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複素効理論2.0

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プラセボ効果と科学の関係を考察する「複素効理論2.0」についての記事をまとめています。
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『〈現実〉とは何か』の凄みが複素効理論を沸かす

『〈現実〉とは何か』の凄みが複素効理論を沸かす

『〈現実〉とは何か』(筑摩書房)という本があります。副題は「数学・哲学から始まる世界像の転換」。数学者・西郷氏と哲学者・田口氏の共著作です。

きっかけこの本を知ったのは「圏論」という数学分野の入門書『圏論の道案内』の関連書籍として同著者である西郷さんの『〈現実〉とは何か』がおすすめ表示されたことがきっかけでした。

「圏論」には、複素効理論に取り込むべき豊かなアイデアが溢れています。

複素効理

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意識の測定、測定とプラセボ効果

意識の測定、測定とプラセボ効果

プラセボ効果研究の文脈にベイズ推定を組み込むのが最近のトレンドで、そこでは何かしらの「脳内にある事前確率分布」が説明のため恣意的に仮定されます。

勝手に仮定する理由は明らかで、脳内に保持されているらしき事前確率分布を直接知る術がないため。もしこの事前確率分布を直接測定できたら、プラセボ効果研究はさらなる飛躍を遂げるでしょう。

しかし、その道のりは困難を極めるはず。なぜなら現在の脳科学は「意識の

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(あるいは複素効理論2.0)

(あるいは複素効理論2.0)

複素効理論をアップグレードします。

複素効理論って?「複素効理論(ふくそこうりろん)」は、2019年7月刊行の拙著『僕は偽薬を売ることにした』(国書刊行会)で公表したプラセボ効果に関する理論です。

その骨子は高校数学で習う「複素数」のアイデアを参考とし、医薬品が人体にもたらす薬効を薬理作用とプラセボ効果という二軸で捉える考え方。薬理作用を実数(のようなもの)として、プラセボ効果を虚数(〃)とし

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