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顔のみえるローカルコミュニティが育む、豊かな生業づくり(後編)

ゆっくりと対話をしながら生まれる、里のものづくり。

鴨川には良品計画が運営する「里のMUJI みんなみの里」があります。生活用品一式が揃う、旅の途中でも心強い立ち寄りスポット。地元の野菜や果物、海の幸を加工した地場産品が揃った直売所は地域色が濃く、農具がディスプレイされた店内デザインは「農家の家」をイメージしているそう。ローカル活動や地域の人々に注目する無印良品の、くらしの原点を見つめる理念を感じます。

美しい民具はかつて「里」で作られたのだ。「里」で作っていた物はみな末長く使うつもりの物ばかりで、その大半は注文で作ったものだった。里の人たちは作る者と頼む者と使う者がみんな顔見知りだった。だから使い手の要求と作り手の技術がぴったりと一致するものができた。
                  秋岡芳夫『デザインとは何か』1974年
 

つくり手は使う人の身近にいて、対話をしながら使う場面のことや相手の癖を知り、寄り添う道具を試行錯誤していたこと。人の役に立つことに一生懸命で、そんな生き方が形になった民具は長く愛され続けたこと。使う人も手入れをしながら、長く大切に使い続けたこと。人と人とが響きあう、精神性の美を感じられる農具が里のくらしから生まれていたのです。

出店者のひとり、首藤(すどう)さんのお話を聞いたとき、お金以上の生業が今も続いていることを感じました。誰かを想い、試行錯誤しながらの関係性がやりがいとなって循環しています。

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地域の資源を最大に活かしたものづくり

屋号「たまめぐ」でお菓子をつくる首藤 喜子(すどう よしこ)さんは、築130年の古民家に住み、農家民泊 太右ヱ門(たえんどん)も営んでいます。早朝から仕込み、作りたての熱を冷まして午後はラッピング。在庫状況を確認して、ロスが無いよう注意を払います。
美味しいのはもちろんのこと、素材へのこだわりや手に取ったときの贈りもの感、包みの丁寧さにお人柄を感じました。いち主婦である喜子さんが、生活の一部として生業をつくることになったきっかけは何だったのでしょう。

自然から与えられた贈りものに想いを込めて

きっかけは2013年、ご主人の熱望で房総地鶏という品種の鶏を10羽飼うところに始まります。1羽が1個、毎日たまごを生むペースに焦ってしまったとか。
たまごを捨てたくない気持ち、もったいないから発起して、食品営業許可を取り「里のMUJI みんなみの里」に出店できるよう、みんなみ会員になりました。
もともとカフェにチーズケーキを卸していたほどお菓子作りが得意で、どこかに出店してみたい気持ちに拍車が掛かったのです。

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屋号は、たまごの恵みで「たまめぐ」。可愛いと思って名付けた後に、娘さん2人の名前、最初の2文字を合わせた愛称になっていることに気がついたそう。たまごが先か、娘が先かの会話が楽しい、唯一無二の愛らしい屋号になりました。

当初は産みたての玉子を使った濃厚プリンとチーズケーキの2種類でスタート。今では季節ごとに新製品が次々と生まれています。

《 商品ラインナップ 》 ※2021年3月現在
たまめぐ 手作りプリン

シュークリーム(苺、紫芋など季節で変わります)
スフレチーズケーキ/ガトーショコラケーキ/レモンケーキ
レモンピール/ゆずピール
いちごジャム/レモンジャム/ゆずジャム/プラムジャム
生姜パウンドケーキ/ゆずパウンドケーキ
甘夏ゼリー
生姜糖
レモンクッキー/ゆずクッキー/アイスボックス
フィナンシェ(くま・ねこ)
マフィン
キンカンコンポート
にらファイト(ニラ、ニンニク、青唐辛子・醤油を使った万能調味料
※「里のMUJI みんなみの里」で販売中(詳細はページ下の情報をご確認下さい)

ジャム_Fotor

フィナンシェ_Fotor

にらファイト_Fotor

商品アイデアは仲間との会話から

みんなが物をつくり持ち寄る現場には、自然とアイデアが生まれやすいようです。いつもの納品の時間にお馴染みの顔ぶれがいて、お互いに気が付いたことや悩みを相談したりするうちに、アイデアが生まれて新製品につながることも。
直接農家さんから果物の見分け方を教えてもらい、美味しさを最大限に活かしたお菓子づくりができるようになったり、使い道が分からず破棄される食材を生かすアイデアを一緒に考えたり。

加えて、地元思いの店舗スタッフが媒体となって、お客さんの様子を教えてくれることもあるとか。作ったものに跳ね返ってくる声は大きなモチベーションになるそうです。小さな商圏で、顔の見える仲間と生業をつくっていくのはお金以上の地域の財産といいます。みんなで売り場を作っていく共同体の幸せは、くらしに根差したやりがいになるようです。

パウンドケーキ_Fotor

コロナ禍で、商品一つひとつに向き合う時間ができたことも変化のひとつ。心に余裕ができ、地元の素材を捨てずに生かしたい、手にとった方に鴨川のことを知ってもらえたら嬉しいと想いを込められるようになったそう。自分が鴨川にいるからこそできることで、存在する意味があると喜子さんは心の声を聞かせてくださいました。

自然から与えられた贈りものを大切に受け取り、想いを込めた生業づくり。
2人の娘の母親という役割、主婦としての役割もバランスよくこなす賢明な女性のしなやかさを思いました。気取らない手作りのおやつは、子どもたちの心も育てます。

顔のみえる仲間との心地よい距離感があり、寄り添う心から生業が生まれていく。住む場所で、過ごす時間も働き方も大きく変わり、人生を変えていくこと。もっと自由に、できるところから踏み出して良いよと教えて頂いたようです。

喜子さんと武宏さん2

《首藤武宏さんと喜子さん》

武宏さんが鴨川に移住して体験された生業についてお話をお伺いしました。
【前編:顔のみえるローカルコミュニティが育む、豊かな生業づくり(前編)

あわたび 文:橘 聖子

「たまめぐ」お問い合わせ
農家民泊 太右ヱ門(たえんどん)
千葉県鴨川市佐野332
電話 04-7098-0709
※添加物を使わず旬の素材をいかしたお菓子です。
※「里のMUJI みんなみの里」でお買い求めいただけます。

【千葉県鴨川市 ふるさと納税 ふるさとチョイス】

(5)-6【無添加】手作りなめらかプリンと季節のジャム
1-207【無添加】季節のくだものパウンドケーキ&季節のジャムセット
1-128【無添加】手作りなめらかプリン&焼き菓子セット
1-129【無添加】手作りなめらかプリンと季節の果物で作ったスイーツセット

【お菓子が購入できるお店】

総合交流ターミナル「里のMUJI みんなみの里
〒2960112 千葉県鴨川市宮山1696《Google map
(国道410号沿い・市立長狭中学校周辺)
電話番号   04-7099-8055
営業時間 9:00~19:00(変動する可能性があります)
アクセス
【車でお越しの方】
国道410号線または県道34号線(長狭街道)_「長狭中学校前」交差点南側すぐ
【電車ご利用の場合】
JR外房線安房鴨川駅より約10km/バス:鴨川日東バス「みんなみの里」下車すぐ
_または「長狭中前」下車徒歩5分_または「長狭中前」下車徒歩5分






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