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「お父さん、最近ね…」

幼い頃に離婚して、半年に一度会えるかどうかの父。
今日も、昨年末以来だったから実質8ヶ月ぶりだった。

いつも通り「お父さん」と呼んだが、何故か違和感を感じた。
私が呼んでいるのは確かに目の前の父。けれども、自分の呼ぶ「お父さん」は目の前の父を呼ぶ言葉に思えなかった。以前も同じような感覚があった。



コロナ渦を経て、会うのが2年近くぶりになった日。
私と妹は、心躍らせながら久しぶりの父との再会を待ち望んでいた。
しかし2年の時を経て私たちは、父との関わり方を忘れていた。

容姿もたいして変わりない。いや、少し年を重ねた感じは見受けられたが、声も優しさもずっと使い続けてくたびれたデニムのリュックサックも変わらない父だった。
しかし私たちは父娘としての関わり方を忘れてしまった。
ショックと動揺で、帰りは二人して呆然としてしまった。



「このあとどうする?」「ちょっと歩こうか」
ショッピングモールで食事を終え、カフェで凝ったラテアートの施されたカフェモカを飲み談笑を終えた今日の午後2時。
店を出ると、突然「じゃあまた」と去って行った父。
私と妹はてっきり一緒にショッピングモール内を見て回るものだと思っていたので、突然の切り出しに動揺しつつ別れた。
帰宅後、母にこのことを話すと、「気を遣ったんじゃない?」と。

父も父でもしかしたら、私たちとの関わり方が難しいのかもしれない。
そう感じた一日だった。

半年に一度しか会えない関係。
それでも、会えるだけでも幸せだと、こんな悩みや動揺があるのも贅沢なことなのだろうと思う。
答えのないものだけど、会える今を大事に感謝して生きたい。


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