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【♯ ♭】転調か臨時記号か見分けるコツ

先週の現場でチェンバロが設置されていました。

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チェンバロをこんな間近にみたの、初めてかもしれないです。
ちょっと弾かせてもらいましたが、とっても軽いタッチなのに、音がよく響き渡りますね♪
ちょこっと弾いてみた♪ここをクリックしてね!

さて、本日は譜面に書かれている「♯、♭」についてのお話しです♪

「♯(または♭)出てきたけど、ハ長調なのになんで?これって転調したのかな?」
と練習時に疑問を持ったあなたにこそ今回は見て欲しい!

以前にこのブログで、調号を判断する調判定についてお話ししました。
楽曲は、同じ調で完結している楽曲もあれば、途中で転調している楽曲も普通に存在します。
ただ、転調をしていないけれど、調号とは関係ない♯や♭も当たり前のように登場してきます。それはなぜなのでしょう??

実は、しっかりとした理由があるのです!

本日は、譜面上に出てきた♯、♭が「臨時記号」か「転調」なのか見分けるコツをお伝えします。


<臨時記号とは?>

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読んで字の如く、定められた調号とは別に「♯、♭」が臨時として使われる音を指します。
臨時記号は、メロディの進行や装飾音符などに使われるケースがほとんどです。

見分けるコツとして結論からお伝えすると、【臨時記号が必要になる種類・パターンを覚えてしまう】事で、簡単に見分ける事が出来るのです。

<まずは非和声音をマスターする事から>


非和声音とは主音の旋律以外に鳴っている和音の音のことを指します。

たとえば下記譜面をご覧ください。

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これは、ハ長調のある一部の譜面です。
左手(下段ヘ音記号譜)は「ドミソ」の和音になっていますね。
この「ドミソ」の和音以外で鳴っている音を「非和声音」と言います。
要はドミソ以外の音が非和声音というわけです。※あくまでこの譜面の場合

先ほどの譜面を基にすると、下記印のついている音が非和声音になります。

スクリーンショット 2021-06-04 13.43.28


非和声音を見分ける方法の一つとして、「楽曲の調号の和音の音が含まれているか否か」が一番見分けやすい方法かと思います。
そしてもしも、♯や♭の音が、その調号の和音に含まれている音であった場合、臨時記号の可能性は低いと見て良いでしょう。
その逆で、和音とは関係ない音が含まれていたら、「転調」されているか「臨時記号」かさらに見分ける必要が出てきます。

ここからは、非和声音を基に、「転調か臨時記号か」最終判断をする際の見分けるポイントを4つに絞ってご紹介してまいります!

チェキる準備はOKですかい?
それではまいりましょう!


<臨時記号になりうるポイント①〜刺繍音〜>

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臨時記号の可能性が高いパターンその①!!
まずは刺繍音(ししゅうおん)を知っておきましょう。
刺繍音とは、読んで字の如く、裁縫の「刺繍」を想像してみましょう。

まずは下記譜面をご覧ください。

スクリーンショット 2021-06-04 14.01.42のコピー

この場合もハ長調で「ドミソ」の主和音を基に非和声音を探してみましょう。

ドミソ以外の音を抽出すると下記になりますね。

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画像内赤丸の「レ・ファ・♯ファ」の音が「非和声音」になります。
この中で、♯のついている音は2小節目の「ファ」の音になりますね。
刺繍音は前の音と次の音を繋ぐために臨時的につけられた♯となります。
刺繍に例えると、「布の表面のソの音」から布の裏面に針を刺して、「♯ファ」に行き、最後はまた布の表面の「ソ」に戻ってくる。
そんな例えで日本語では刺繍音と名称がつけられているのです。

刺繍音のように、臨時記号が登場した際は、すぐ次の音が半音で移行しているパターンが多いです。
前後の音が半音の場合は、転調ではなく『臨時記号である』と判断して大方正解でしょう。


<臨時記号になりうるポイント②〜倚音〜>

♯、♭が出てきた際に、見分けるポイントその②が「倚音(いおん)」になります。
倚音とは、『♯・♭のついた音は、その次の音に偏るように存在された音』といった意味合いになります(笑)
分かりづらかったらすんません、、、!

先ほどの刺繍音との違いを比較しながら下記譜面をご覧ください。

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非和声音の中で♯のついている音は「♯レ」ですね。
すぐ隣の音は「ミ」になってますが、この「ミ」の音はハ長調主和音「ドミソ」の和音の中にある音です。
つまり、倚音とは、すぐ次の音が調号の和音である可能性が高くその和音の音に寄っかかるように(主和音に導くように)つけられた記号の音になるのです。
刺繍音と違うところは、臨時記号の一つ前の音は「♯のついていないレの音」になっていますよね。この「レ」も非和声音になります。
あくまで♯(もしくは♭)のついた音の次の音が楽曲の調の和音で解決されている音かが最も判断を見分けるポイントとなるのです。

<臨時記号になりうるポイント③〜経過音〜>


次は「経過音(けいかおん)」も見分ける方法になります。
経過音とは、音階で順番に上行していく音のことを指します。

たとえば下記のような感じ。

スクリーンショット 2021-06-04 14.34.12のコピー


経過音は、音階で上行しているので、全音でも半音でも「経過音」となります。
経過音の非和声音を抽出すると下記になります。

スクリーンショット 2021-06-04 14.34.12

抽出したあとに、小節全体の流れを見て、音階のように上行しているかをチェックしてみましょう。
譜面2小節目の「ソ♯」に注目してください。
譜面では、次の音が「ラ」と続いて、さらに先の音は「♯ラ、シ」と続いていますね。
もし、「ソ♯」の次の音が「ソ」になっていたら、それは「刺繍音」になります。なぜなら、音階のように上行していないからです。

よって、この場合の♯がついている音たちは、転調したわけではないので「臨時記号」として♯がつけられたということになります。
ややこしいかもしれませんが、このように、一つの音だけだと判断しづらい記号もありますので、必ず前後、メロディの流れも見ておくと良いでしょう。

<臨時記号になりうるポイント④〜先取音〜>


最後は「先取音(せんしゅおん)」についてお話しします。
先取音とは、これまた読んで字の如く「音を先取りする」事を指します。

まずは下記画像をみてみましょう。

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この上段1小節目2拍目の「レ」に注目してみましょう。この『レ』はハ長調の主和音に含まれていないので、『非和声音』になります。
この『レ』はどこから来ているの?と思いますが、先の左手で低音(下段)の和音に注目してみてください。

「下から順番に シ・レ・ソ」
と音が重なっていますね。
この中にも「レ」が含まれています。
と、いうことは、右手の「レ」の音は、次の和音を「先読み(予告)した音」になるのです!

スクリーンショット 2021-06-04 15.14.30


この先読み・予測している音のことを『先取音』と言います。

管楽器であれば、パート譜ではなくスコアも必ず目を通しておきましょう。
この音にもし♯、♭がついていたら、先取音だと思うのであれば、転調ではなく「この音は臨時記号だ!」と判断がつくでしょう。

<まとめ>

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本日は、専門的なお話で少々ややこしい部分もありましたが、それぞれの種類を把握しておくと、調判定がもっと簡単に楽になります。
理論的に音楽を知っておくと、演奏しながら予測もつきやすくなるので、譜読みがグッと早くなり、もっとその先の創作に時間を費やすことができます。

ぜひ、転調かただの臨時記号か迷ったら、今回のお話を参考に考えてみてくださいね♪


このお話しは、音大で培った知識を惜しげもなくお伝えしているブログですので、ぜひ「いいね!」と「フォロー」よろしくお願いしますよ!?
まぁ、音大卒業したからといって、研究・創作は止めることはないんですけどね、、(笑)

また次のお話しでお会いしましょう( ´∀`)♪

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