コスプレと著作権の話(2)

当然、著作権の法改正と云うワケにはいかない。あくまで著作権の侵害は版権元の申告によって初めて認定されるもので、政府が介入してどうこうするような問題ではない。ただ、先の記事でも述べたが、そもそも同人も含めて明確な窓口も曖昧なまま、グレーゾーンのまま長年続いてきたと云う問題に触れた形だ。

さて、では具体的にどうなっていくのか推測してみよう。イベントが開かれ、そこでコスプレして写真の撮影と云うのは従来通りで問題は無い。ただ、そのコスプレイヤーが撮影会のモデルとして、特定の作品の衣装で登壇してコスプレイヤーやイベント団体が金を得るとなると、怪しい部分が有る。

SNSへのアップに関しては、広告の問題が挙げられる。例えばYouTubeの収益化のように、広告や再生回数で金を得られると云うのはアウトだが、YouTubeが著作権料の支払いのためにYouTubeが全額を持っていくタイプの広告であれば問題は無い。
何故そうなるか、と言えばコスプレ写真がイラスト同様、前回も書いた版権元にとっての宣伝に成り得る側面が有り、その効果が無視できない。
例えば、以前黒子のバスケのアプリがリリースされたが、スクリーンショットのアップを禁止した。しかし、それによってSNS上ではアプリの話題がされなくなりユーザーは伸び悩んだ。ユーザーが増えなければ逆に減る一方で、それは課金などによる売上に影響し、やがて採算面を理由としたサービス終了の要因になる。このケースでは、パブリッシャーが方針を転換したものの伸張は見られず短命に終わった。また、ヒプノシスマイクもスクリーンショットは禁止で、それがアプリの知名度の足枷になり、今はアプリの売上高の速報ニュースで見るぐらいだ。
それは、SNSでユーザーが採り上げることが高コスパな宣伝であることを如実に示しているが、コスプレも同等の効果が有る。そうなってくると、R18は御法度だが普通の写真なら問題ない、と云う辺りにランディングすると見ている。
それでも著作権と云う縛りが必要であれば、それはコスプレ専門SNSが各企業と包括契約を締結した上で、そこへのアップロードに限定することになるだろう。例えばWorldCosplayやコスプレイヤーズアーカイブ、そのアプリ版と云える投稿アプリClaps!だ。ただ、特に後者2つはアクティブユーザーのフォロワーからコスプレ業界の闇と言えるような黒い話も相当聞いている上、それは自身もほぼ幽霊ユーザーだが実感しているため、それらが息を吹き返すとどう云う方向に転ぶのかは気になるところだ。

さて、写真集やROM…CG集のコスプレ版と思えば早い…に関しての扱いが、最もネックになるだろう。同人誌は、前回も述べたように「全額印刷代」であり「印刷代を除けば事実上の無償配布」で長年やり過ごしてきた…版権元もうるさく言わなかった…経緯が有る。
コスプレも、同人イベントで売る形である以上、印刷代と云う名目でやり過ごせるのではないかとは思われる。ROMもデータを今時のワードにすれば「円盤」プレスするプレス代とすれば、同様になるのではと思われる。
しかし、そうはならない場合はフィギュアやガレージキットの即売会ワンダーフェスティバル…通称ワンフェスで見られる1日版権と云う方法が有る。これはイベント日のみ版権を得ると云う方式だ。
それ以外でも売るとなると通常のライセンス契約が必要になるだろう。

コスプレの著作権のルール化と書くと、政府の介入がとんでもない領域まできた、文化の侵害と挑戦だと思う連中もいるだろう。ただ、もしそうするのであればイラストやコミックについても同様でなければ、やはり不公平だとして大きな反発を招く。
コスプレを日本のサブカルチャーの一翼とするのであれば、対外的にも著作権との兼ね合いは明確化しておく必要が有り、それは今後イラストやコミックにも波及するだろう。繰り返すが、コスプレだけを標的にされた、と見なされては不公平だし政府にとっても反発は不都合だからだ。
とは云え、政府の迷走と論点外れは甚だしいため、これが変な方向に拗れる危険性も健在で、コスプレイヤーなどコスプレ関係者は、この話には目を光らせておく必要が有る。

ただ、やはりタイミングが悪い。この件をスケープゴートとして、何か裏で色々と画策しているのではないか、と勘繰っている。疑えばキリは無いが、サブカルWEBライターである以上疑いの目を持って記事を書く必要も有るし、そもそも今の政府を見ると疑わざるを得ないし、疑われても文句を言えないほどだ。
この件は今後も追っていきたいが、変なことにならなければよい。具体的には、イベントでコスプレして撮影して、Twitterでなくてもコスプレ専門SNSでもとにかく活動報告的にアップロードする媒体が有ってそこにアップロードできればよい。
そうでなければ、イベントで出してもアップロードする場所が無いのであれば、コスプレの理由や意味を失い、コスプレ離れと云う衰退に直結する。

余談だが、誰かが
「アップするごとに著作権料を払うことになると、金の有無でコスプレイヤーの格差が広がる」
ようなことを書いていたが、何を今更。コスプレイヤーは、衣装や小道具からで万単位の金が飛ぶことを厭わない連中だ。逆に言うと、それだけ準備へへの投資が大きく、金が無いとできないのだが。その程度の出費自体、苦にはならないとは思う。

どちらにせよ、コスプレイヤーなどコスプレ関係者は、この話には目を光らせておく必要が有る。

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