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光とブラックホールと、そして僕らが生きる未来

映画タイトル:君は月夜に光り輝く

【あらすじ】
「私って、いつ死ぬのかな?」
妙に明るい声でそうつぶやく渡良瀬まみず(永野芽郁)は、「発光病」という不治の病を患う高校1年生の女の子。余命短い人生を病院の中で送っていたが、ある日お見舞いにやってきた同級生の主人公・岡田卓也(北村匠海)に、「自分が死ぬまでにやりたいこと」の代行を頼むことになる。同じ病気で姉を亡くした過去を持つ卓也は、その代行を一つ一つ引き受けていく中で徐々に彼女にひかれていく。そんな二人だが、彼女の死期が近づくにつれ、互いの未来に対する恐怖と向き合うことになる。

【みどころ】
病院の屋上で月夜の天体観測をするシーン。卓也とまみずは、望遠鏡に映し出される夜空の星を見て、宇宙に思いを馳せる。「星は死んだらどうなるの?」「光を失って、死体みたいなものになる。もしくは、ブラックホールになる」
宇宙と自分を重ね合わせるまみずは、未来を素直に受け入れることができない。そもそも、この世にあるもの全てが最後にはブラックホールに飲み込まれてしまうのなら、生きることにどんな意味があるのだろう。その思いと対照的に、真っ暗な屋上で月夜に照らされて白くぼうっと光るまみずの姿が、幻想的に映し出される。
生きることへの執着をなくそうとしていたまみずは、卓也と出会って生きる喜びを一つ、また一つと見つけ出す。そのたびに、彼女の喜びを丁寧に受け止める卓也。自身の家族の辛い経験を乗り越え、彼女の未来を受け入れていく卓也に、純粋な優しさと力強さが感じられる。北村匠海の端正な顔立ちと大らかな人柄が、そのまま生かされている。
死んだらどうなるのか、それは誰にも分からない。けれども死ぬからといって全てが終わるわけでもない。普遍的かつ切実なテーマでありながらもどこか新鮮味を帯びて、二人の希望の未来が描かれる。

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