#3-10 スケジュール・マネジメントの計画
スコープ・ベースラインが(一旦)完成したら、次はスコープ・ベースラインを基にした、スケジュールとコストのベースラインの計画を行います。
今回から、<計画>プロセスの「スケジュールの領域」に入っていこうと思います。
計画プロセスにおけるスケジュールの領域は
「スケジュール・マネジメントの計画」
「アクティビティの定義」
「アクティビティの順序設定」
「アクティビティ所要期間の見積もり」
「スケジュールの作成」
で構成されています。
計画プロセスの目的(着地点)は「スケジュールの作成」で、他の項目はスケジュール作成のためのフローです。
スケジュール・マネジメントの流れ
スケジュール作成までは、ざっくり下記のような流れです。
①スケジュール・マネジメントの計画
:マネジメントの方法を決める
(「スケジュール・マネジメント計画書」)
↓
②アクティビティの定義
:作業の洗い出し
(「アクティビティ・リスト」)
↓
③
アクティビティの順序設定:作業の順序付け
and
アクティビティ所要期間の見積り:作業の所要期間の見積り
↓
④スケジュールの作成
:スケジュールが決定=「スケジュール・ベースライン」になる
スケジュール・マネジメント計画書
スケジュールの作成には、プロジェクトの中で統一される判断基準が必要になります。
例えば、「このプロジェクトにおいては、Aを最優先事項にする」という規定を定めることで、スケジュールを組み立てる時の判断基準になります。
こういったスケジュールマネジメントのルールを集約したのが「スケジュール・マネジメント計画書」です。
「スケジュール・マネジメント計画書」は「プロジェクトマネジメント計画書」を構成する要素の一つです。
「プロジェクトマネジメント計画書」は19個の書類で構成される、あるプロジェクトにおけるマネジメントの方法・ルールについてまとめたものです。
プロジェクトの目的や制約、いわば”プロジェクトの個性”に合わせたプロジェクトの育て方をまとめたルールブックみたいなモノです。
「プロジェクトマネジメント計画書」では、アクティビティの内容を定義したり、スケジューリング方法やスケジュール形式を決定します。
また、プロジェクトのスケジュールを作成とスケジュールをコントロールするための基準を明確にします。
「スケジュール・マネジメント計画書」の作成には、スコープの作成時と同様に、プロジェクト憲章等から得た情報を参考にします。
■スケジュール・マネジメント計画書の構成要素例
・使用するプロジェクトスケジュールモデル
・アクティビティ所要期間
・見積りの正確性
・使用するパフォーマンス測定のルール 等
アクティビティの定義
以前の #3-7 アクティビティの記事の復習になりますが、アクティビティとは、プロジェクトの進行中に実施される実作業のことです。
アクティビティの定義は、WBSやプロジェクト・スコープ記述書をレビューし、情報を集めて行います。
他にも、EEF(組織体の環境要因)やOPA(組織のプロセス資産)の情報や、SME(Suject Matter Experts:当該分野専門家)の判断も参考にします。
↓EEFとOPAについて
アクティビティの依存関係
アクティビティには、依存関係を持つものがあります。
依存関係とは、2つのプロジェクト間に存在する論理的順序関係のことです。
例えば、建築プロジェクトにおいて「家の基礎となる柱を設置する」と「屋根を取り付ける」には、作業の順序関係が成り立ちます。
まず柱を何本か立てて、その後で複数の柱の上に屋根を取り付けるというのが一般的な工程の順序です。
このように、アクティビティ同士の依存関係を理解して、開発スケジュールを組み立て行く必要があります。
アクティビティの依存関係のは、4つの種類があります。
・強制(ハードロジック)
:契約で要求されたり、作業の性質上内在する関係。
・任意(ソフト・ロジック)
:知識に基づいて、ある特定の順序が「ベター」だと考えられる関係。
・外部
:プロジェクト・アクティビティと、プロジェクト外のモノやコトとの関係
・内部
:プロジェクト内のアクティビティ同士の関係
強制 ⇔ 任意
外部 ⇔ 内部
という視点でアクティビティを見ると依存関係を把握しやすくなります。
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