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【第1回】動画クリエイターによる動画広告の作り方講座

こんにちは、Ayaka(@aaa_1205)です。
今日は、動画広告の作り方講座1回目ということで、勝手に連載化していきます。
全部で3〜4回くらいになる想定。(いまのところ)

現時点で私はこれが最適だと思ってます、という動画広告の作り方なので、あしからず。。。でも、ちゃんと考えて仕事してますので、その仕事を公開してしまいたいと思います。

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動画制作に入る前に知っておくこと

まず、動画を作る前に、最低限知っておくべきことがあります。

動画を見るシチュエーションの多様性

・複数存在するデバイス。でもスマホが大前提。
・見る場所はどこでもあり得る(家・電車・レストラン・待ち合わせの場所・寝る前のベッドなどなど)
・見る時間帯もそれぞれ
・動画を閲覧するメディアが複数存在
・音声のオンオフは人やシチュエーションによる

こんな感じで、ターゲットが見るシチュエーションやデバイス、メディアなどがどんどん増えている今、「どんな動画広告なら興味を持ってもらえるか?」を常に自問しながら作ることが大切だとおもってます。

動画を見るか見ないかはユーザー次第

動画広告が流れても最後まで視聴するユーザーは少ないですよね。自分がユーザー側のときも、興味ないカテゴリの広告はまず見ません。

15秒の短尺な動画広告だとしても、

・冒頭のデザインが気に入らない
・今見たいのはそれじゃない
・単調なものだと秒で飽きられる
・すぐスクロールされる

など動画広告を見ない理由はいくらでもあります。

なので、冒頭でいかにインパクトを出せるか、興味を惹きつけられるか、というのが大事。

本記事ではSNS向けの動画広告を主に取り扱います

特に、最近だとInstagram・Twitter・Facebookの配信向けの動画広告が多いので、これらのメディアを軸に記事を進めていきます。

では、本題に入ります。

動画広告制作の具体的な工程

動画広告を制作する工程は、大きくわけると3つあります

1. 設計(企画 / 構成)
2. 素材準備 / 世界観の大枠決定
3. 編集 / 制作

これを細分化していきます。

1.設計(企画 / 構成)

すべての土台をこの段階で作ります。つまり、ここが最重要ポイント!

・企画、提案
・構成、シナリオ作成
・スケジュール調整

クライアントから動画広告の制作依頼があった場合、すでに”理由”や”目的”がはっきりしてることがほとんどなので、こちらからゼロベースで企画して提案する、ということは少ないです。

現状の課題に対してどんな動画がベストなのかを相談され、その課題からプロジェクト全体の方向性を定めていく感じです。

動画広告の制作では、個人で依頼を請ける場合、ディレクションも兼任することがほとんどです。ディレクションは、範囲をきっちり切り分けるのが難しいんですが、制作に関わる部分のゼロから100までを把握して、納品するまでのすべての工程を滞りなく進めていく役割かな、と思ってます。

2. 素材準備 / 世界観の大枠決定

・不足してる素材の確認、制作
・ロイヤリティフリー素材サイト等からDL
・音源候補をいくつかピックアップ

実写の場合、ロケ場所を決めて撮影・必要な人材のキャスティングなどが発生しますが、動画広告の場合それらはほとんどありません。ほぼ自分で完結できるのが良いところ!

その代わり、必要な素材は自分で作るケースがあります。もしくは、ロイヤリティフリーの素材サイト等を使います。クライアントからいただける素材は何か事前に確認し、不足している素材があれば準備します。

また、ここでいう動画の世界観というのは、「色」「フォント」「シェイプやモチーフ」など、動画の全体を形作る要素と考えてもらって良いです。

この段階では、ふんわりと自分の中でイメージできてれば良いかと思います。

商品やサービスの動画広告を作る場合、たいていはすでにランディングページやブランドサイトなどがあります。基本的には、そういったページを参考に色やフォントなどを決めていきます。

また、BGMありの場合は音源などもここで決めます。

BGMはクリエイティブの良し悪しを左右するし、印象をガラッと変えるものなので、どういう雰囲気でまとめたいのか、クライアントに確認しつつ音源の方向性を絞っていきます。

無料の音源などは気をつけないとチープ感がでてしまうので、音源選びも慎重に。

3.編集

・動画編集
・初稿提出(ナレーションありの場合、仮ナレーションもつける)
・修正 / 最終チェック
・納品

1と2が終わったら、ついに制作開始です。
構成・シナリオが決まってる・世界観が固まってると制作にとりかかりやすいです。

その世界観や雰囲気に合った動画ならではのアニメーションやエフェクト、演出を取り入れてクオリティをあげていきます。

ただ、私の場合、まずは自分の中で6〜7割の完成度まで作って初稿提出します。

なぜ、6〜7割の完成度で提出するかというと、

・完成度MAXなものは1人よがりになりがち
・修正依頼のときに後戻りしずらい
・完成度MAXだと思ったのに修正が多いとモチベーションが下がる

などのリスクが生じるからです。
あくまでもクライアントと一緒に作っているものなので、「自分のベスト」ではなく「全員にとってベスト」を目指すべきだと思います。

なので、初稿提出するときに必ず

「現時点で完成度は半分くらいです。ここで確認していただきたいことは、全体の方向性や各シーンの尺の長さ、文言の不備や過不足、などです。また、他にご希望があれば現時点でご教示ください。」

というようなことを伝えます。

そして、フィードバックをいただいてから完成度をできる限り高めていきます。

以上が動画広告の制作の基本的な工程です。

動画広告制作の1stステップ 「設計」

では、「設計」を決めていきます。
何度も言いますが、動画広告(だけでなくクリエイティブ全般)を作るときにもっとも大事なのは、「設計」です。

動画広告の全体施策の設計にしっかり時間をかけて、言語化できるまで要素を細かく落とし込んでいきます。

このパートでは、以下のことを明確にしていきます。

・動画広告の目的
・成果ポイント
・配信先の媒体
・ターゲット
・動画全体のコンセプト
・素材の手配
・スケジュール

これらが明確になって次の段階に入れます。

◎Tips:設計の基本は5W1H

5W1Hを明確にすると方向性を定めやすく、抜け漏れが出づらいです。

What(何を)→クライアントの製品やサービス
Why(なぜ)→製品の購買促進?ブランディング?キャンペーン告知?
Who(誰に)→クライアントのお客様、一般視聴者(誰に向けて発信するか)
※誰に向けて発信するか、によって企画内容が変わるのでとても重要
When(いつまでに)→納品日、スケジュール
Where(どこで)→ロケ場所はどこ?スタジオは使う?(実写の場合)
How(どんな風に)→動画の形式は実写?アニメーション?モーショングラフィックス?
+
How much(いくらで)→予算や費用
※安ければ良いというものではない。双方が納得した価格でないと良いものはできないので、作る側も依頼する側も適正な価格設定にし、濁さずしっかりとコミュニケーションをとります。

具体的な事例があった方がわかりやすいと思うので、下記のクライアント / 製品を想定して進めていきます。※架空です

■クライアント:某人材採用支援サービス運営会社
〜与件概要:求人掲載サービスへの申込み促進用動画広告制作〜

●動画広告の目的:求人掲載サービスへの申込み
●サービス名:ABCジョブ ※架空です
●成果ポイント:動画広告からの遷移先LPのCV数
●配信先の媒体:Facebook、Twitter
●ターゲット:求人掲載を検討している企業、人事担当者
●最も伝えたいこと:無料で簡単に求人掲載ができる
●尺 / サイズ:15秒 / 1:1(1080*1080)
●BGM:あり ※支給いただく
●ナレーション:なし
●素材:会社ロゴを支給いただく
●スケジュール:約2週間後に納品希望
●納品形式:MP4にて納品

■サービスの強み/ユーザーへのメリット
・無料で求人掲載が可能
・募集期間は無制限
・簡単に求人票を作成できる
・すべて無料で利用可能
・何名採用しても0円

以上のような内容が決まれば、動画の構成・シナリオ作りに入れます。

動画の構成・シナリオの基本型は「起承転結」

動画の構成・シナリオを作るときに、アウトプットしやすくする手段として、ユーザーの消費行動を理解することが重要だと思います。

CAMS、AIDMA、AISASなど、ターゲットが製品やサービスを購入するまでのプロセスをモデル化したフレームワークがあります。

似ているようで少しずつ違う部分もありますが、あまり型に囚われず、参考にする程度で良いと思います。

CAMS=Catch / Appeal / Motivative / Suggest

Catch:ターゲットの心を掴む
Appeal:強み/メリットをアピールする
Motivative:不安の解消、行動の動機づけ
Suggest:具体的にどう行動するか勧める

AIDMA=Attention / Interest / Desire / Memory / Action

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Memory:記憶
Action:購買行動

AISAS=Attention / Interest / Search / Action / Share

Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Search:検索
Action:購買行動
Shere:共有する

今回、動画の目的は、ターゲットにサービスへの申込みをしてもらうことでした。
では、動画でどういうポイントを抑えるべきでしょうか。ターゲットは、求人掲載を検討している企業、採用を担当している人、人事の方ですね。

◆ターゲットの想定される心理
・早く採用をしたい
・求人掲載手続きが面倒、忙しい
・でも人手不足だから採用は強化したい
・大量応募などのリスクをなるべく抑えたい

想定される心理から、今回はCAMS(=Catch / Appeal / Motivative / Suggest)をベースに、構成を固めていきます。

ここで注意点です。

クライアントは自分の商品に自信をもってるし、多くの人に良さや魅力を知ってほしいので、ついつい「あれも」「これも」いろんな要素を入れたくなってしまうことが多いのですが、サービスを利用するかどうか判断するのはターゲットです。

ターゲットにとって、負担なくわかりやすく伝わるように、「1つの動画で1つの情報に絞る」ということを意識します。今回は特に、尺が15秒なので伝えられることは限られています。

・求人掲載がいかに簡単かをメインに
・冒頭1〜3秒でターゲットに刺さるコピーでインパクトを出す
・契約不要、無料で利用、などハードルを下げる文言でアクションを促進

この3つのポイントを抑えて構成を具体的にしていきます。

動画の構成は「起承転結」に、今回はCAMSを参考にして具体的に構成を落とし込んでいきます。

■CAMS
Catch:ターゲットの心を掴む
Appeal:強み/メリットをアピールする
Motivative:不安の解消、行動の動機づけ
Suggest:具体的にどう行動するか勧める

1. Catch<ターゲットの心を掴む>

動画広告は冒頭の1〜3秒ほどがもっとも大切なので、
ここでしっかりターゲットの心を掴む言葉や表現、演出で印象をつけます。

例)ABCジョブなら求人掲載がカンタン3STEP!


2. Appeal<強み/メリットをアピールする>

求人掲載までの具体的な手順を見せ、サービスを利用するメリットをターゲットにしっかり伝える。
例)簡単にスマホでもできる求人票作成
例)募集期間に制限なし
例)利用料は0円で求人掲載できる

3. Motivative<不安の解消、行動の動機づけ>

「手軽で良いかも?」と思ったターゲットに、さらにアクションへのハードルを下げる情報を与える。

例)契約不要
例)無料で利用可能
例)何名採用しても無料

4. Suggest<具体的にどう行動するか勧める>

例)「今すぐ無料で求人掲載!」とLPへの遷移を誘導

動画のラフコンテサンプル

今回の構成を絵コンテにしてみました。人によって作り込み具合は違いますし、私自身もプロジェクトごとにどのくらいまで作るかは都度判断します。

今回は、尺が15秒で伝えたいメッセージも結構明確なので、以下のようなイメージで作りました。

絵コンテ.001

私は、ラフコンテを作るときよく使うのがkeynoteです。こちらもkeynoteで作りました。(Macの方限定になってしまいますが、、、)

場合によっては、GoogleスライドやExcelを使うこともあります。先方から指定されることもあるので、その場合は指示に従います。

keynoteは、シェイプも豊富だしカスタマイズ性に優れているので使い勝手が良くて私は好きです。


まとめ

今回はここまでにします。ちょっと長くなっちゃいました・・・でも一番重要なところなので、自分の頭の整理もかねて、丁寧にまとめたつもりです。

文字で見ると、制作に入る前にやること多!って感じですね。でも、数をこなすとだんだん1つ1つの工程にかかる時間が短くなっていきます。
また、クライアントやプロジェクトによって、これに当てはまらない制作方法もあるかと思います。

そう思うと、柔軟性も大事かもしれないです。

次回は、素材準備 / 世界観の大枠決定についてまとめます。
それでは、また〜!


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