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ちょっとだけ、おしゃれしたいと思った日

私の妹は、まつ毛パーマのサロンを経営している。

私のまつ毛と眉毛は、妹(通称のんのん)にお願いしていて
今日は月1メンテの日。

私自身、おしゃれとは無縁の世界で生きていて

無地のTシャツに、ワイドパンツ  か
ロングワンピ(無印の肌馴染みいいやつ)

化粧は、眉毛を描くくらい

描くといっても、のんのんが作り上げた眉毛に少し施しを加える程度
(ほぼ、のんのん頼りで生きている)


かたや、のんのんは、OL女子みたいなかっこいいジャケットを身に纏い
中は可愛らしいワンピース

バッチリメイクで、簡単に言えば、韓国アイドルみたいな感じ。

毎度会うたびに、姉妹でこうも違うかと思う。


そんなおしゃれや化粧とは無縁の私に対して

のんのんはいつも、眉毛とまつ毛の調子を聞いてくれる。

「今日は、どんな仕上がりにしたい?」

「どんなふうになりたい?」


のんのんは

私がメイクに興味がないのではなくて

「メイクやおしゃれをする時間がないから、興味がなくなっている」

ということに気づいているのだろう。


だから、毎回聞いてくれる。

本当は可愛くなりたいという、心の中に眠った野望を掘り起こしてくれる。


そんなこんなで、いつも通り

まつ毛ぱっちり、ふんわり眉毛に仕上げてもらった。

鏡で仕上がりを見てみると、

そこには私だけど、私じゃない、可愛い私がいた。

自然と口角が上がる、にやにやする。



「メイク、もう少ししてみようかな」

と言葉が漏れていた。

自然と
「アイシャドウしたらもっと映えるかな」

「口紅は濃い赤がいいかな」

とおしゃれをして、出かける自分を想像していた。


本当はやりたかったこと

時間がないと言い訳してやりたいことを忘れていたこと

のんのんが思い出させてくれた瞬間だった。


「今から薬局いくよ!メイク道具買いに行くよ!!!!」

のんのんはそう言い、足早に準備し始めた。

その声と横顔は、嬉しそうだった。


のんのんの仕事のやりがいは、

こういう場面にあるのだろうかとも思った。


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