窓際

「湯上がり、スッキリ爽快!」

お風呂上がりがサッパリするよ!いうキャッチコピーの入浴剤がまだいくつか残っていたため、ラベルに書かれていたその文字を読みながらそのまま使うことにした。もう季節は秋。ザラっとした固形入浴剤を湯船に入れた途端、南国の海を彷彿させるようなエメラルドグリーンの色がゆっくりと底に触れ、静かに広がっていく。まだ使いかけのシャンプーが残っていたけど、気分を一層するために新しいシャンプーを購入した。いつもシャンプーを1プッシュして使うところを3プッシュしてみた。こういう些細なちょっとしたことが日々の贅沢なんじゃないかと、手のひらで濃密な泡を作りながらふと思う。梅雨の時期特有の肌にべトリとまとわりつく湿度には皆嫌がって苦い顔をするけど、お風呂の湿度は全く不快じゃない。不思議。

この時期になると毎年、電車で不思議な光景を目にする。半袖の人もいれば厚手のパーカーを着ているという、今この瞬間の季節はいつなんだ?と空虚な空に問いかけたくなる。私は夏服が好きだから、寒くなるギリギリまで着ていたい気持ちがある。だけど、ひとり、またひとりと街中から半袖を着ている人が姿を消していく光景を見て、ふと淋しくなる。

まだまだ余韻を楽しみたいのに、季節は一定の速度で先へと進み、わたしを待ってくれない。このままいっそのこと置いていかれてもいいな、と思う。


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