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【エッセイ】2023年2月、大学1年生の私

今回から、月末にその月の出来事で私が感じたことをまとめて綴ろうと思います。
(サムネ:手作りフィナンシェ)

バレンタインデーバイト

私は2月頭から百貨店でバレンタインデーの催事でチョコレートを売るアルバイトをした。

バレンタインデー、なくてもいいのではないか

バイトを初めてから数日、私はこう思った。

普段買わない高いチョコレートをバレンタインデーだからと言って買うのは、チョコレート企業の戦略にまんまとはまっているのではないか。

大学生になり、友達や恋人、好きな人にチョコレートをあげているような雰囲気を全く感じなくなった私は、バレンタインデーの存在意義を考えてしまった。

そしてこう思う

バレンタインデー、なくてもいいのではないか。

同時に、この思考に至る、私の青春時代は終わってしまったのだなと1人浸っていた。

もう二度と会えないからこそ響くもの

見たことも、聞いたことも、食べたこともないチョコレートの販売を任された私は、お客さんに売るためにはある程度の知識の必要性を感じた。

インターネットでチョコレートブランドについて調べたり、試食でいただいたチョコレートの味をどう表現して伝えたりしたら良いかなど試行錯誤して接客していたある日。

1人の60代くらいの女性のお客さんが、どのチョコレートを買おうか迷っていた。

スイーツは好きだったが、ブランドに特別詳しいという訳ではなく、今までのお客さんも、私が担当しているチョコレートブランドが初耳だという方が多かったので、チョコレートブランドについての軽い説明とチョコレートの説明が書いてある紙をその女性のお客さんに渡した。

女性のお客さんから、「どういう味のチョコレートですか?」「これとこれの違いはなんですか?」などの質問に答えたり、チョコレートをいただく方にあったものを薦めたりなど、笑顔を意識して接客していた。

そしてお客さんがチョコレートを買った。

「ありがとうございます☺︎」とチョコレートを渡したとき

お姉さん説明お上手だったわよ。

とチョコレートに満足したような優しい笑顔で私に言ってくれた。

私は、少し驚いたのも束の間、心の底から嬉しさが湧き上がったのを覚えている。

二度と会うことのないであろう店員の私にお客さんは、褒めてくれた。
その心の余裕と人という存在を大切にする姿勢を見習い、私も人に対して、受け取ったら嬉しい感情や想いを言葉にして伝えたいと思った。


バイト、涙する

人が少ない平日の夜

この時間帯はいつも暇で、足が痛くなるのを防ぐために片足でたったり、メモ用紙に絵を描いたりなどをして時間を潰していた。

そんな中、1人の20代の女性のお客さんが、チョコレートに興味を持って見ていた。しかし、売り場を離れ、スマートフォンを真剣な趣でタッチとスワイプを繰り返していた。
そしてどこかへ行ってしまった。

それを3回繰り返していた。

さすがに私も顔を覚えてしまい、きっとどのチョコレートを買おうか迷っているのだろう、4回目に私は声をかけた。

「どなた様かへのプレゼントですか?」

そう聞くと、

「はい!そうなんです!でもどれ買おうか迷っちゃって笑」

とにこやかに答えてくれた。こんなに可愛いし彼氏さんかな、とちょっとした脳内妄想をしたが、あくまでお客さんと店員。それ以上は聞かないことにした。

お酒が入っているのでこちらは大人向けですが、こちらはお酒が入っていないのでどなたでも楽しめます〜、などチョコレートの説明を終えた。

お客さんは、うーん、、、といいながらチョコレートをじっと眺め悩み続けた。


今までこれほど長時間悩んだお客さんはいなかった。

きっと相手は何を受け取っても喜ぶだろう。それでも、こんなに相手のために悩み、迷う気持ちがとても素敵だった。

そして気づいたら、私は泣きそうになっていた。

私を褒めてくれたお客さんのように、私も目の前の迷っているお客さんに伝えた。

「こんなにも相手の方を想って悩むのって素敵ですね。」

そう伝えると、お客さんは、嬉しさと少し照れたような笑みを私に返してくれた。

そしてお客さんは意を決してチョコレートを決め、「ありがとうございました!」と言って、嬉しそうに帰って行った。


結論:バレンタインデー、悪くは無いな

バレンタインバイトをして思ったのが、恋人よりも家族や会社に買っていくという方が多かった。

一番最初にバレンタインはなくてもいいんじゃないかと思っていた私だが、その考えが大きく変わった。

普段、感謝を伝えることが難しかったり、日常に溶け込みすぎて感じにくいことがあるだろう。

だが、バレンタインがあることにより、チョコレートと一緒になるので「感謝」が伝わりやすかったり、チョコレートを囲む瞬間が生まれ、コミュニケーションをとることが出来る。

バレンタインバイトは、誰かの幸せや感謝のお手伝いをしているようで、こちらも幸せになり、楽しかった。

バレンタインデー、悪くは無いな


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