【架空日記シリーズ】レジで小銭を…
多分、一時間たっただろう。
いや、確実に一時間たった。
レジの先の壁に掛かる時計が17時43分を示している。
私が、先程見たタイミングでは16時43分だった。
こんなことがあろうとも、時の流れは残酷で、
一定のスピードで、未来へと進んでいく。
私が、財布の小銭を取り出すのにもたついて
とうとう一時間がたったのだ。
会計金額は、税込み324円。
100円玉3枚は、40分前に発掘。
10円玉2枚は、20分前に発掘。
しかし、1円玉が見つからない。一枚も。
こんなことになるのなら、レシート捨てておけばよかった。
大量のレシートが、アマゾンの熱帯雨林のように生い茂り、小銭捜索隊の行く手を阻んでいる。
17時45分になった。
この時間になると、スーパーマーケットは混むのは世界の常識である。
私の後ろには、何人もの人が並んでいる。
16時50分くらいまでとてつもない怒声を私に浴びせていた、私のすぐ後ろに並んでいたおばさんも、
さすがに疲れ切ったか、17時15分頃には御仏のような顔をしている。
おそらく、怒りを超越し、悟りを得たのだろう。
このスーパーマーケットは不思議なもので、レジがここしかない。
店員は16時57分ごろに、この状況に理解できずに処理落ちし、たった今復旧した。
17時50分になった。
まだ、見つからない。
1円玉はもう、無いのではないか?という考えは、16時44分くらいに捨てた。
ここまで来たら意地でも見つける。
私の財布の小銭入れから、1円玉4枚を、確実に見つけ出す。
そうこうしている間に、閉店の時間になった。
俺の負けだ。
何も買わずに店を出た。
なんじゃこの話は?
以上
あわたどの。
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