全ては45話目の最終回を観るために『MR.ROBOT』感想
現在Netflixで配信されているアメリカドラマ『MR.ROBOT』。
主演は映画『ボヘミアン・ラプソディ』で主演を務めたオスカー俳優のラミ・マレック。
全シリーズ45話。(シーズン4まである)ゴールデングローブ賞を受賞した人気ドラマだ。
私は、『ボヘミアン・ラプソディ』でラミの演技に魅了され、このドラマを観ることを決意した。
第3シーズンを観たあとから、1年くらい時間をあけてしまったが、昨日シリーズを無事完走した。
一夜経っても興奮が冷めらわない。
このドラマへの想いをこのnoteに綴ろうと思う。
これからはネタバレを含むことを書いてしまうので、まだ観ていない方は観ないでほしい。
それでは、『MR.ROBOT』への愛を語ろうじゃないか。
このドラマは、私の人生で初めて観た海外ドラマデビュー作だ。
日本のドラマを毎クールほぼ全話観ている私。初めて観たとき、日本との違いに驚いた。
主人公・エリオット(ラミ・マレック)は、ドラック中毒者。薬をやって、不安定な精神を安定させている。
薬をやっている人たちは、みんな汚い言葉を彼に浴びせていく。
その治安の悪さ、こんな下劣な言葉を言っていいんか?と不安になるくらい(笑)
主人公は精神不安定でいつもおどおどしている。
ハッカー用語もよく分からない。正直、このドラマを最後まで見続けられるか不安だった。
しかし、シーズン1のラストを観て全ての常識が覆された。
他人だと思っていたダーリーンが主人公・エリオットの妹だったこと、自分をハッカー集団に誘ってきた男が、自分が創りだした別人格だったこと。
今まで、好き勝手にやっていた男は、エリオット自身だったこと。
私は、何を観ていたんだろう。真実を知り、シーズン1の印象が180度変わった。あの衝撃は忘れられない。
第2シーズンは、正直観るのが辛かった。
ミスター・ロボットとエリオットの主導権争い、刑務所での争い…。ワーワーして、痛くて、二人の言い合いが辛くて、物語の展開も遅くて、離脱しそうになった記憶がある。(すでに2年前の話なので記憶があいまい)
しかし、第3シーズンから一気に面白くなる。タイレルが生きていたからだろう。宿敵・ホワイトローズも、操られたアンジェラも、本気を出してくる。なんといっても、主人公のエリオットが敵対していたミスター・ロボットと協力関係になっていく展開が胸アツだ。
第4シーズンは、毎話が濃厚すぎて観ていて飽きなかった。
仕事以外の時間を使って後半5話は2日で観た。
ラストを観た私は、最初にこう思った。
「”君”がとても愛おしい」
おどおどして、弱くて、でも強くて、愛するもののために全力で戦う、愛するものを大切にする、そんな”君”がただただ、愛おしい。
この主人公は、幸せになってほしい、抱きしめたい、そう思わせてくれるヒーローだと思った。
最初は不安定なエリオットのことを心配してばかりで、観るに絶えなかった。
しかし、いつの間にか怯えながらも弱さに向き合い、少しずつ前に進んでいく姿を観て、心の中で大声で応援していた自分がいたことを完走した後に気づいた。
思えば、回を重ねることに増えていくラミの大きな瞳から溢れるたくさんの涙をみて、この青年の幸せをただひたすら祈り続けていた。
なぜ、彼がこんな目に?と怒りが込み上げる回もあった。
弱さを見せるヒーローだったからこそ、最後まで感情移入をして応援できたのかもしれない。
大好きなキャラはみんな死ぬし、血を流してボゴボコになるし、とにかくみんな幸せになってくれ、と祈り続けるドラマだった。
正直ハッキングのことは難しすぎて分からないし、ダークアーミーとの力関係や、Eコープがしでかそうとしていたかとか正直細かいところはよく分からない。(ダメだろ)
だけど、私たちの考えを180度回転させる演出は毎度驚かされ、心が掴まれる。ドラマ『コンフィデンスマンJP』のダー子に騙されている気分だ。
第45話で明かされた真実を知ったときの衝撃は、シーズン1を越えるレベルだった。
実は私たちが「エリオット」と思っていたのは「本物のエリオット」ではなかった。名もない、1人の人間の人格の1つだったのだ。
え、主人公が”本物”じゃない…?そんな主人公、いやヒーロー像は見たことない。
主人公がかなーりの不安定な性格だ。
自分たちが観ているのはリアルなのか、空想なのか…本当にその境界が分からなくなるドラマだった。私が今見ている物語はエリオットの空想?それともリアル?本当にわからない。そのミステリアスさ、怖いもの見たさに化け物に近寄ってしまう、人の好奇心をうまくついたドラマだと思う。
シーズン4は30分くらいセリフがない回とか、まるで舞台のような構成で進んでいくものがあったりとか、遊び心満載のシリーズであらゆる回で「挑戦」をしているなと思った。
シーズン1で出ていたキャラがなんでこんな時に出てくるの?と思うシーンもあったけど、どれもエリオットには必要な要素だった。最終回見たときの、1話からの伏線がすげぇ…。
この見事で、見たことがない構成のドラマを観て、このドラマがなぜ高い評価を受けているのか分かった気がした。史上最高のコンフィデンスマンドラマだ。
ラストの、あの真実を知ったとき、私はこの真実を知るために45話エリオットと戦い続けていたんだと思った。
最高のドラマだ。
最後に。
このドラマを見て、「性同一性障害」という病気を知った。それが幼い頃の性的虐待のトラウマから生まれるということも。記事を探すとエリオットのような人がたくさんいる。多重人格はドラマのトリガーとしてカッコよく使われることが多くて、正直そんな人なんていないと思っていた。
でもいるんだ。ネットの記事たくさん出てくるんだ。
美化するんじゃなくて、それに苦しんでいる人がこの世の中にたくさんいるということを頭に留めておかないとなと反省した。
ありがとう。”君”。