#1-9 プロジェクトの運営手法②適応型その1(反復型・漸進型編)
今回は1990年頃から原型が登場し始めた適応型についての記事です。
今回は適応型の中でも、反復型・漸進型の内容についての話です。
適応型のもう一つはアジャイル型というのですが、これは次回の記事でまとめています。
適応型
適応型は、ザックリ説明しますと、開発工程の状況を適応させながら進める手法です。
適応型の中でも、さらにタイプが分かれます。
・反復(スパイラル)型
・漸進型
・アジャイル型
反復型と漸進型には共通している点があります。
それは、スコープ(プロジェクト全体で何を行って何を行わないかを定めた全体像)は初期に決定して、コストとスケジュールは開発状況に応じて常時変動していくという点です。
「何」を作るかは初期から明確だけど、お金と時間のやりくりは活動の中で決める、という感じです。
ウォーターフォールなどの予測型は、時間とお金の使い方も初期に決めてしまうので、その点が違います。
反復型
システムをさらに「独立性の高いサブシステム」に分割して、サブシステムごとに一連のサイクルを繰り返しながら段階的にシステムを完成させていく開発手法です。
サブシステムA完成 ⇒ サブシステムB完成 ⇒ サブシステムC完成……
という感じです。
予測型のウォーターフォールモデルとプロトタイピングモデル(※)の特徴を併せ持った開発手法と言われています。
漸進型
漸進は、「ぜんしん」と読みます。「順を追って少しずつ進む」という意味です。
一連のサイクルごとに成果物の機能が追加されて、最後のサイクルで完成になるという作り方です。
反復型と漸進型の違い
実際の作業でないと違いがわかりづらいので、反復型と漸進型を「色をつけた雪だるまの作り方」で例えてみます。
下が直径20cmの雪の玉、上が直径10cmの玉を組み合わせて、色を付けたカラフルな雪だるまを作るとします。
現実的には、カラフルな雪だるまを作るなら表層部分のみ着色すると思いますが、この場合、雪玉の中もきちん着色されているモノが完成品である、という条件にします。
(表層だけ作って中身がない、というのは、ボタンはあるけど押しても何も機能しないシステム、になってしまうので)
反復型は、上下の雪玉を作る時に、独立した半球4つ(サブシステム)を組み合わせで作っていくイメージです。
直径20cmのボールに、着色料で色を付けながら雪をパンパンにつめて半球を作ります。
この時点で、色が思ったような発色をしなければ、また新たにボールに雪と着色料を混ぜて半球の雪を作ります。
これがプロトタイプですね。
想定通りの色の半球の雪が出来たら、同じ着色料の配合で同じ半球を作ったら組み合わせて一つの雪玉にします。
反復型は、何人も同時に半球を作れるので、人数が多い場合は、漸進型より早く完成するかもしれません。
漸進型は、最初に染料で染めた雪で、普通に雪玉作る要領でコロコロ作っていきます。
ある程度の大きさになったら止めて、染料の配合を変えて色見を調整していきます。最後にサイズを調整して完成。
コロコロ作る時に直径が大きくなる、というのが、一連のサイクルごとに成果物の機能が追加されていく、というイメージです。
反復型と違って、漸進型は半球を合体させるという作業は不要です。
また、漸進の方が頑丈かもしれません。
同じ色の付いた雪だるまでも、作り方で完成形の形や内部の色味が変わってきます。
どちらが良い・悪いではなくプロジェクトで求められることに合わせて作り方を選びます。
早く完成する方が良いのか、形が限りなく球に近い方が良いのか、色が均等に染まっていることが良いのか……など。
次の記事では、引き続き適応型の別のモデルの、アジャイル型について説明します。
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