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自分の百エン玉で、ガチャポンを回したい。

今日も街はハリボテで成り立っていた。屋外広告がどんなにリアルになってもその裏側は極薄の有機ELでしかない。そこには誰かの私利私欲が、大義と偽善にくるまれた「ゆるキャラ」になって、降ってくる。画面の裏側には野良猫さえもいない。野良猫さえいてくれたら良いのに、と思いながら私はそっと目をそらすしかなかった。

しかしながら、ビル群の狭間でラジオを聴きながら歩き続けるうちに、自分もハリボテの構成要素の一つでしかないことにはたと気づく。やむなし、小さく抵抗してやろうと横並びに信号からよーいドンするところで白線のみを選んで歩いてみる。黒いところを踏んだら最後。深い谷底から、時空を超え、どこかのガチャポンの取り出し口へ真っ逆さまに落ちる、なんて妄想しながら。

「百円玉には世の中の怨(エン)と圧(エン)と闇(エン)が百個詰まっているから百エン玉って言うんだよ。」

ラジオパーソナリティが軽快に説明してくれた時、私はポケットの小銭を強く握りしめる。なぜなら、知らず知らずのうちに伝統やルールという無思考を盾に自分も「ゆるキャラ」作りに加担しているかもしれないと、気づいたからだ。

もし、そのことに学生時代に気づいたとしたら、無思考をわら半紙の飛行機に乗せて学び舎から墜落させてやろう。私もあなたも全て、オリヂナルなのだ。学習指導要領も、シラバスも、一輪車もいらない。それらはゆるキャラたちの精神安定剤でしかない。

あなたの百エン玉をつくれ。
あなたの百エン玉でガチャポンを回せ。

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