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我が家にはダウン症でつい最近2歳になりたてホヤホヤ男子がいる。昔書いた通り、産後は怒涛の予期せぬことだらけで、出産直後、愛息子とは一度一瞬目があっただけで、速攻対岸の墨東病院に緊急搬送され、その後約1か月半にわたってNICUとGCUに文字通り手とり足とりお世話になった我が子なので、我々家族(特にワタクシ)の医療への信頼は絶大で、先生はもちろん昼夜問わず息子っちのお世話をしてくれて、時には愛着形成懸念が急浮上したハハにも寄り添い、面会時間なども激アマ(チチには結構厳しかった)対応してくださった看護師さん、そしてダウン症告知前から不安げな顔で寄り添ってくれた心理士の先生にはいまだに本当に心からの感謝しかない。足を向けておいそれと寝れない。

という状況なので、我が家はみな、お医者さんを見ると拝みたくなるし、全く関係ない先生にもあの時はかねがねお世話になりまして・・と当時のことを思い出しては涙がツツツと流れんばかりにお礼を言いたくなる。ただ、同時に学んだこともある。先生によって価値観も違えば見解も違う。これまでお世話になってきた先生は皆さん非常に素敵な先生で、価値観もすごくフィットしていたが、同じ21トリソミーちゃんママパパと話しているとびっくり仰天な先生の話も聞いたりする。先生の腕や診断がどうのに限らず、やっぱり人と人である以上、合う合わないということなんじゃないかと思う今日この頃。。

そうした中、先週我が家のダウン症児が突然高熱に見舞われた。厳密に言えば、ずーっと微熱が続いてた。でも咳が出るわけでも鼻水タレオなわけでもなかったし、かかりつけ医の昭和のおじいちゃん先生曰く、子供にとって「38度は微熱!熱はないに等しい」といつも公言される先生の影響か、あまり気にしていなかった。からの突如の発熱。意味不明。ただ、ちょっといつもと違っていたのは、微熱の月曜日の夜23時ごろにものすごく機嫌が悪かったということ。普段は一度寝たらうんともすんとも言わないたー坊先生。たまに息をしてないんじゃないかとハッと目覚めて不安になる。不安のあまり口に手をあててみたり、背中に手を添えてみて、ビクッとして寝返りを打つ姿を見て安心したりする。そのたー坊先生が、この世の終わりか!?というくらい超泣きまくり、抱っこしてもダメ、ベットに寝かしてもだめ、何をしても泣きじゃくるわけで、最後の方は抱っこひもでよしよししながら3時くらいまで、たー坊先生とハハのどちらが先に意識が吹っ飛ぶか、根気比べみたいになった。最終的に眠すぎて意識を失うように寝入ったたー坊先生。すでに明け方4時頃のこと。

横でグースカ寝ている旦那さんに頭の中で飛び蹴りを2発ほど食らわせて、よっしゃ、1時間半寝れる、と思って寝入るも、たー坊先生のご機嫌斜め度はおさまることを知らないので、途中で起きて目をつむりながらウニャウニャお騒ぎになられやがられる。週明け火曜日からすでに週末か世紀末かと思うほどの疲れ具合でぐったり。状況はたー坊先生も同じで、むしろ眠り王子に眠れない現実は辛すぎるのか、日中もグズグズ発動で全く仕事にならない!ブツブツいいながら、潔く現代医療にすがることにした。おじいちゃん先生の元を再度訪れて、あんなこんなをぶちまけた。38度微熱論を唱える先生的には、熱がないのに当日予約で診察をぶっこんでくるハハにはきっとあきれ返っているに違いない。でも我々にはダウン症児という切り札がある。「ダウン症を持っていて基礎疾患ありなので不安なんです」と節目がちのおちょぼ口で相談すると、いつも「そうですね~」と快諾して診察してくれる先生なのでした。
ただ、如何せん熱もなければ咳もなければ鼻水もなくて何もない。のどや心音もみてくれたが、機嫌が悪い以外は何もない。先生も途方に暮れて夏風邪かな?とかいいながら終了。でもハハの勘は「これでおわってなるものか」と言っている。とりあえず、病院から自宅に戻り様子を見ること数時間。
みるみるうちに熱は上がるに上がり、39度を超え始めた。でもまだ微熱やん!この時気づいた。39度は微熱じゃないでしょう!!

そしてまたなんとタイミングの悪いことか。翌水曜日はおじいちゃん先生は休診日。そしてたー坊先生、あれよあれよという間に全身赤い発疹まみれになった。発疹というのは非常に厄介なもので、この時期疑われるのが、手足口病、溶連菌、突発性発疹などなどなど。どの病気も特定が難しく、経過観察が必要になってそのあと回復しても保育園に行くには「治癒証明書」なる魔法の紙が必要不可欠になる。この治癒証明書がまたやっかいで途中から先生が変わると、人によっては出すのを嫌がられることがある。経過観察をしていないのでそんな無責任なこと言えるか!という話なのか・・・

とにかく、この魔法の紙が保育園に登園するのに必要で、これが手に入らないと保育園に行けず、つまるところ私は仕事ができない。。ということでこの魔法の紙きれを手に入れるのが非常にミソになるわけで。水曜日は潔くもう1か所別のかかりつけ医のB先生の元に伺った。これまたタイミング悪く、車は壊れて修理に出しており、旦那さんもそもそも出勤だったりして交通手段が自転車以外にない。B先生はまあまあ遠いところにいらっしゃるので、水曜は朝からPTのレッスンをキャンセルし、仕事を午前休とって競輪選手のごとく、セコセコとマイ電動自転車withたー坊先生でクリニックを訪れた。

B先生、たー坊先生の全身発疹を見て、ちょっと首をかしげながら、よー分からん!という表情を私は見逃さなかった。たー坊先生、すでにこの時手足、腕、お腹背中、首、顔、口回りと全身に赤いボツボツが出ていらしゃり。先生曰く、手足口病は手足や腕にしか出なくてお腹には出ないし、口の中に水疱がでますと。じゃあ、突発性発疹かというと、お腹から上と背中には出るけど、手足や腕には発疹が出ませんと。じゃあこれは溶連菌ですかね?と聞くと、溶連菌は口の中も喉も腫れていないので、違いますねと。じゃあ1周回ってなんじゃらほい。結論、一般的症状に照らし合わせて、突発性発疹ですね、となりまして。個人的に納得が全くいかない。突発性発疹じゃないでしょーと母の直感はいう。何の経験値も知識にも裏付けられていない母の直感。1歳前後から恐れおののいてきた突発性発疹の診断を前に「本当に突発か?」という何の根拠もない疑問だけがよぎる。先生に前のめりに「保育園にいつからいけますか?」と優しく問い詰めたところ、「治癒証明出しておきますね、機嫌が良ければ金曜日からOKです」と先生。魔法の紙を手に入れた母は心配そうな顔を装いつつ、内心はガッツポーズ!あと2日耐えしのげば金曜から登園できる。病院からの帰り道、自転車の中で睡魔にあっさりノックアウトされ、かぶったヘルメットを前後左右に自転車にゴツンゴツンとぶつけながら揺られまくるたー坊先生を片手で押さえつつ、急いで自宅に戻った。

すでに水曜日。仕事が全く手についていない。からの翌木曜日。驚くほどに発疹は増すばかりでぜーんぜん回復の兆しがない。昭和のA先生がくれた発熱手帳なるものをつけてみてわかったのは、一向に熱が下がらないということ。でも機嫌は割といい。食事は好き嫌いが超絶強くてパンと牛乳以外はほぼ食べない。病気になると益々パン星人化するわがトリソミー先生よ。ちゃんと食べておくれ。
結局熱も下がらず、これは突発性じゃない疑惑がさらに強まったので、なくなく昭和のA先生に再度泣きつくことにした。もうこの時点であちこちの病院でいろんな情報を受け取って大混乱。疲労困憊も相まって病名なんてどうでもいいから誰か早く治しておくれ!と最後は神様に祈るしかないわけで。しかも木曜日、病院は超絶込み合っていて、6:30のネット予約開始でちょうどにログインしてとれた番号はなんと15番目。しょえー。。しかも発熱者多数につき、いろいろ検査もするわけでそうすると順番は押しにおして、9:45から待つことほぼ3時間。ようやく12時半にたー坊先生の順番が回ってきた。

ピンチはチャンスと誰かが良く言うけれど、ピンチが本当にピンチでしかない時もある。そもそも木曜日は母は仕事を休む想定じゃないわけで。12:00からと13:00からばっちり約束が入っていた。1つ目のアポは心からお詫びをして時間をその日の20:30スタートに変更してもらった。その矢先、13:00からの仕事にまで間に合わない。処方箋ももらって帰ってくることを考えたらどこでもドアがあったって絶対に間に合わない。午前中からお願いしていた病児シッターさんに事情を伝えて急いでクリニックまで来てもらい、処方箋とたー坊先生のピックアップを彼女に依頼して、私はアラレちゃんのごとくノンストップでキーン、帰宅した。ゼイゼイハアハア。それでもアポには間に合わないので、こちらも心からのお詫びをお伝えして1時間予定を後半30分のみにしてもらった。方々に迷惑をかけた結果、クリニックで得た結論は「病名は特定できません」のシンプル一言だった。

おじいちゃん先生曰く、この世界にはウィルスは無数にあって、溶連菌だの、手足口病だの、突発性だのと名前がついているごく一部のもの以外はほぼ未知数とのこと。「仕方ない、そういうものですから」とケロッとおっしゃる先生に、セカンドオピニオン先を間違えたのではないか、と一瞬疑念がよぎったのは、我々の「医療は、先生は、神であり、無敵である」という偏りすぎて強まりすぎた信頼感によるものなのだと思う。先生に診てもらえば万事解決する、と意気揚々としていただけに、診断付かず、は衝撃がありすぎる。そんなんで保育園には理解してもらえるのか・・週末の三連休であれやこれや伝え方をシュミレーションして臨んだ今週の月曜日。えいや、腹を括って登園時に「ごめんなさい、診断がつきませんでした。なので治癒証明書ももらえず」・・モゴモゴと伝えた。
先生、あっさりと「そうなんですねーでも今日はたー坊くんご機嫌そうでよかった!久しぶりに遊ぼうねー」と満面の笑みでそして、「お母さんも大変でしたね」とまるでバファリンのように母と彼をやさしーく包み込んでくれたのでした。

後で園長先生に相談したら、「ああ、結構そういうこともあるので気にしなくて大丈夫ですよ」とあっさり。病名がつかないことはよくあること、とここでもあっさり言われたワタシ。たしかに我々が知っていることって自然界のほんのわずか一部なんだろうなぁ、と。久々に宇宙レベルで物事をとらえた新鮮な瞬間なのでした。治癒証明書というこの世の欲を欲した自分を恥じたのでした。


眠り王子が睡眠不足になるとこんな顔になる。。
手の裏までポツポツ出てますけど
体調が悪くても寝相は悪い



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