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【聴講メモ】丸井グループ執行役員小島玲子氏と考える コロナ禍の企業成長に「ウェルネス経営」が必要な理由 #ユニポスウェビナー

拝聴しました。
登壇者である小島玲子さんは、丸井グループ執行役員兼産業医としてご活躍。
日経ESGにてコラム『「しあわせ」が企業価値を高める ウェルネス経営のススメ』を連載なさっているので、そちらも参照のこと。

そもそも「ウェルネス」の定義が整っておらず、よくわからないというのが自然な状態とのことで、小島さんも初めからウェルネス経営という名前で推進していた訳ではなく、途中から試行錯誤する中でこの表現に落ち着いたとのこと。
「なんとなくよさそうだな」というのを感じつつも、社内で推進するうえで足りないものを考える上で、マネジメントがついていけてないのではという視点もある。
大切だとわかっていても一歩が踏み出せないという企業が多いかもしれない。

冒頭のディスカッションタームでは、今会社に足りない部分などについて参加者から意見を募った。
例えば互いがどんな仕事しているかに興味がない、コミュニケーションが希薄になっている、リモートが増えて気軽な会話が減っている、「仕事は気合、病気になるのは自己責任」といった表現に対する懸念などが集まった。

逆に、ウェルネス経営が実現したらここが変わるのでは、という観点からは、みんながモチベーション高く働けそう、生産性がアップする、飲み会でグチではない会話ができそう、会社に行くのが苦痛でなくなる、など。

今回のお話は試行錯誤の一例。
ウェルネス経営の目的は「すべての人が輝くようにいきいきとしている状態」になること。

企業風土の変革を課題としていたところを、自律的な企業風土を作ることが経営存続のカギなのだと考えた。
ただの健康推進(病気の予防)だけではなく、経営戦略としての位置づけになっている。
産業医としての思いと社長の理念を合致させたところ。

このプログラムを始めて一番大きかった変化は、元々健康管理や増進に関することだけで勧めようとすると難しかった点が、経営課題として企業文化を変換していくという強いコミットがあって実践されたこと。

広い意味での健康はみんなが賛成する。
健康の本質的な定義(WHOの定義)は、病気でない・弱ってないということではなく、すべてが満たされた状態、ウェルビーイングであること。
今よりも活力高く幸せにという目的は経営課題と思いが合致した。
あくまで自律的な取り組み。

健康経営から言い換えたのは、病気の予防・個人の問題のイメージが強かったところを、なじみがあるウェルネスへという流れがあったため。

では実際に何をやっているのか。

全社プロジェクトは公募制で、社員が自分たちで挙手する形。
何故出席したいのかの作文を書いて、審査して選ばれた人が参加できる。

プロジェクトの手挙げはこれに限らず丸井グループの様々な場面で使われる方式。
義務だから出ているだけでは寝ている人もいるという状態で、このままじゃ駄目だと、でたい人がでればいいという方式にしたのがきっかけ。
全員が共感して取り組めるテーマには、反対する人がいない。頑張って活動できそう、という気持ちがある。
そこをトップのコミットメントのもとで、経営課題として掲げる。
手を上げないと何も始まらないという方式。

目的を書くというプロセスが手前にある。
何故出席したいのか、事前にわかっていないと(目的意識がないと)書けない。ただ勉強になりそうだからとかでは通らず、勉強ある程度しないと理由は書けない。
これが人材の醸成や学習の促進に活きている。
つまり総会に倍率があるという形式。選抜制で、出てはいけない人を作っているので、これは出席したい人数が上回らないとできない。
※三週間後くらいでその時の様子の動画は見れるので、見たいのに見れない人がいるわけではない

なぜそんなに手を挙げるようになったか。
実際「インセンティブがあるんですか」「評価に繋がるんですか」という質問があるけれど、直接の評価にはならない。あくまで全体の中の仕組みの一つがウェルネス。
ただ日頃の仕事の姿勢が、経営理念に沿った行動がとれているかなど、積極的に見聞きしたことの共有をしていると自然と社内での評価などは上がっていく。
自分自身の志気が高いことが意識できるし、3-5%の人を後押しすることになるし、全体にとってよいサイクルを作れていることになる。

トップ層向けのプログラムは一年間がっつり経営戦略として行っている。
これらの取り組みが病気予防を目的にするのではなく広いところ(個人の尊重や職場の一体感)を目的にしているため、プロジェクトメンバー自体が働き甲斐や自己効力感を向上させた(ワークエンゲージメント向上に影響を与えた)。
成果につながるという意味だと企業理念であり、改革していかなきゃいけない。そういう目的・目標とは違った考え方。

個人が参加してチームを良くしようという取り組みはそういう素養のある人がいないとワークしないのでは?
企業文化全体の話になる。
文化を変えようとするには苦節十年とかかる。徹底力などが経営上必須で、変えなきゃいけないというのが前提。
最初からそういう文化ではなかった。それを変えてきた。自分の職場を良くしようとか喜んでもらおうという気持ちが必要。

最初から全社員にはまるなんてことはない。
なかなか手があげられない人や、おいて行かれる感じの人はいる。
粘り強く呼びかけて、それ自体がやらされではなく、じわじわと浸透していくのではないか。

何故企業成長にこれらが必要か?

コロナの前から変化や困難が多い社会では、物質的なものより心の有り様や経験、人とのコミュニケーション。よりこういったことが求められるようになる。
広い意味での健康でも、単に「病気ではない」より「人生を豊かに・幸せにすること」が求められる。
大量生産消費より、良い経験・感性に移ってきたことも象徴的。

前向きな感情・情動・場の空気を作ることに対する研究が多くされている。
これらは創造性、生産性、幸福度につながる。
ハピネスアドバンテージという前向きになっていくアドバンテージのためには数が大事で、ちょっとでもいいところを見つけたら数を打っていくことが求められる。
なにもしていないとネガティブに感じやすいのが人間。
皆さん自分のやっていることは不安になる、長期の物は特に結果が目に見えにくいのもある。
なので目の前のことを支援しあう、やってよかったねと言い合うことに価値がある。

組織変革ってどうすればいいのか、どういう風に作り上げていくのか。
この点、結構変えないといけない会社さんが多いのでは。
ふんぎるには覚悟が必要。
ウェルネス経営を始められた中で、最初からゴールが見えるわけではない。大まかに「企業文化の変革で社会に役立つ会社になる」という目標があるだけ。
それ以外はわからない、が正直なところ。
大きなゴール感はトップが握っている。

個々のゴールに達成するためにはこう、という通りにやるのは難しい。どうしてもふわっとする。
これをしたから儲けが出ました、のように一対一では考えられないもの。
ストレスチェックで良い数字が出ていても、いくらでも「で?」と言えてしまう。
もうけいくらに繋がっているかわからなくても、なんとなしにコンセンサスがある。
新人の研修を要らないとは思わないのと同じ。
数学的な厳密さは難しい。
だからこそやってるよということを社内に示す工夫が必要。

その企業の社員に響きやすいやり方、その会社の文脈に合った方法でやるのが一番。
人が好きで入ってきている社員が多いと、人にありがとうと言われたいとか、良くも悪くもブームができやすい。
人と色々活動したり話したりするのが好きらしい、とわかると、こういうプロジェクトで活動するのがハマるな、という感じ。
技術が重要な会社ならそのひとたちにどういえば伝わるのか、企業の文脈に合ったやり方をするのが良い。

サステナビリティの取り組み。これが持続可能なモデルであるか。
人の力が企業の価値を生む源泉だというところが強くある会社なので、人の活力を高くしたい。人が元気に生き生きするための仕組みがウェルネス経営。

どんな施策でも最初からはまってやる人と金銭が絡むことに抵抗がある人など人それぞれに感じ方がある。
でも場の空気で、人に感謝しあうのが自然なことになっていく、悪くないよねって変わっていくことがあるのではと考える。

最初は良いことなんて、何の効果があるかよくわかんないと言っていた人も、今日よかったことを思い出す習慣をするだけで振り返ることができる。
ポジティブなことで心を埋める習慣ができたという例がユニポスの導入事例などにもある。

(配布資料・公式議事録あり)

(聴講メモは以上です。ありがとうございました!)

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