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スポーツマンシップとテクノロジー

おそらく小学校か中学校の記憶が蘇る。
「スポーツマンヒップにもっこり」
なぜか男子の中で流行っていた言葉だ。
スポーツマンシップに則る人たちに大変失礼なお言葉である。
どこから流行ったか知らないが、下世話な親父ギャグである。

しかしまぁ、この下世話さは今でも変わらないもので、
私のブロゲは下世話なことであふれた玉手箱なのだ。

今日のはなぜこの写真かと言いますと。
ヒップにもっこり状態を見てしまった美女の反応を表している。
心も綺麗な美女はこのように控えめに驚きを表現することだろう。

スイミングスクールや競泳を行なっている人ならば誰でも知っている、
SPEEDというメーカーが開発したレーザー・レーサーという
競技用水着の話である。

スポーツ用品でも時にとんでもないブレイクスルーが起こることがある。
レーザー・レーサーはその最もたる事例ではないかと思う。

こちらがレーザーレーサー。
男性がワンピースタイプの水着を着るというその変態っぷりに
ワクワクを隠せないのは私だけではないはずなのだ。

水は空気よりも抵抗がある。
その抵抗を極限に減らすためには、体の凹凸を減らす必要がある。
一番抵抗が少ないと言われる形、流線型。
その流線型の形に体を無理やり押し込めるというコンセプトで作成された。

伸縮性はほぼなく、水着を着るのに2時間ほどかかる。
脱ぐ時も大変で、中には水着を切って脱ぐ選手もいたほどらしい。

つまり理想の流線型という型に、体を合わせる。
これはとてもプロダクトアウトなのである。
マーケットインの思想などミジンコも参考にせず、
速さ!速さといえば流線型!人間の方が合わせればOK!
そんな感じだ。

この水着、めちゃくちゃ早かった。
それこそ世界記録がバンバン出てしまったのである。
北京五輪で金メダルを取った94%の選手が
レーザーレーサーを着用していたというデータもあるそうだ。

一世風靡したこの製品をある日不運が襲う。
国際水泳連盟(FINA)により、競技での使用が禁止されたのだ。
理由はともあれ、この水着が伝説と言われる所以はここにある。

レーザーレーサーにより水泳競技の世界記録は塗り替えられた。
しかしその水着はFINAによって使用禁止になった。

世界記録は破られることはないものになってしまったか?
イナ!否!イナゴ!
なんと使用禁止になった後の大会でもいくつもの世界記録が出ている。

これはどういうことか?
スポーツマンシップである。
選手たちは決められたルールの中で世界記録を塗り替えた。
決してあきらめずに、新たな高い壁に挑み続けたのである。

テクノロジーが生まれ、それが禁止されたことで、
結果人類の水泳技術が向上した。
とても面白い例だと思った。

そして最後に言わせてほしい。
お気付きの方、いただろうか?
このレーザーレーサーの画像は偶然見つけたのだが、
股間の部分に注目してほしい。

あれだけストイックなモノづくりであっても、
その部分は流線型にできなかったようなのである。

もしくはその技術を突き破るほどのスポーツマンヒップに
彼は巡り合っていたのだろうか。

真実はわからない。
しかし生きていると面白いことがたくさんあるなと
改めて痛感した出来事であった。

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