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バルセロナのベルムテリアでアペリティーボを楽しもう

スペイン・バルセロナで、ビールやワインと同様、定番のドリンクとなっているのがベルムット。ワインに薬草やスパイスなどを漬け込み、さらに砂糖を加えて作られるこのフレーバードワインは、現地で「ベルムテリア」と呼ばれるベルムット専門店だけでなく、どこのバルやレストランに行っても、必ずといっていいほど用意されています。
 
「ベルムットの街」として知られているのが、カタルーニャ州のレウス。18世紀にブランデーの生産が盛んになり、その生産量のほぼすべてを輸出していたといいます。

そして19世紀になると、ブランデーで富を築いた一族たちが、繊維産業やワイン産業に投資をはじめました。もともとベルムットは、ドイツのバイエルン地方で生まれ、イタリアのトリノで食前酒としての人気を博したもの。そこで、ワインの生産に力を入れていたレウスもベルムットの生産に乗り出し、1892年に販売を開始。19世紀末〜20世紀初頭にかけて、約30の生産者が50以上の異なるブランドを生産するようになりました。


レウスにある「ムセオ・デル・ベルムット」


「ムセオ(美術館)」というよりも、レストラン



こうしてレウスは、カタルーニャ地方における「ベルムットの街」として知られるようになったわけです。
 

バルセロナのベルムット事情


 
このベルムットの習慣はカタルーニャ地方全体に根付いていて、現地の人々は「ベルムットをする(Hacer un vermut)」という表現を使います。しかし、「ベルムットをする」というのは、文字通りベルムットを飲むことだけを指していたわけではありません。飲み物はビールでもワインでもいい。つまり、食事前にアペリティーボをする、という意味で使われているのです。
 
ところが、数年前からこの「ベルムットをする」というのが、ベルムットを飲む行為になり、食前酒としてではなく、がっつり「食事のお供」として親しまれるようになってきたといいます。
 
定番のおつまみはオリーブやチーズ、エンブティード、やポテトチップスのような、塩気のある、軽くてお腹に溜まらないもの。また、ベルベレチョ(ザル貝)やムール貝、アサリの缶詰も定番です。
 
こうした貝類にちょっとピリ辛のソース「サルサ・エスピナレ(Salsa Espinaler)」をかけたものは、地元の人のたちの大好物。


貝類には「「サルサ・エスピナレ」をかけて



このソースはスーパーで手にいれることができるので、お土産にもぴったり。また、スーパーでもベルムットとおつまみをまとめ売りしている「ベルムットセット」なるものを見かけることがよくあります。

ベルムテリアはもちろん、バルでも自宅でも、バルセロナっ子に親しまれているベルムット。バルセロナにきたら、ランチの前にベルムットを軽く1杯……と、ご当地流のオーセンティックな味わい方をしてみてはいかが?
 
 

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