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#2-14 「プロジェクト憲章」作成に向けた情報収集

昨日(前回)の記事から続いて、プロジェクトの立上げフェーズのプロセスの一つである「プロジェクト憲章の作成」についてのお話です。

↓昨日(前回)の記事

「プロジェクト憲章」は、実際は、会社で個別具体的な基準設定と別の名称で定義されている場合が多いと思います。
一般的にはPMが作成しますが、会社によってはPM以外が作成することもあります。

「プロジェクト憲章の作成」など、『PM BOK』の用語に関する話は、プロジェクトマネジメントのグランドセオリーとしての話、という認識でいただければと思います。
そういった内容の説明をする際には、「プロマネのセオリー的には」みたいな表現を添えていく予定です。

学問的な話として、一旦”知ること”が大事で、一通りグランドセオリーとして体系的に知ったうえで、必要と思われる要素を実務で取り入れる、といういうのがおススメの活かし方です。


「プロジェクト憲章」作成のための情報収集

「プロジェクト憲章」は、プロジェクトが正式に認可されるために必要な文書(データ)です。

「プロジェクト憲章」が認められたら、プロジェクトは正式稼働し、資源の利用が可能になります。形式や内容は業種や会社にもよりますが、ヒトやお金を動かせるモノなので、どの会社においても最低限のクオリティ基準を満たしていることが前提です。

つまり、とても重要でコンフィデンシャルな文書(データ)なので、そう簡単に「ぽーん」と完成するものではありません。
「ぽーん」と完成していたら、スポンサー(経営層)からプロジェクトの認可がされないような内容になっているか、仮に認可されたとしてもすぐに炎上すると思います。


作成の経験値や環境でに多少の差はあるものの、作成~完成には、それなりのコストがかかります。

なので、プロマネのセオリー的には、やみくもに作成するのではなく、いくつかステップを踏みましょう、とあります。

昨日(前回)の記事では、「プロジェクト憲章」の土台になる「ビジョン」についての話をしました。
「ビジョン」はどちらかというと、無から有を作る領域です。


別の領域で考えると、既にある他の「1」を流用して作成することでもできます。

例えば、プロジェクトに関連した「ビジネスケース」があれば、「プロジェクト憲章」の作成の参考にすることが出来ます。

ビジネスケースとは、ニーズを踏まえて経済的な実現可能性を検討した結果をまとめた文書です。
企業が投資を行う際、会社にもらすと予想される利益やその投資の合理性を説明する内容です。
ビジョン記述、具体的ビジネス提案、財務的ビジネスケース(「〇%の確率で××円規模の利益をもたらす」など)、組織的影響などが含まれています。

ビジネスケースなど、プロジェクトに関わる情報収集をするのが、プロジェクト憲章の作成のためには必要なステップです。


プロジェクトに関わる情報は、プロマネのセオリー的には、大きく2つの分類があります。

①組織体の環境要因(EEF)
 「Enterprise Environment Factors」
 プロジェクト側からはコントロールが出来ないけど、プロジェクトに影響・制約・指示を与えるものです。EEFは、さらに、組織の内外で分類されます。
 【組織内のEEF】
  ・組織のカルチャー、構造、ガバナンス
  ・施設や資源の地理的分布
  ・インフラストラクチャ(既存の施設や設備、ハードウェア など)
  ・従業員の能力 etc.

 【組織外のEEF】
  ・市場の状況、動向
  ・社会的、文化的な影響と課題
  ・法律などの法的制約
  ・国家標準や業界基準
  ・財務上の環境(為替レートや金利など) etc.
 

②組織のプロセス資産(OPA)
 「Organization Process Assets」
 所属している組織で所持・使用されている、特有の計画・プロセス・方針や手順・知識リポジトリなどです。身近な例えで言えば「会社独自のルール」です。

  ・ガイドライン
  ・テンプレート
  ・方針のような特定の組織標準
  ・契約書類 etc.

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