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いざ、アルハンブラ宮殿へ 〜スペイン旅グラナダ編その2〜

※このnoteは、2019年5月〜6月にかけてのスペイン一人旅の記録を振り返りつつ綴った旅日記です。

スペイン、アンダルシア地方で観光するとなれば、必ず候補に上がるであろうかの有名なアルハンブラ宮殿。わたしがその存在を最初に知ったのは高校生の時に履修した世界史だった。

スペインにはイスラム王朝に支配された時代があったことを知った時、それまでイスラム文化とヨーロッパの国々は何の関わりもないと思い込んでいたわたしに衝撃が走った。イスラム系の文化とキリスト系の文化が混ざり合い今のスペインがあるのだと知った時、単純に「カッコいい!!」とシビれたことを今でも覚えている。

世界史の資料集に載っていたアルハンブラ宮殿の美しい装飾やモザイクに魅了され、将来いつか必ず自分の足で訪れ、自分の眼で確かめたい!と胸に誓ったのだった。

あれからもう10年以上が過ぎてしまったけれど、やっとアルハンブラ宮殿に自分の足で行くことができる。それだけで、ワクワクは止まらなかった。

グラナダはお昼を過ぎ、太陽がサンサンと輝いている。スペイン南部・アンダルシア地方の内陸に位置するグラナダやコルドバは暑いと聞いていたけれど、確かに、まだ5月なのに日本の7月のような暑さだった。しかも日差しはスペインの方が断然強く、帽子は必須。サングラスをしないと目がやられてしまいそうだった。

先ほど食事を済ませたバルから20〜30分程歩きやっとアルハンブラ宮殿の入り口にたどり着いたものの、宮殿自体が小高い丘の頂上にあり、この先しばらく30分くらい坂道を登り続けることとなった。

最初の20分程はずっと、森の中のような道を歩き続けた。アルハンブラ宮殿のことを何にも知らなかったわたしは、まさかこの後メインのナスル朝宮殿にたどり着くまで1時間以上も歩き続けるとはこの時夢にも思っていなかった。

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城壁へ行くまでの道。道の端には水が流れ、涼し気な水の音と鳥のさえずりがとても心地よかった。天気も良くて、まるで異世界だったなぁ…

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突如現れた建物。この建物が一体どんな役割を担っていたのかは不明だが、何だかインディー・ジョーンズに出てきそうな世界!とワクワクしながら写真を撮った。

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やっと城壁らしいものに辿り着いた。門の形がアンダルシアだ!

この門を進み中に入ったものの、広すぎて地図を見てもどこに何があるのかさっぱり分からない。とりあえずチケットの予約時間までまだ1時間程時間があったので、とりあえず行けるところはどんどん歩いて行ってみることにした。

ピンク、黄色、赤といった鮮やかな花が咲き誇り、まるでそこは楽園だった。

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この場所は一体何に使われたのだろうか…と思いを寄せる。

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青い空、鮮やかな花、素晴らしい建物。どこを切り取っても素晴らしかった。

目に映るもの全てがキレイで、カメラでどんどん写真を撮った。そしてあっという間に時間は過ぎていき、いよいよナスル朝宮殿内部に入る時間となった。

ナスル朝宮殿は、憧れていたものそのものだった。細部に及ぶ装飾やモザイクが素晴らしくキレイで、一体誰がどのように建てたのだろうかと思うと気が遠くなりそうだった。何と表現してよいのか、言葉が浮かばないくらい美しかった。

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部屋の天井を見上げたら、至るところにこうした装飾が施されていた。

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宮殿内部の庭には水がたくさん流れ、王朝の繁栄を象徴している。観光客でいっぱいで、みんな思い思いに写真を撮りまくっていた。

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宮殿の見どころの一つ、二姉妹の間。あまりにもキレイで、眺めていると吸い込まれてしまいそうな気持ちになった。

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天気に恵まれ、窓から見える街の景色も最高に澄み渡っていた。

宮殿の中は世界各国から訪れた観光客で賑わっていた。ガイドさんの話を熱心に聞き入る団体様御一行、ひたすらセルフィーを撮り続けている若い女性、カップルで楽しそうに写真を撮ったり話したりしている人々。みんな思い思いに、それぞれの時間を楽しんでいた。

わたしはというと、他のお客さんがいなくなった場所を見つけてはすぐさまそちらに移動し、ゆっくり眺め写真を撮り、できるだけ一人で宮殿の空気を味わっていた。

特に窓や扉、タイルの形がとっても可愛く美しく、それらを探し回るのがとっても楽しかった。

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個人的にお気に入りのタイルと扉。美しいものってどう撮ってもインスタ映えするというか、アルハンブラ宮殿ってインスタ映えの宝庫だな、と思った。

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お庭もとても美しく、花を眺めたりベンチに座ってぼーっとしているだけであっという間に時間は過ぎた。

特にこの時はバラが見事に咲き誇っていた。お庭は丁寧に手入れされていて、どうやったらこんなキレイなバラが咲くんだろう…と見入っていると本当に時間が過ぎるのを忘れていた。

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この写真はとても明るいけれど、この時既に18時を回っていた。まだまだ見たいところもいっぱいあるし、回りきれていないところもある。マラガに帰るバスの出発時刻は20時。もうそろそろ帰らなきゃいけない。時間は全然足りなかった。

しかし、朝からぶっ通しで歩いていたので疲れ果て、暑さで頭もぼーっとし始めてきた。ちょうどお庭にベンチがあったので、休憩しながらお庭を眺めることにした。

どれくらい経っただろうか。ふと、何となくふと時計を見たら、時計の針は19時になろうとしていた。ん?予約は16時30分だったのに、宮殿の中を見学しただけでもう19時…?

ちょっと待てよ。帰りのマラガ行きのバスは20時なはず。それまであと1時間しかない!

その時わたしはまだナスル朝宮殿の中にいた。この宮殿から抜け出すだけで恐らく最低10分はかかるし、そこから坂を降りて街中に出て…街中から駅って確かバスで10分くらいかかったよな… バスの時間、間に合う…?

そんな思考がぐるぐる頭を駆け巡ったその瞬間、「ヤバい!」と叫んでる自分がいた。今、わたしはバスに間に合うかどうかの瀬戸際にいる、そう察した。ぼーっとしている時間は1ミリもない。

とにかく、街中まで猛ダッシュすることにした。ダッシュしている間にどこかでタクシーを見つけたらタクシーに乗ろう、走りながらそう決めた。

わたしはかなりの運動音痴で走る速度はかなり遅い。それでもこの時は、とにかく足を動かした。

ああ、とにかくタクシーよ見つかっておくれ…!
てか、もと来た道ってどっちだったっけ… 涙涙

行きは悠々と写真を撮りながら優雅に歩いていたのに、帰りはまさかこんなことになるなんて。広すぎるぜ、アルハンブラ…

下り坂をえっほえっほと走り、ようやく街中っぽいところに出た。ちょうど目の前が広場になっていて、そこにポツンとタクシーが一台停まっていた。タクシーだ!!

心の中で「お願い!」とつぶやき、タクシーの運転手さんに声をかけたら、優しいおじさまですぐに乗せてくださった。時計を見るとまだ19時30分だった。これならなんとか間に合いそうだ。ああ、よかったよ…。タクシーに飛び乗った途端、どっと疲れが出てきた。アンダルシアの日差しに照らされたおじさんの横顔が、めちゃくちゃカッコよく見えた。

そうしてバスが出発する20時前にバス停に到着した。売店でパンを買う余裕もあるくらいには間に合った。

間に合わなかったらどうなっていただろうと思うとそれだけで恐ろしかった。これからはもうちょっと余裕を持って移動しないと。心から反省した。

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グラナダは小さいながらもとても広い街だった。いくつもの小さなバルやお店が軒を連ね、数日滞在していくうちに楽しさがにじみ出てきそうな街だった。またグラナダを訪れることができるのなら、今度はグラナダに数日滞在し、アルハンブラ宮殿で一日ずっと過ごしてしていたい。

今回の旅では行けなかったけれど、次回はスペインを代表する詩人、ガルシア・ロルカの記念館にも行ってみたいな、と思っている。





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