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本屋さん巡りで心のストレッチ

先日、住んでいる地域の本屋さんの扉を幾つも開けてみた。

紙とインクの匂いが漂っていて、あらゆる表情がこちらをじっと見つめるその空間は、なんとも言えない心地よさがある。この空間に来ると、全身を空気と潤いとが駆け巡るような気持ちになって、恐ろしいほどに思考が良く回るようになる。

私の思考が止まった時の救世主である。

どうしようもなく言葉が出なくなったり、思考が停止している時、頻繁に本屋さんに足を運ぶのだけれど、最近は行くコーナーみたいなものが固定化しつつあった。

まず話題書や新作コーナーをざっと見つめて、後は小説コーナーとエッセイコーナー、そして実用書やビジネス書、と巡ることがいつものルーティンである。

しかし、ひょんなきっかけから、久しぶりに漫画コーナーへ吸い込まれるように足を踏み入れていた。

かくいう私は、本好きでもあるが、基本漫画大好き人間である。全く更新しないSNSで何をしているかと言われれば、エッセイ漫画みたいなものを読み潰している。先読みだってしちゃう。
一時期は、スマホアプリのweb漫画の連載を毎週心待ちにしていた。

しかし、そんな私はいつしかスマホで漫画を読むことも減り、紙の漫画なんて、数ヶ月もしくは1年に1回くらい、恋人からあるシリーズを借りて読むくらいである。

いつから??そしてなぜ??
本屋さんに行っても漫画コーナーに足を踏み入れなくなったのは、、、。

そこで少し、私と漫画の歴史を振り返りつつ、私と、本という存在との付き合いを考えてみる。

初めて「漫画」という創作に興味が湧いたのは、小学校1年生のとき。当時、学校の図書館に休憩時間の度に通っていた私が読んでいたものは「絵本」。その絵本も1年生の2学期の終わり頃には、学校の図書館にあるものは全て読破してしまった。

「次、何読めばええんやろ」

頭を抱えた私の目線の先にあったのは、『枕草子』や『源氏物語』の学習まんがだった。小学校1年生にはかなり難しい題材だったかもしれないけれど、絵本のような絵柄もあってか、物語の世界に惹き込まれていった。
物語の内容や展開は、ほとんど理解できてはいなかったのだけれど。

しかし、そんなこんなで絵本の延長線上に私は学習まんがにハマり、『竹取物語』などの著名な古典作品にも触れるようになった。これが私と漫画の出会いである。

絵本の延長線上に学習まんがにハマった私。そんな私の小学校には、月に1回ほどの頻度で市立図書館から移動図書館として、たくさんの本たちが車に詰め込まれてやって来ていた。そこから1人2冊ほど借りて、クラスにある本棚にしまうことができる。

既に学校の図書館にある古典作品の物語まんがを読了し、学習まんがの沼に片足を突っ込んでいた私は、移動図書館の中に学習まんががないか、嗅ぎ分けるように探していると、今まで読んできた古典作品が、、、ない。
ないのである。

落胆する私だったが、他の本はあんまり読む気になれず、でも2冊借りなきゃ、、と焦っていると、古典作品ではない学習まんがが並んでいるのを発見した。そこからは、小学校生活を通して「伝記」の学習まんがの沼に全身でドボンとハマる。

あらゆる歴史上の人物、化学から、医療や芸術など多岐に渡る分野を問わずたくさんの人生ドラマを学習まんがで読むようになった。
他にも伝記に飽き足らず、科学分野や商品の誕生秘話みたいな学習まんがも、物語からの延長線上に読み倒し、夢中になっていた。

しかし、ここで私と漫画の歴史に転機が訪れる。

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かみつれ

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