隙間から覗いた世界の先に
静まった世界に、小鳥の声が少しずつ響き始める。太陽が顔を覗かせてくると、街は少しずつ動き出す。
車の通る音、シャッターが開く音、いろんな音の鳴る方に吸い寄せられるように、私は窓をそっと数センチだけ開ける。
そうすると、冬に感じる鼻の奥までツンとするのとは違う、不思議な柔らかさを宿らせた冷たい空気が部屋の中に流れ込んだ。ついこの間まではあれほど疎ましかった湿気は、気付かぬ間に存在感を薄くしている。
空気の変化は、学生や街ゆくサラリーマンの白一色の衣服も、ここ1週間で艶やかな黒と紺に塗り替えていた。
そんな街の様子を部屋の窓からそっと覗き見ることから、私の1日は始まった。
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