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スタートアップのOKR運用ノウハウ 〜リアルな運用について語るvol.1〜

昨今、目標管理にOKRを導入する企業が増えています。
私たち、スタイラーでも2017年10月に目標管理にOKRを導入することを決めて以来、運用を続けています。

導入を開始してから3年経ち、OKRをテーマとしたイベントや取材を依頼いただく機会が増えましたが、OKR導入当初はその運用の確立方法をとても悩み、幾度か大きな壁にぶつかってきました。

OKRに関する書籍や記事は最近増えてきていますが、いざ運用を開始してみると、決して書籍に書かれているように綺麗にはいかないものです。
OKRについてnoteに書こうと思ったのは、私が経験したことを少しでも共有し、OKRの導入や運用で課題を感じている方のヒントになればと思ったからです。
そのため、なるべく実運用に基づいた内容を書きたいと思います。

また、一度には書ききれないので、何度かに分けて掲載します。
気軽な気持ちで目を通していただけると嬉しいです。

今回のテーマ:OKR導入を決めたらまず何をするか

OKRを導入した経緯
簡単にOKRを導入した経緯を述べておきます。
当社は2015年3月に設立された会社で、私が入社したのは2017年7月ですが、入社した時は目標管理や人事評価制度はまだ導入されておらず、従業員数も15名程度ということもあり、CEOがKPIの設定をして、それを各チームメンバーで追っていました。
目標値に対する実績が日々Slackで流れており、毎月の結果報告をCEOが発表していました。
全体でKPIを追うことは決して悪いことではありません。
しかしながら、変化の激しいスタートアップ環境では、常に”何を最も優先すべきか”。を考えて日々のアクションする必要があります。また、自分たちが、そもそもどこに向かっているかの認識合わせをしながら、全員で同じ方向に向かって行くことが重要です。

このような背景もあり、2017年10月にOKRを導入することをCEOが決定し、全社オフサイトミーティングで説明がありました。当時のCEOのプレゼンテーション資料を見返すと、「カオス、リソースの無駄を防ぐ」と書かれていますが、早い成長を望む企業ならではの目標管理手法という認識がCEOの頭の中にもあったのだと思います。

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2017年10月、オフサイトMTGで使われたCEOのOKR導入プレゼンテーション(一部抜粋)

OKR導入のポイント

冒頭でお伝えした通り、OKRとは何か?については、多くの名著や記事が出ているため省略します。私からはできる限り運用で直面する課題について共有したいと思います。
また、OKRの概念や本質を理解することはとても難しいと思っておいた方が良いです。そのため、最初から100%理解を目指すのではなく、40%程度の理解をしたところで導入開始してしまい、後から理解を深めることをお勧めします。これは、先に運用をはじめてみた方がOKRの概念を理解しやすい。という私自身の経験に基づく見解です。

運用開始までの流れ
 1.導入スケジュールを組む
 2.OKRを決める

1.導入スケジュールを組む
OKRの運用を開始する1ヶ月前にどのようなOKRをセットするか十分話し合える時間を確保することをオススメします。

OKRはクオーターごとにセットするのが理想です。さらに、準備に約1ヶ月かけることが望ましいです。例えば7月のQ2からOKRを導入する場合、6月上旬からOKRの内容について話し合う時間を確保します。当社の場合は、下記のようにスケジュールを組んでいます。

6月1週目:社長(Company)のOKRを決めて、各部門マネージャーに共有する
6月2週目:各部門マネージャーのOKRを決めて、マネージャー間ですり合わせをする
6月3週目:マネージャーはメンバーと話し合ってOKRの内容のすり合わせをする
6月4週目:全体のOKRを決めて、内容に大きなばらつきがないかMgrがチェックする

ポイント1:上記スケジュール管理は、人事担当者もしくはOKR導入をするオーナーが行う。

2.OKRを決める
 それぞれの会社でOKRの設定方法は異なりますが、当社の場合は「Company」「Mgr」「Member」の3階層ごとにOKRを決めています。

重要な経営指標はたくさんありますが、その中でも特に3ヶ月間で注力すべきことは何かを考えてOKRに設定します。
よく、OKRにKPIを入れても良いのか?という質問を受けますが、答えは、「3ヶ月間で必ず達成したい、注力したいKPIであれば入れる」になります。KPIか否かではなく、「注力したいことかどうか」で決めます。

ポイント2:3ヶ月間で最も注力すべきことをOKRにセットする。

上位のOKRを決める人は次のことを注意する必要があります。

例えば、社長(Company)のOKRが下記の内容だったとします。
O:売り上げ達成して、業界の中で3年後大きな存在感を出す
K1:9月末までに売り上げ5億を達成する
K2:新規受注を月20件決める
K3:既存顧客に100万/月広告を販売する

営業組織であれば問題ありませんが、エンジニアやデザイナー、マーケティングの組織もあると、これを汲み取ったOKRの設定が難しくなります。(それぞれの部門のアクションが最終的に売り上げに繋がるのであれば問題ありません)
上位者がOKRをセットする場合、FIXする前に、下位層の部門マネージャーやメンバーと十分に議論し、OKRがツリーとして成り立たないと思った場合、柔軟に変更することも必要です。決める前に十分な議論をすること自体、OKRが目指していることです。

ポイント3:上位OKRはその下にぶら下がる部門やメンバーを意識したOKRをセットする。

KRの設定の仕方ですが、KRは定量的で、誰でも計測できる数値を設定することが望ましいと言われますが、それ以外にも”インプットではなくアウトプットを意識する”ことが重要です。例えば、下記のようなOKRを考えた場合、KRがObjective達成のための指標になるのはどちらでしょうか?

AさんのOKR
目標)日本一のラーメン屋さんを作る
KR)ラーメンを1日100杯作る

BさんのOKR
目標)日本一のラーメン屋さんを作る
KR)毎日1時間の行列ができるラーメンを作る

AさんのOKRは、結果100杯のラーメンを作れたとしても、必ずしもそれが日本一のラーメン屋に繋がるか不明です。それと比較してBさんのOKRは、確実に日本一のラーメン作りに繋がるアクションが取れるようになります。
このように単にインプット(やること)をKRにセットするのではなく、アウトプットをセットすることが重要です。

ポイント4:KRは計測可能であると同時にアウトプットを設定することが望ましい。

ただ、KRのセットは意外と難しいところもあるので、最初は60点を目指し、徐々に全体で理解を深めていければ良いと思います。

OKRは最初、必ず失敗すると言われています。
繰り返しになりますが、最初から完璧を目指すことなく、徐々に全体で理解を深めるスタンスで臨むのが良いかと思います。
ただし、逆に継続してやり続ける覚悟を持つことも重要です。続けていく中で、多くの変化を確認できるようになるでしょう。

次回は、OKRの運用を開始してからの流れやポイントについて書きたいと思います。

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