友情の青春に灯る謎と功罪――米澤穂信『本と鍵の季節』
暇を持て余す図書委員二人の解き明かす、功罪潜む日常の謎――。
男子高校生二人の友情、そして日常と学園に埋まる青春と謎の繊細な陰影に、痛みと切なさを覚えながらもありしいつかを追想させられます。
最初に
著者の米澤穂信先生と言えば日常の謎というジャンルの推理小説の名手として知られています。代表的なものを挙げると、京都アニメーションにより映像化もされた『氷菓』の物語群、〈古典部シリーズ〉のような作品などががありますね。ふとした日常に潜むちょっとした謎を、これまた普通の延長