TDR再開とツイステ民と(後編)

TDR…東京ディズニーリゾートは、元々浦安沖を埋め立てて「オリエンタルランド」と云う遊園地を建設しようとしたことに端を発する。それが、当時習志野で谷津遊園を経営していた京成電鉄と、今はららぽーとや日本橋再開発で知られる三井不動産による合弁企業、OLC…オリエンタルランドの始まりだ。
そこに、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランド…ウォルトディズニーワールドリゾートはフロリダの施設だ…に影響を受けてディズニーを招致することにし、1983年にTDL…東京ディズニーランドとして開業した。そして後にTDS…東京ディズニーシーを開業し、ディズニーとは無関係の商業施設イクスピアリや舞浜アンフィシアターを含む、TDRとして一大レジャー施設群を手掛けている。
そのOLCはディズニーとライセンス契約を結び、フランチャイズとしてTDRを展開しているに過ぎない。企画や指導をディズニーが行い、それに基づきOLCが実働を担っているだけだ。

OLCとTDRにとって、ツイステはノータッチだ。いや、ノータッチの立場でいることしかできない。
ツイステに限らず、ディズニー作品の版権はディズニーが管理している。そのため、ツイステに絡めてTDRでの企画を発案しても、まずディズニーの版権担当の首を縦に振らせる事から始めなければならない。
そして、ツイステの世界観がそのハードルを上げていると読む。あくまで、マスターヴィランズがモチーフであって、出演作の色こそインスパイアと云う形で出しているものの、実態は配信サイドのオリジナルなのだ。

ディズニーが協力しているとは云え、事実上の別物。それがツイステのTDRでの立場を厳しくしているように思える。
TDRが大好きなディズニーオタク、通称Dオタは過去の件からしても一見怖いように見えるが、大多数の者の本質はディズニーのコンセプトに則り、且つ安全で楽しく過ごせればよく、それに水を差す行為に厳しいだけだ。だからルールやマナーには厳しく、注意喚起も牽制球の意味合いが強い。
何しろOLCは、TDLとTDSではディズニー傘下のマーベル作品に関してはアトラクションの建設計画は無い上、Dハロでもマーベル作品は禁止している。それはマーベルを巡るディズニーとユニバーサルの契約条項も影響しているだろうが、あくまでもOLCはディズニーとルーカスフィルムから買収した…後にルーカスフィルムも買収したが…ピクサーの作品に特化している。
現時点では、ディズニーの冠こそ付くもののディズニー本家との関連性が薄く、また資本関係も持たないツイステは、TDRで堂々と聖地巡礼できるだけの土台が未だ無いのだ。

ツイステの人気はこれから更に上がるだろう。それと同時に、TDRで聖地巡礼を望む声と機運が高まってくるのは目に見えている。Dハロの有無に関わらず、だ。
しかし、少なくとも今は時期尚早だし、行くとしても迂闊なことはできない。せいぜい、セルフィーをアップしながら
「ディズニーに行ってきた。ツイステの推しキャラの概念を吸ってきた」
とツイートすることぐらいだ。それでも一部の過激派Dオタは文句を言ってくる可能性は有るが、そこまで気にすると最早キリが無い。
ただ、それだけ扱いがナーバスなジャンルであることだけは、認識していなければならない。そもそもツイステの聖地がTDRなのも、モチーフになったマスターヴィランズの出演作のアトラクションなどがTDRに偶然在ったから、ファンが勝手に聖地と呼ぶようになっただけの話だ。OLCやディズニーがそう言ったワケではない。

事実上、以前TDRの休業中に書いた記事の焼き直しとなったが、営業を再開した段階で懸念は増した。特に前編と後編のアップに間が空き、その間にDハロを含むイベントを2020年度中は実施しないと云うリリースも出るなど、事態は進展した。
2021年のDハロに賭ける連中もいるが、同時にそれとは無関係で聖地巡礼…普通に入場すればそれでよい…を狙う連中も多い。その中で、人気作品だからこそ…TDSでのヴィランズ手下を巡るファンの問題行動も有って…民度を警戒される。
Dオタとツイステ民、相容れないケースが多いのは目に見えている。そして今は、ツイステ民がTDRでの言動に注意しなければ、今後更にツイステ民としての首を絞められることになる。

ここまで書いていて、何かと面倒なことばかり書いている、と云う自覚は有る。しかし、Dオタの心理もツイステ民の心理も判るからこそ、一般人からの目線で両者を天秤に掛けた場合、ツイステ民は常に不利に立たされることが判る。
それは、両者の歴史だけを見ても仕方ないと思える。どんなにツイステが人気でも、ディズニー本家の歴史に比べれば赤子同然、しかもつい最近TVCMが放映されたようだが、一般的な認知度は断然低い。
当分、ツイステ民にとっては我慢の日々を強いられることになる。ファンとしての試練、と云えばそれまでだが。

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