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ディズニーシー



経験上、人と交わしたいつか行きたいねの約束の5割は実現しない。さらに、距離が遠くなればなるほどその確率はぐんと上がる。
だから今年の春頃に発した「ディズニー行きたいよね」「ね、夏は暑いから涼しくなってきた頃とかにね」が完璧な形で実現されたことに全てを終えた帰路の途中でさえも未だ信じられずにいて、その奇跡を深く味わい噛み締めようと、こうして今noteを書いている。




私と友達は興味の矛先やお金の使い道や、その優先順位が良く似ていて、だからものすごく本音を言いやすい。
“ディズニーも行きたいし、としまえんのハリーポッターも行きたいよね”
…って一体どっちから言い出したんだっけ。
そのセリフの数十秒後にはディズニーとハリポタの両方を巡るという方向で話が進んでいった。


となると当然費用も嵩んでくるわけなのだけど、
「新幹線往復ってちょっと高いよね…、もし嫌だったら全然いいんだけど…わたしは高速バスでも全然平気…!あ、でもいやだったら全z」『わたしも!!!!!!!』
となり、行きは夜行バスで帰りはLCCの飛行機を予約することになった。(言ってよかったぜ)

でも費用を抑えたかと思ったのも束の間、
「ハリーポッターのさ、デザイナーとコラボの制服知ってる?めっちゃかわいいやつ」
『え、ワンピースのかわいいやつ?見たかも』
「え、着ちゃう?(にや)」
『え、着ちゃお☆(にやにや)』
となり、諭吉1人分くらいする制服をおそろいで即決購入した。金銭感覚の一致ってすごい。


春頃に2人で嵐山へ行った際にも同じようなことがあって、
「言おうか迷ってたけど、着物着て散策とかしたいなって…でも苦手だったりする…?」
と聞いたら
『私も思ってた!!!!』
と返してくれて、後にも先にも人生史上恐らくダントツで一番満足度の高い嵐山観光になった。いつもいつも、願いを叶えてくれてほんとにありがとう。






夜行バスで大阪・梅田から東京・新宿へ。
身支度を整える為ネットカフェへ向かう途中、初めて歌舞伎町の街を歩いた。
何度か東京に来たことがあって新宿にも訪れたことがあったけれど、歌舞伎町は怖くて今まで近寄れなかった。
高速バスのターミナルからマップに従い歩いていると予期せず歌舞伎町のど真ん中に居た。
同じ新宿でもこんなにも世界が変わるのかと大変勉強になった。
大量のたばこの吸殻、大量の道路脇の吐瀉物、朝帰りの人の波。酔いつぶれて道端に横たわる人、ホストらしき人とそのお客さんらしき人、がホテル街へ溶けていく様子、なにやら奇怪な呪文を叫んでいる人、あとそれからテキーラの売店。(テキーラの売店があるくらい需要があるということがこわい)
「テキーラいかがですか〜」は恐らくここでしか聞けないと思う。歌舞伎町名物かも。
それらをできるだけ視界の端に追いやる。
用意を済ませてディズニーへ向かった。
ふたつの街の雰囲気の違いが激しすぎて、この日から私の中でディズニーの対義語は歌舞伎町になった。


ディズニーファンなら、ランド派かシー派でディベートが始まったりするのかな。
私たちはチケットの販売状況によりシーに行った。
幼稚園の頃にランドに何度か連れて行ってもらったけれど、シーは初めてだった。でもランドの記憶も曖昧で、写真の中の幼い私が楽しそうなことしか知らない。

おかあさん。ディズニーがこんなに楽しくてしあわせなんて知らなかったよ。


ハリポタもお揃いだし、ディズニーの服もお揃いにするかどうか聞くか迷ってたんだよねということを、お互いが内に秘めていた。
2人揃ってうわぁ〜!言えばよかったぁ〜!なんてけらけら笑いながら、カチューシャはお揃いのものを買った。
ミッキーのふっくらした手がそのまま耳のようについてあるものを買った。
二人寄り添ってカチューシャの手と手が重なったら、手繋いでるみたいで可愛いね、とか。(そんな風にはしゃぐうちらが世界でいちばん可愛かったね)



パーク内では、これでもかというほど食べ歩きをした。

おかあさん。ディズニーのグルメってめちゃくちゃ美味しいんです。


断面がミッキーの形のシナモン味のチュロス(かわいい)をはじめ、甘いものの次はしょっぱいものだよね〜♩とフライドチキンを買った。
両手いっぱいの大きさのチキンはかなりボリュームがあって食べ応えしっかりだった。
お肉が柔らかくて、本格派のケン〇ッキーの10倍は美味しかった。シンプルな塩胡椒の味付けがいい。

満たされたね〜おなかいっぱい〜とにこにこしながら歩いていたら、アイスクリームの看板を見つけてしまい、導かれるままに列に並んでいた。
シェルの形のアイスモナカ。桃色のふんわりとしたモナカ生地の中にきめ細やかな舌触りのいい塩味のアイスとストロベリーソースが入っていて、これまで抱いていたモナカの概念を覆された。本当に美味しかったので、早急に全国販売にしてほしい。


あとは、トマト×バジル×マスタードマヨネーズ(?)のミッキー型のパイ生地パンを食べた。
同じくミッキー型のうきわまんも食べた。
耳の部分は照り焼きチキン餡、顔にあたる部分には中華風チキン餡。海の近くのエリアで売られているから、デザインが浮き輪の様相をしている。
耳にまでちゃんと餡が詰められていて、ディズニーはさすが抜かりないなと思いました。


書いていて改めて思ったけれど、だいぶ食べていたんだねわたしたち。
けど、ディズニーのグルメは本当にどれも美味しくて、しかも各お店それぞれの店員さんの制服や店内の雰囲気もエリアごとの雰囲気に合わせて作られていたり、世界観が確立されていてすっかり魅了されてしまった。


アトラクションには実はほとんど並んでおらず、たまにパーク内の列車に乗ったり船に乗ったり、移動で乗り物に乗ったくらいで、ずっと広くて可愛いお庭をとことこのんびりお散歩している感覚だった。この上なく贅沢なおさんぽでした。幸福でした。



ディズニーで見るべき景色を挙げるとするなら、ライトアップされた夜のディズニーと閉園間近に行われるショーのふたつを私は推したい。
真っ暗な世界を照らす街灯たちはランタンが宙に浮いているようで幻想的で、水面に映る街灯がゆらゆら揺れている様子はロマンチックだった。
明るい時間のディズニーも好きだけれど暗くなったディズニーはもっと好きだった。


すっかり日が沈んだあと、ショーが始まった。
パーク内にある大きな湖の周りにずらりと人の群れが出来ていて、これだけの人、昼間はどこに居たんだろうと不思議に思った。(われわれがアトラクションに並ばず人がいるとこに行かなかっただけです)
これだけの人数が毎日やって来て、毎日100点満点かそれ以上の接客をするキャストさんはやっぱりすごいなと尊敬の念を抱いた。


音響、プロジェクションマッピング、花火、ライトアップ、水の動きまで自由自在に変え最新技術を駆使しての壮大なミュージカルを見ていた。映像やアニメーションで沢山の人を勇気づけてきたディズニーの本気を見た、気がする。
音楽ってどうしてあんなにも人の心を動かすんだろう。
見ている間思わず泣きそうになった。美しいものに触れた時に溢れるあの感情。息をするのを忘れるって、あぁこういうことかと思った。
“諦めないで。信じ続ければ夢は叶うから” というメッセージを伝えてくれたディズニー。ありがとうディズニー。
私の夢はまたもう一度ディズニーに行くこと、になりました。
ディズニーが世界中で愛される理由がよくわかりました。





ホテルに着いて、チェックインして部屋に荷物を置いたあとは夕食を食べに外へ出た。(食べ過ぎって多分気づいてない)
ネットで調べた情報を頼りに目星をつけたお店に入ると、焼き鳥屋さんだと思っていたお店はお酒がメインの小鉢料理のバーのようなお店だった。
カウンター5席、テーブル席1つのひっそりと佇む大人なお店。奥には常連らしき男性がひとりいて、メニュー表に焼き鳥がなくて、ご飯よりもお酒のメニューが多くて、目の前には国産ウイスキーがずらっと並んでいて。

あれれ〜場違いかも〜〜、でも今更引き返すのも冷やかしになってしまうし、それより友達はどう思っているだろう、逃げ出したくなってないかな、ソワソワ。
縮こまっていたら、お食事ですか?とカウンター越しに中に居たお姉さんが尋ねてくれた。
一人でお店をやっているみたいだった。

「は、はいっ…」と遠慮がちに答え、食事目当てでもいいというサインなのかなと困惑しつつ我をしっかり通してノンアルコールのドリンクをふたつ注文した。

それでも内心まだ、ちょっと失敗しちゃったかな〜友達は嫌じゃないかな〜あんなに意気揚々とやきとりの話しながら歩いてたのにどうしよ〜〜と思った。
けど、運ばれてきたお通しも注文したタコとバジルのマリネもかなりヘルシーな味付けで一日中糖を摂取し続けた胃袋が大喜びしていた。

それから、メインのおかずとして注文した塩豚煮と肉じゃがが本当に本当においしかった。
柔らかくなるまで煮られ、たっぷりだしの染み込んだ塩豚と、ほくほくのじゃがいもと人参と牛肉。シンプルな味付けなのに尾を引くような奥行きがあって、盛りつけのお皿は実家で出されるようなレトロな印象と安心感を持つものだった。
2人でシェアできるように大きな具材は小さくカットしてくれた。お姉さんのやさしい人柄がそのまま滲み出るような料理だった。


「え、めっちゃおいしい(小声)」
『やばいねこれめっちゃおいしいね(小声)』
「とんでもない当たり引いちゃったね(小声)」
『ほんとに。大当りだね(小声)』



退店のはやさに冷やかしだと思われないか緊張していたけれど、お会計を頼むとすんなり伝票が出てきた。同時に、おかず足りましたかと尋ねられた。その声には敵意も軽蔑もなく、親しみを込めた問いかけだとすぐに気づいたので、美味しかったです!!と全力で肯定した。


旅行で来ていること、ホテルがすぐそこにあること、近くのごはん屋さんを調べていたらここが見つかったこと、でも自分たちは場違いなのではないかと緊張してしまったこと、でも料理が本当に美味しくてふたりともすごく満足していること、を話した。

お姉さんは驚きながら、ご飯食べに来たんだろうなと思いながら、メニューの少なさに怒られないかどきどきしていたこと、焼き鳥屋さんだと間違えられたのではないか、焼き鳥はないのを怒られるんじゃないかどきどきしていたこと、そのせいで緊張していたことを教えてくれた。大阪に行ったことがあるとも教えてくれた。

その口ぶりからは、焼き鳥については、勘違いするひとが私たちのようにほかにもいたのであろうことが垣間見えた。あの焼き鳥の写真の真相は聞けずじまいだった。

もっと早く声をかければ良かったととびきりの笑顔で話してくれた。お店の外まで出てきてお見送りをしてくれた。
歌舞伎町のすぐそばに、あんなに人の温もりに包まれたお店があるなんて、少しこの街の見方が変わったりなどした。
あのお店に行けてよかった。


ホテルに着いて、交代でお風呂に入ろうと支度をはじめたとき、着替えが用意されていないことに気づく。
あれ?と部屋中探したけれど見当たらず、フロントに電話をかけると「ありません」ということだった。
着替えがないホテルに泊まったことがかつてなかった為、唐突にテンパった。
お店にしかり、ホテルにしかり、私が選んだものはどうしてこういつも不安要素を含んでいるんだろう。(お店は大正解だったけど)


友達に、私は行きの際少しだけ着ていた締めつけの緩いワンピースがあるけど、どうしよう…なにかある…?とおそるおそる聞いたら、
『あ、わたしね、パジャマもってきたんだへへ』と返ってきた。シンプルに安堵した。よかった。そして尊敬。すごい。
彼女の用意周到さを私も少しは見習わなければいけないなと思った。


2人とも綺麗さっぱりお風呂をあがったあとは、私が部屋で流していた音楽の話になった。いつも一日の間音楽に触れている時間が結構長くて、いつもの習慣で垂れ流していた。
誰の曲?と興味をもってくれたので、実は仲良い人が作ってて…とポツリ話すと、驚きながらすごいすごいと聞いてくれた。
自分がいいと思ったものを、自分と同じテンションで感動してくれる友達に心からありがとうと思った。

私はその人のもつ言葉の力に沢山救われたし、どんな風に世界を見ているのかを知りたくておすすめの本をいつも幼児のようにねだっては教えてもらう。
今のところ、近づいている気配は無い。
ワードチョイスが抜群に良くて。リズムに言葉を乗せるのが本当に巧みで。
友達にも聴いて欲しくてurlを送ったら、嬉しい!!と喜びながらはじめから1曲ずつ再生しはじめていた。

私が初めてその人の曲を聴いた時と全く同じ反応をしていて、ものすごく嬉しくなった。
ディズニーが楽しかったのも、トラブルがあってもポジティブな方へ進んだのも、きっと彼女と一緒だったからこそと思う。

明日のハリポタも楽しみだね、と言いながら寝る前に少し2人で携帯ゲームをした。
バトルロワイヤル系の戦闘もの。アニメーションが緩い動物でかわいい。
勧めたものをいいねいいねと言って一緒に楽しんでくれるのが彼女のすきなところのひとつ。
いつも寄り添ってくれてありがとう。
わたしも沢山あなたのおすすめを知りたいです。



2日目もトラブルに見舞われ、人生初、空港で夜を明かすことになりましたが長くなるため分割します。
よければ読んでね、ではまた。つづく。





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ぜひきいてください。









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