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コロナ禍をきっかけに見直す修学旅行【社会人のための“教育ってそうなってるのか!”講座】

2022年度実施の修学旅行についての調査として
2つの業界団体からの報告書が出ています。
・日本修学旅行協会
 「教育旅行年報データブック2023」
 https://jstb.or.jp/pages/154/
・全国修学旅行研究協会
 修学旅行の実施状況並びに「学びの集大成を図る修学旅行」の取組について
 http://shugakuryoko.com/chosa.html

これらの修学旅行の調査からは、
コロナ禍で中止や実施時期の変更をしていたものが
少しずつ復活してきたことがわかります。

さらに、
次のような「コロナ禍を経ての変化」がありそうです。

●修学旅行といえば京都奈良・・・じゃない?
 コロナ禍の影響としていちばん大きいのは
 ここかもしれません。
 移動に制限がかかったことから、
 定番の修学旅行先ではなく、近場へということで、
 新たな修学旅行ルートの開拓にもつながっているようです。
 ただし、首都圏エリアに関しては、
 関西方面、特に京都・奈良へ、
 というところが変わっていません。
 コロナ禍の影響は地域差もありそうです。

●「探究」「SDGs」がキーワードに。
 これは学習指導要領の改訂によるものでしょう。
 総合的な学習(探究)の時間と連携させながら、
 修学旅行という体験の場を
 探究的な学びの場として有効に活かしたい、
 という学校のニーズも見えてきます。

●修学旅行そのものの位置づけを再検討?
 行き先が変わったことにより、
 行事そのもののあり方や目的から見直そうという
 動きもあったようです。
 これは学習指導要領改訂の影響もあったのだと思いますが、
 学校の教育目標や教育課程の中で
 修学旅行をどのような位置づけにしていくのかから
 見直す「チャンス」ととらえた学校もあったのでしょう。

そもそも、ですが、
修学旅行が学校活動の中で
どのように位置づけられているかについても
あらためて確認しておきたいと思います。

修学旅行は、学習指導要領の項目でいうと、
「特別活動」に該当します。
「学級活動」「児童会(生徒会)活動」「クラブ活動」と、
いろいろな思い出がある活動ではないでしょうか。
これに加えてもうひとつ「学校行事」があります。
修学旅行はこの中の「遠足・旅行・集団宿泊的行事」ですね。

特別活動のポイントは「集団活動」。
社会とどのように関わり参画していくのか、
他者との人間関係を築いていくこと、
そして自分の将来について考えていくことになります。
修学旅行もそのための時間なのです。

修学旅行は特別活動であるということに加え、
学習指導要領の改訂、探究的な学びへのニーズ、
さらにコロナ禍の中での変化や課題も生まれています。
学校が修学旅行に対してどのようなニーズを抱えているのか、
キャリア教育コーディネーターも意識しておきたいところです。

※ちなみにこれらの調査は、
 実施学年や時期、旅行日数や費用などについても
 実態がわかるものですので、
 興味がある方はみてみてください。

松倉由紀
キャリア教育コーディネーター・教育研修プランナー。1975年長野県上田市生まれ。静岡大学人文学部卒業。地元での就職に失敗(4か月めで退職届!)ののち、大手通信教育会社、人材派遣会社、コンサルティングファームを経て現職。キャリア教育の領域で教育プログラム開発と「しくみ作り」をする「企画屋」「クリエイター」であり「風呂敷たたみ屋」。2016年4月個人事業主から法人成り(株)ax-factory(https://ax-factory.wixsite.com/corporate)を設立。2020年京都造形芸術大学通信教育部(グラフィックデザイン)を卒業。デザインで学びをおもしろくします。
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