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第1回【まるっと大公開!VRChatアバター『藤守』ができるまで!デザイン編】


初めまして、こんにちは!
わたしの名前は味噌月あやべと言います。
わたしは趣味でVRChatのアバターを製作して販売しています!

VRChatを知らない人のためにざっくりと説明すると、VRChatとは、VR空間でおしゃべりやゲームが楽しめるコミュニケーションツールです
VRが無くてもパソコンがあれば楽しめます。しかも無料です!

それだけでも十分楽しいのですが、もしあなたがその気になれば、3DCGソフトを使って自分のキャラクターの3Dモデルを作り、VRChatのサーバーにアップロードすれば、それを自分のアバターとして使うこともできます!(簡単じゃないけどね)

つまり、わたしは自分が作ったアバターをみんなも使えるように販売しているって訳です。

そしてこの度、新しいアバターが完成しました!
それがこちら!



アアア~~~イイ湯ダナ~~~~

あっ、間違えました!こちらです!

いかがですか!?
この子の名前は『藤守』(ふじもり)です。
藤守は『藤』『ヤモリ』がコンセプトの龍です。

ヤモリのような長いしっぽと大きなおててが特徴的です。
頭から生えた角は藤ヅルになっていて、そこからは葉っぱや藤が咲いています。
服装は全体的にボロボロで、まるで常世のものではないような様子。

神様なの?それとも妖怪?」

そこらへんがなんだかよく分からないのも魅力です。

製作期間は、なんと1年。
今までは半年に1体のペースで作っていたので、その倍の長さです。

このnoteシリーズでは藤守が出来上がるまでの1年間を、全4回に分けて紹介します。

noteを書くのは初めての経験ですが、専門用語はできるだけ省いたり、解説をはさんだりして、だれが見ても分かるように気を付けて書きました。

このシリーズを通して、アバター製作の楽しさや魅力について知ってもらえると嬉しいです。
それではよろしくお願いします!

2022年5月、プロジェクト始動

前回のアバター製作が一段落し、そろそろ次の新作に取り掛かろうとしていたころ、わたしの中にはこんな考えがありました。

「たまにはSF以外のジャンルもやってみてぇなぁ~~……」

SF。いわゆるサイエンスフィクション
わたしが好きだったのはもちろんですが、3DCGの勉強をするのにも何かと好都合で、2年ほどずっとSFチックなアバターを作ってきました。

しかし、同じことをずっと続けているとだんだんと慣れてきてしまい、新しい表現を追求することも無くなってしまったのです。

お恥ずかしい話ですが、わたしは専門学校をたったの1年で中退して、それから独学で3DCGの勉強を続けている身
えぇ、そうです。22歳の無職です。『引きこもり』のオプション付きです。
だから、勉強を止め、表現すら止めてしまうことは、本当の意味で社会からのドロップアウトを意味します。嫌だ!まだ死にとうない!
死……?

そんなときにプレイしたゲーム『SEKIRO』はわたしにとってとても良い刺激になりました。
死にゲーとしてのゲーム体験もそうですが、なにより和や仏教的な世界観に魅了されました。

驚いたのは、緻密なグラフィックに反してゲームの動作が異様に軽いことでした。
気になったのでゲーム中を散歩して3Dモデルを観察してみると、至るところで軽量化の工夫がなされていることが分かりました。
そして、おそらくそれらはVRChat上でも実行可能で、つまり、SEKIROのような細かい造形のアバターが頑張れば作れることを意味していました。

「これ……面白いかも!」

この一件が藤守を製作するきっかけになりました。
そして、この時はまだアバター製作が1年も続くことになるとは思ってもいませんでした。

2022年6月、企画

「さて、じゃあ何を作ろうか?」

幸い、アイデアは頭の中に腐るほどありました。

まず初めに決まったことは『男性っぽいアバターにすること』でした。

理由は、わたしはしばらく女性アバターを作ることが続いていたので、「たまには男性っぽいアバターを作りたいな~~」と思ったからです。

ここの『男性っぽい』というのがポイントで、「男性か女性かをハッキリ決めるのではなく、中性的で、だけど男性らしさが感じられる造形がしたい」と思いました。

そうなると、モチーフは性別のある現実の動物よりも架空の生き物のほうが良さそうです。

「だったらもう、『龍』しかないじゃん!」

モチーフは『龍』。それも東洋龍です。迷う隙もなく、一瞬でそう決めました。

理由は『龍が好きだから!!!』が8割ですが、残りの2割は『分かりやすいモチーフのほうが受け入れられやすい』という、実につまらないものでした。

「アーティストたるもの、人に受け入れられるかなんて二の次だろ!?」
……って考えは、実はわたしの中には全然なくて、むしろ『みんなに分かりやすく伝えること』のほうが大事だと考えています。

ほら、あれですよ。ツイッターのタイムラインで画像が流れてきても、そのほとんどはスクロールされてしまうじゃないですか。
だから一瞬で「お、これは〇〇だ!」ってわかるようにしないと、見てもらえるものも見てもらえんのです。


モチーフは龍に決まりましたが、もう少し掘り下げてみます。
龍には何かしらの”属性”があったほうがステキです。
例えば、モンハンのリオレウスは『火』で、ポケモンのギャラドスは『水』、みたいにね。
しかしそういったメジャーな属性は、今までの創作に何度も何度も使われていて、いまいち新鮮味に欠けます。
なので、そういう『火!水!雷!闇!』みたいなものは避けて考えることにしました。

「あっ」
「そういえば、SEKIROに身体から『桜』が生えた龍がいたなぁ…」

SEKIROの桜竜に倣って、『花』をモチーフにするのはいいアイデアだと思いました。
しかし桜はすでに桜竜がいるので、さすがに他の花にします。

日本を代表するような花は他にもたくさんあります。例えば梅やつつじ、すみれ、アジサイ、ツバキ、ユリ、そして『藤』……。
ぱっと思いつくだけでもこれだけあって、正直、どの花にするかめちゃくちゃ悩みました。

『モチーフを一つに絞らずに、好きな花を咲かせられるようにする』という案もあったくらいです。
これは面白いアイデアだったのでアバター製作の後半まで保留していましたが、最終的に容量の問題でボツになりました。

その年、近所ではきれいな藤が咲いていました。アバターを作り始めたころにはすでに散っていましたが、写真には残っていました。

「藤なら近所に咲いていて自由に観察できるし、花が満開に咲いている様子は桜にも負けず劣らずキレイだなぁ」

「じゃあもう藤でよくね?」

そういう経緯で、龍の属性は『藤』に決まりました。


こうなると龍のモチーフも決めたくなります。
龍のデザインの元となる動物を決めるのです。
しかし、すでに藤という属性があるので、あまり変な動物にするとコンセプトが迷子になってしまいます。
やはりここは龍のイメージに近い『ヘビ』『トカゲ』なんかの爬虫類がいいでしょう。

そうして龍のデザインのベースは『ニホンヤモリ』に決まりました。

ニホンヤモリは昔から日本で親しまれている動物だし、デザインも質素なので藤のデザインとかち合ってしまう心配もないでしょう。
厳密に言えばニホンヤモリは中国から来たものですが、もう3000年も昔のことなので時効とさせてください!時効だ時効!!

「藤と家守……か……」

「2つ合わせて『藤守』!覚えやすくていいね!!」


それから藤守の一番最初のスケッチができるまで、そう時間はかかりませんでした。

一番最初のスケッチ

2022年8月、デザイン決め1

おわかりいただけただろうか。アバターを作ると決めてからすでに3,4か月が経過したことを。

実にスローペースで製作をしていますが、それなりの理由があります。
このときわたしは合同誌に掲載してもらうマンガを描いていました。
それに加えてSkeb(イラストの有償リクエストを送れるサービス)のご依頼も複数件引き受けていました。
ついでにデータ入力のバイトもしていました。月給6000円ですよ!?もうやらん。

普通の社会人と比べたら仕事量はさほどでもないですが、『マルチタスク』というものは思考を濁らせるようです。
そういったわけで、藤守の製作は全くの手つかずで後回しになっていたのでした。

さて、言い訳はほどほどにして、藤守のデザイン決めの話をしていきます。
今回はいつもと違う面白い試みをしました。

それは『昔話を作る』ことでした。

キャラクターを作るときは、キャラクターの設定や背景があったほうがより説得力が増します。
VRChatのアバターに関してはそこまで考える必要もないかもしれませんが、それでも『藤守』『頭から木が生えてるよく分からんキャラクター』のままにしておくのは如何なものかと思ったんです。

そこでわたしは図書館に赴き、民話を読み漁ったり、また神社やご神木なんかを巡ってアイデアを集めました。

『外出』というのは皆さんにとってはごく普通のことだと存じますが、引きこもりのわたしにとって『外に資料集めに行く』なんてことは『今日の夜は寿司よ!』ぐらい一大イベントなわけです。ハンバーグでもいいです。

スケッチをしていたら知らんガキンチョに「お兄ちゃん!何描いてるの?」なんて聴かれた日にはすべての精神力をそがれてしまい、わたしはもう家に帰るほかありません。R.I.P.

逆に自分も道に迷ったりして「ここはどこ……じゃ?」などと人に聴かなきゃいけない、なんてことにならないように、予めグーグルマップの一人称視点のアレで何度も行ったり来たりしました。
そういった努力の甲斐があって、実に人が少ないタイミングでじっくりと調べ物をすることができました。



そして、その末に完成した昔話がこちらです。
(一年前に書いたものなので、今と比べるとまとまりがなく読みづらいですが、当時のまま掲載します。)
長いので読み飛ばしても問題ありません。

むかしむかし、山奥に大きな藤がありました。
しかし藤は弱っていて花を咲かせることができませんでした。
あるとき、藤の木の下に1匹のヤモリがやってきました。
藤はヤモリに頼みごとをしました。
「ヤモリさん。私の身体についた虫を食べてくれませんか。」
見ると、藤にはたくさんの虫がついていて、その葉をむしゃむしゃと食べているのでした。
ヤモリは「わかりました。」と、藤についた虫をペロっと平らげました。
藤はそのお礼に花を咲かせようとしますが、できません。
「ごめんなさい、ヤモリさん。お礼に花を咲かせてあげたいのに、私にはそれも叶いません。この山の上にいる龍神様が雨を降らせてくれず、それほどの力は私にはもう残っていないのです。」
ヤモリはそんな藤の様子を見て、かわいそうに思いました。

ヤモリは山に登り、龍神様に会いに行きました。
「小さきものよ。私に何用だ。」
「この山のふもとの藤殿が乾ききっている。どうか、そのお力で雨を降らせてはくれないか。」
「度胸のあるやつだ。いいだろう。だが、代わりにお前の大事なものを貰っていくぞ。」
そう言うと龍神様はヤモリの舌を引っこ抜いてしまいました。

…雨が降りました。藤は喜びます。
「ああ、いつぶりでしょうか。雨が降りました!これで花を咲かせることができます!」
ヤモリはこれに応えようとしますが、舌がないため声が出ません。
藤はヤモリの声が聞こえないので、だんだんと恐ろしくなりました。
「なんということでしょう…。きっとヤモリさんは私のために龍神様に雨ごいをしにいって、そのまま死んでしまったに違いない!」
ヤモリは「それは違う」と言おうとしますが、舌がないのでできません。
葉についた虫を食べて知らせようとしますが、これもできません。
藤は言います。
「これでは花を咲かせても何の意味もない。わたしがあんなことを言ったばかりに、大切なものを失ってしまった。」
雨はたっぷりと降りましたが、藤が花を咲かせることはありませんでした。

それから数日が経ちました。ヤモリは飲まず食わずですっかり弱っていました。
ヤモリは藤の大きな体に寄り添いながら、心の中で思います。
「ずっとお側におります。」
だんだんと意識が霧に飲まれていきます。
すると、藤は決意を固めたように大きな声で言いました。
「山の神々よ。私のすべてを捧げます。だからどうか、私にすべてを捧げてくれた1匹の小さな命をお救いください。」

…気づくとヤモリは竜の姿になっていました。背は人間の青年ほどで、頭には藤蔓の角が生え、そこには藤の花が咲き乱れていました。
「藤殿を私の中に感じる…。」「こんなにも近くにいるというのに、もう話すことも、葉についた虫を食べてやることも叶わない…!」
藤の竜はわんわんと泣きました。
やがて藤の竜はその土地を離れ、藤が安心して暮らせる静かな土地を探して放浪しました。
そしていまも人里離れたどこかで旅を続けているといいます。
荒れた山々に藤がよく生えているのは、藤の竜が旅をした道のりだと言われています。

全部読んでくれた方はありがとうございました。きっといい人ですね。
昔話を書いてみての感想ですが、単純に楽しかったです。
それに、これがあれば藤守のデザインが決めやすくなるし、キャラクターがブレることもなくなります。

昔話もといキャラクターのショートストーリーを考えるのは面白い手法だったので、今後も続けてみようと思います。

2022年8月、デザイン決め2

昔話を考えたことでアイデアがまとめやすくなりました。
いよいよデザインを決めていきます。

デザインをするうえで気を付けなければならないことは沢山あります。
例えば『配色』とか『シルエットのバランス』とか。
細かいところで言うと『装飾品の時代や身分を間違えないようにする』なんかも大事ですね。

ここで全てを紹介することは難しいので、アバター製作という観点から重要なポイントに絞り込むと、それは『きれいに動くかどうか』です。

3Dモデルをきれいに動かすことは容易ではありません。
多分第2回か3回目くらいで説明することになるので、ここでは詳しく触れませんが、とにかくきれいに動かないことがデフォだと思ってください。

例えば、以前、アバターの袴がしゃがむとクシャクシャになる不具合に悩まされたことがありました。

クシャ…

ちなみにこれはいまだに直っておらず、そのまま「仕様」という形で強行しました。(本当にごめんなさい。かなり反省しています)

これが自分のしでかした一番デカい失敗なのは間違いありませんが、程度は違えど、そういったトラブルは過去に何度もありました。
アバター製作には明確な工程が存在するので、もし前の工程でミスが見つかると、今やっていた工程をすべて放棄してそこまで戻るという選択を迫られることがあります。
その期間が1日、2日程度ならすぐに戻りますが、1週間、2週間、1か月となってくると精神的なダメージは大きいです。
それに、納期の関係で戻りたくても戻れないこともあります。

こんなことはもうこりごりなので、今回はVRChatできれいに動くことを第一に考え、無理のない造形を心がけることにしました。

そうしてできたデザイン案がこちらです。

  1. シンプル

  2. バランス

  3. バランス+α

といった感じです。

個人的には1のデザインが昔話のイメージには一番近いのかな、と思います。
ですが、デザインが質素すぎてアバターとしては不十分だと感じました。

2は鎧を着せた姿です。Twitterのアンケートではそこそこ人気でした。
わたしもデザインとしては気に入っているのですが、しかし、鎧を身にまとった姿は勇ましすぎて、藤守のイメージからはやや離れてしまいます。

3は1、2のデザインを考えた後に新しく練り直したもので、配色やシルエットのバランスを考えながら調整しました。
特に何も言うことはないです。これに決めるつもりで描いたので……じゃあ何のためのデザイン案なんだ?

4は3のデザインにミノを付け足したものですが、肩のシルエットが大きくなってしまうのがあまりよろしくないと感じます。
あくまでも改編案の一つでしょう。そして、めでたく容量の都合でボツになりました。

こうして『3』のデザインに決定しました!!
藤ヅルの冠や、背中に括り付けた儀式用の刀なんかは最終的に削除されてしまった要素ですが、全体的な雰囲気は引き継いでいることがわかるかと思います!
比較用に似た角度の3DCG画像を貼っておきます。

第一回まとめ

今回はVRChatアバター『藤守』のデザインがどのようにしてできたのかを紹介しました。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました!

次はいよいよ、今回のデザインを3DCGで形作っていきます
また次回も長くなる予定なのでよろしくお願いします!!語りたいことがたくさんありますので!!
それでは、ばいちゃ!

第2回【まるっと大公開!VRChatアバター『藤守』ができるまで!モデリング編】

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