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サラリーマンの役職定年 (91/365)

「役職定年」に関するこんな記事を見ました。

日本企業に定年があるのはみなさんご存知だと思います。いまはたいてい60歳、嘱託で雇用延長で65歳、あたりが標準的です。でも、「役職定年」というのは意外と聞きなれないかもですね。

会社によって運用はだいぶ異なりますが、55歳時点である職位以上でなければ、役職は外れ、一般社員として後輩社員の指導にあたってください、という感じです。部署移動や出向の場合もありますし、元部署に残る場合もあります。給与は維持される場合もありますし、一律削減される場合もあります。これは会社によります。

いずれにせよ、正式な定年退職の5年前の、ちょっとしたステージゲートになっています。仮にこの記事の会社のように、年収3割減、役職なしで残り5年務めるのはなんとなくモチベーションダウンするような気もします。それなら、早期退職制度を充実させた方がよいのではないでしょうか。

ちなみに、アメリカでは基本「定年」という概念はないようです。もともと、職能によってプロモートする文化ですから、能力があり健康な人には「年齢」などという指標で一律に辞めてもらうことに論理性がありません。

「定年退職」にせよ「役職定年」にせよ、日本企業の「定年」には、高度経済成長時代の雇用の基盤だった、終身雇用、年功序列、の影響が色濃く残っているのだと思います。

「新卒一括採用」もそうですが、「年功」「一律」という意識に基づく制度がそろそろ制度疲労しているのかもしれません。私は以前の会社で、大量リストラを目の当たりにしましたが、リストラでさえ、各部門一律10%人員削減などという、事業戦略とは無関係な非論理的な運用がなされていました。

20年以上前から、「実力主義」ということが言われてはいますが、これはせいぜいボーナスに色を付ける程度のゆるいものですし、やはり年功序列の考え方が根強いです。最近の「ジョブ型雇用」の話はもしかしたら変化の兆しかもしれませんが、まだわかりません。

さて、アメリカは「定年」がないと言いましたが、これは一方で、「能力主義」が厳しく運用されているということでもあります。

引用した記事に、以下の記述がありました。

「また、NECや富士通など大手SIer(システムインテグレーター)も役職定年制度を導入していたが、昨今は廃止に動いている。しかし、新制度では降格の対象がより若年化され、40代以下の社員でもかなりの緊張感を持って働くことになる。」

「しかし、、、緊張感を持って働くことになる。」

この表現に違和感を覚えます。能力があろうがなかろうが、緊張感なしに身分を保証して欲しいと思うのは従業員側の甘えに他なりませんし、そこを温存したために、一律定年という不合理な運用がなされているなら、組織の健全化のためにも、NECや富士通の取り組みは妥当な方向だと思います。

そもそも、「降格」がないために、能力のない管理職が重要ポストにとどまり、事業運営にネガティブな影響を及ぼしている現場を何度も見てきました。もちろん、評価や査定の難しさは別途論ずる必要がありますが、年功序列、既得権がはびこっている現状はほぼ限界でしょう。

高度経済成長を象徴するヒット曲に、植木等の「ドント節」があります。ご存知ですか?

♪サラリーマンは
気楽な稼業と きたもんだ
二日酔いでも 寝ぼけていても
タイムレコーダー ガチャンと押せば
どうにか格好が つくものさ
チョッコラ チョイと
パアにはなりゃしねェ アッソレ

当時の経済には、こういう呑気なサラリーマンを許容する余裕があったのですね。残念ながらそういう時代は終わったのです。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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