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本格的AI時代に求められる「問いを立てる」能力とは? (142/365)

以下の記事で、「圧倒的な量的変化は質的変化をもたらす」ことについて書きました。

最先端のAIの世界でまさにこれが起きています。最大で数兆の変数を持つ大規模言語モデルは、インターネットに続くイノベーションを予感させます。

「AI時代に人間にはなにができるのか?できることは残されるのか?」

という問いがあります。いろいろな意見があると思いますが、ひとつに絞るならそれは、

「問いを立てる能力」

だと思います。

「問題を定義する能力」

と言ってもよいかもしれません。AI以前の現在においてもこの能力はとても重要なのですが、いわゆる受験脳のひとたちは、

「問題を解く能力」

が高くても、

「問題を定義する能力」

が低いというのはみなさんも実感としてあるのではないでしょうか。これは、いまの日本が新事業、新産業の創出に苦しんでいる根本原因のひとつだと考えています。

本格的AIの進展により、知識やデータにより、定型的な方法で問題を解決していくというタスクは限りなく自動化されるでしょう。

そうなれば、好むと好まざるとにかかわらず、人間は、より創造的な、

「問いを立てる」

タスクに追い込まれていきます。

新時代のAIが、チャットボットという形でスタートを切ったのも極めて象徴的だと思いませんか?いかに問いを立てるかによって、AIのふるまいは全く異なったものになるのです。

「ちょっとググってみて」

というのはほぼ日常語になりましたが、これは、検索エンジンのデファクトである、Google から派生した表現です。つまり、ネット検索です。

あることを調べていて、検索のうまい人、下手な人がいますよね。うまい人は、検索ワードの選択が優れていて、かつ最初の検索結果から、検索ワードをさらに最適化していきます。これはまさに、

「問いを立てる能力」Ver1.0

と言えます。AIチャットボットでは、これが複数のキーワードから、自然言語になり、結果もより構造化された情報になります。AIチャットボットを使いこなす能力は、いわば、

「問いを立てる能力」Ver2.0

です。すでにChatGPTのユーザー数は1億人を超えたと言われていますが、私の周囲を見ても、ごく簡単な質問の回答で喜んでいる人と、問いを最適化してすでに具体的な仕事に役立て始めている人に分かれます。

後者は、今後どんどん、

「問いを立てる能力」

が磨かれていくに違いありません。すでに、prompt engineering という言葉が生まれています。

こういう時代を人間にとって不遇のはじまりと捉えるか、幸運のはじまりと捉えるか、によって状況は大きく変わるでしょう。私は幸運のはじまりと考えます。人間はより創造的な方向に向かうべきなのです。

そしてこれから生まれてくるこどもたちは、デジタルネイティブ改め、

AIネイティブ

となります。そのことは私にあることを想起させます。それは将棋における藤井名人と羽生名人の対決です。

羽生名人が、古典的な天才棋士であるのに対し、藤井名人はデジタルネイティブの第一世代の天才棋士です。

いまのところまだ実力は拮抗していますが、明らかに戦い方の変化が見られます。そして、藤井名人に続くより若い世代が、AIネイティブ世代としてさらに棋界に新風を巻き込むことは間違いないでしょう。

我々旧人類も、本格的AI時代に備えるマインドシフトが必要です。

「問いを立てる力」

それがキーワードになります。

教育界でもようやくそういう動きがはじまりつつあります。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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