(Que sçay-je?)


坪内祐三の「酒中日記」を読む。何かの雑誌で、とある作家が紹介していたのを見て、近所の図書館で借りる。

坪内祐三が今年1月に亡くなっていたこともこの本を読んでから知った。

「酒中日記」は、坪内祐三氏が、何を、どこで、誰と飲んだかということに日常の出来事を少しずつ描写しているだけ(日記だからね)、しかし、これが面白い。

昔はエッセイというジャンルの文章はほとんど読まなかった。大学生になってから読み始めて、断然小説よりもエッセイが好きになった。作家のセンスと独特の視点が最も感じられるからじゃないかと思う。

シティーボーイズの愛読書(?)である伊丹十三にはじまり(私がエッセイとか随筆とかいうジャンルを明確に認識したのは、伊丹十三が最初だった気がする)、昨今こんな「自由の感覚」を誰から感じ取ることができるだろうというほどの自由さを現在進行形で森茉莉から浴び、しゃんと背筋を伸ばしたくなる幸田文の文章、北杜夫も面白い。

他に最近読んだエッセイでは、千早茜の「悪い食べ物」も面白かった。食べ物繋がりでは、水上勉の「土を喰う日々」も好きだった。米原万里も好きな食べ物やお店、東欧の食について色々と書いている(米原万里のエッセイには凄まじい破壊力がある)。

外で思う存分美味しいものが食べられるようになりますように。

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