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母の雛人形

私にはもう母は一人しかいない。
齢86歳。

とても矍鑠として歳を感じさせない人。
花が咲いたように笑い周りを明るくさせる人。

三年前の豪雨で一人暮らしの自宅が半壊し住めなくなった。
今は嫁の妹夫婦と借家に住んでいる。

独り暮らしの時は山の斜面の100段以上も階段のある家に住んでいた。
買い物のたびに階段を往復する彼女。

足腰は強く、仲間とサークルで卓球もしていた。その頃は若々しく溌剌としていた。
そんな義母の趣味の一つが古布を使った人形づくり。

そう、京都や古い町並みの観光地のお土産物屋で見かける可愛らしい人形達...。
あれを真心込めて作る。
 
そんな義母は家を失ってこの方すっかり元気がない。

卓球も止めてしまい、楽しみの一つの友達同士で行く旅行も健康の問題や連れ合いのお世話で沙汰止みになってしまった。 

唯一続けているのが人形づくり。
新しく作った人形を褒めるとタンポポ花のように可憐に微笑む。 

そんな人形を飾ってみた。
いつまでも元気で健やかであって欲しいと願いを込めて..。

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