーとなりそのままビジョンが会社というかたちになって生まれたのが GOOD EAT CLUB

(2021年1月オープン当時のGOOD EAT)

その立ち上げのときに、わたしは地元大阪で人生をかけて食に向き合い続け文化を育んできた方々に出会い、生き様に触れ、食に携わる仕事をする覚悟が生まれました。そして、食の仕事というものが、仕事を超えた生き方のようになっていきました。

わたしは元々料理をする人でもなかったけど、食の世界にどんどん惚れていきました。食から出会う土着の文化や生活。何よりも食を通して出会う人たちが大好き。大好きというよりも、本当に心から尊敬しています。

食という視点から見える未来には、ひとりひとりの生活そのものが資産となり文化的な価値につながっていく可能性がある。それぞれの地で育まれてきた「生きる」という叡智から、多くの生命で成り立つ地球の課題解決を考えられる可能性がある。

これからはより一層日本という場所の価値を客観視して、地球全体に還元できるものを考えていく時代。そんな気持ちをもって最後の仕事として「おいしい未来研究所」という食から未来を創造していくTHINK DO TANKの立ち上げもしました。

(まだこれからなので何卒宜しくお願いします!)


毎日の生活の中で、社会との接点として、地球で生きるひとりとして、自分の中に食の視点をもって生きること。それは生命に向き合うことであり、循環を感じることであり、つながっている世界への想像力をめぐらせること。

世代を超えて、価値観を超えて、地域を超えて、人と人が共に生きることのはじまり。そんな忘れたくない感覚の小さなはじまりが、毎日ふれる食の世界にはある。それがわたしの中での大きな希望でした。

人と人が共に生きること、それは簡単なことではないと思います。だけどやっぱり諦めないで生きていきたい。

(妹と暮らした大切な渋谷の家での写真)

今後は食を起点にすることはもちろんですが、より具体的に毎日の日々をどう共に生きるのか。自分の人生でずっと真ん中にある、これからの時代の「家と家族」について世界の視点で考えていきたいと思っています。

ちなみに仕事をやめて結婚をするわけではないです。笑 それよりも、結婚や家族を超える家族のかたちもあるのではないかと感じています。

ロンドンに行く前に、来月にはクラウドファンディングもしてみようかなと計画中。よかったら応援してください♡

最後になりますが、この5年間は仕事も暮らしも、周りの多くの人に支えてもらい助けてもらいました。本当に本当にみなさんありがとうございました。言葉では伝えきれないほどの感謝をここで伝えさせてください。

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