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コロナウィルスの影響で頑張ってきたことが白紙に戻ってしまった そんなクライアントにどんな風にコーチングすればいいですか

こんにちは。ホリスティックコーチの佐藤草(さとうそう)です。
オランダから、持っている力を発揮するためのヒントをお届けしています。

今日はコーチングの実践を頑張っているコーチからのご相談にお答えします。

クライアントさんがコロナウィルスの影響でがこれまで頑張ってきたことが全部白紙に戻ってしまい、ゼロからのスタートになってしまいました。4月からの目標を決めたいということですが、こんなとき、どんなセッションを提供すればいいのでしょうか。

まずは今の辛い気持ちややるせない気持ちを素直に聞かせてもらって、その後目標を決めていきたいと思っているのですが…「目標を明確にする」意図を持った質問をいつも通りするのは今回は違う気がしています。

終わった時に希望を見つけてまた歩き出そうと言う状態にもっていきたいのですが…。

話が出し尽くされるまで聞いた後に、この出来事の意味付けを長い時間軸の中で見るとどうなるかに目を向けることにつながる質問などを考えてみました。

アドバイスあればいただきたいです!

ご相談ありがとうございます。

これまで積み上げてきたことが白紙に戻ってしまう。辛いですよね。

きっと同じような状況の方、そして同じような状況のクライアントがいるコーチの方もいらっしゃるのではと思います。

そんなときどんなセッションを提供すればいいのか、3つステップをご紹介します。

こんな人が書いています。

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先にお伝えすると、今回考えていらっしゃる「聴き切って、時間軸を変える視点を持つことを後押しする」という流れ、とてもいいと思います!

なので、全般としてその補足になるのですが…

1. クライアントがセッションを通じて手に入れたいものは何か

まず今回は、クライアントが自ら「目標を決めたい」とテーマをリクエストしてきたということですよね。

「辛いけれど前に進みたい」という気持ちがあるのではと想像します。

「終わった時に、希望を見つけてまた歩き出そうという状態にもっていきたい」というコーチとしての見立ても間違っていないと思います。

なので、これは他のコーチングビギナーの方に向けた「念のため」のポイントになりますが…まずはセッションの始めにクライアントが手に入れたいものを確認しましょう。

すでにいつもその日のセッションのゴールや手に入れたいものを聞いているかもしれません。

ポイントは、「言葉にしていることの先に何があるか」です。

例えばクライアントが「目標を明確にしたいです」という場合、「目標が明確になるとどうなりますか?」とさらにその先を聞いてみましょう。

そうすると「また頑張ろうという気持ちになる」かもしれません。「明日からまた行動をしていける」ということかもしれません。

「明日からまた行動をしていける」とさらにどうなるのでしょうか?

クライアントが「頭」で考えて言っていることではなく、「心」から語っていることだなと感じるまで聞いてみてください。

そのときにはコーチの側も「目標を明確にするって大事よね」と、頭で受け取らないことが大事です。自分が「分かった」と思うことほど「この人にとってそれはどういうことかな」と、疑ってみてください。

質問者さんはこのあたりはすでにしっかりと聞けるようになっているのではと思います!

2. 「今の感覚」をしっかりと味わう

これも、質問者さんがすでに考えていることですが「まずは今の辛い気持ちややるせない気持ちを言葉にしてもらう」ということはとても大事なことだと私も思います。

コーチングは「マイナスをゼロにするのではなく、プラスをさらにプラスにする」とも言われたりもしますが、プラスの方向にさらに向かおうとするにはその土台がしっかりとできていることが必要です。

今の正直な気持ちを置き去りにしたまま目標に向かおうとばかりすると、基礎がない建物のように不安定になってしまいます。

「目標を明確にすることがエネルギーを生む」という考え方もできますが、もしまだクライアントが今の感情をしっかりと味わい言葉にすることを十分に行なっていないのであれば、それを後押しすることが結果としてエネルギーを生むことにつながっていきます。

一方で、もしかするとすでに今の感覚をしっかりと味わっていて前に進むだけのエネルギーが生まれてきているかもしれません。

なので、まずは「今どんなことを感じていますか」「今心の中にはどんな気持ちがありますか」と聞いてみるのがいいでしょう。

前に向かおうと言葉にはしているけれどどこか違和感を感じるときは心の中にある感情を味わうことを提案してみてもいいかもしれません。

無意識に自分の弱いところをあまり見せたくないという気持ちを持っている方もいますが、そんなとき私は「○○さんの中の、とっても辛いと思っている人の声を聞いてみましょうか」と、その人の「一部」として扱う場合もあります。(このアプローチは、例えばクライアントが自分の中で矛盾する考えがあってそれに葛藤を感じているときなどにも活用できます)

私は「今の自分を十分に味わったら持っている力は自然と発揮されていく」と思っているので、しっかりと味わえたらあとはクライアントが向かいたい先に自然と向かっていくかなと思いますが…

その次のステップとして、すでに考えていらっしゃる「この出来事の意味付けを長い時間軸の中で見ることを後押しする」というアプローチもとてもいいと思います。

3. 出来事の意味付けを更新する

人は、目の前にあることややってきたことに「大変なことだ」「辛いことだ」「無駄になってしまった」という意味付けをすると、その結果さらに苦しい気持ちになっていきます。

反対に、「今やっていることが意味のあることだ」「これまでやってきたことも無駄ではなかった」という意味付けをすると、それがエネルギーとなり、新たなあゆみを進めていくことができます。

そのため、コーチングセッションでは、クライアントが今見ているのとは違う角度や時間の長さで物事を捉えることを後押しすることが重要になってきます。

ここではご紹介しませんが、ご相談に書いてくださった質問たちもそのための強い後押しになると思います。

それに付け加えるポイントがあるとすると、「クライアントの得意な感覚を使うことを後押しする」ということです。

ここで言う感覚とは、視覚・聴覚・身体感覚、NLPではV(Visual:視覚)、A(Auditory:聴覚)、K(Kinestic:身体感覚)と整理されています。

どの感覚が優位かというのは人によって違います。

そのため、例えば、「時間軸を広げて出来事の意味付けを考える」ということを後押しする質問も

▼今のあなたを高い位置から見ると、何が起こっているように見えますか?(視覚が優位の方)
▼あなたの人生を綴った本の中で、今いる章に名前をつけるとするとどんな名前になりますか?(聴覚や言語感覚が優位の方)
▼5年後のあなたは何を手に入れているのでしょうか?(身体感覚が優位の方)

など、相手の感覚に合わせて変化させることができます。

さらにもし、「5年後から現在の状況」を想像するのであれば、まずは5年後のイメージを優位感覚を中心とした五感で膨らませた上で、

▼そこから振り返って今のあなたを見ると…(身体感覚+視覚)
▼5年後のあなたが今のあなたに声をかけるとすると…(聴覚)

など、相手の優位な感覚に合わせて誘導し、今起こっていることの意味付けを行う後押しをすることもできます。

また、未来のことを思い描いたり、長い時間軸で見た現在の意味付けを考える前に、「これまで頑張ってきたこと」についてもう一度考えてみることもできます。

▼これまで努力してきたプロセスで得たものがあったとすると何でしょうか?
▼○ヶ月前のあなたが今のあなたを見て、「成長しているな」と思うとすると、どんなところでしょうか?
▼この○ヶ月の間であなたが耳にした一番嬉しい言葉は何でしたか?

など、これも、クライアントの優位な感覚や、大切にしている価値観に関連していると言葉が出てきやすいです。

しかし、必ずしもそうでなくても構いません。コーチであるあなたがクライアントに対して信じていること、心から聴きたいと思うことを問いかけてみてください。

「自分でまた歩き出せる」ということを信じて話に耳を傾け続けてくれる人がいるということそのものが、何より、クライアントの力になるはずです。

ところで…

この「予期せぬことでクライアントが辛い思いをしている状況」というのは、あなたにとって何を学ぶプロセスなのでしょうか。

ぜひまたお話し聞かせてください。

*個人的にいただいたご相談を元に相談者の許可を得て、ご相談内容を編集したものに回答を記載しています。通常のコーチングセッションでは、お悩みの相談をお受けすることやアドバイス・セッション内容の公開は行なっておりません。

COACHING ADVANCEでは、コーチになりたい方やコーチとして成長を続けたい方のご質問やご相談をお受けしています。

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Illustrated by HISAKO ONO




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