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色落ちしたシャツに春を刺した話

こんにちは。刺繍作家のawaiです。早咲きの桜が咲いていますね。今日はひょんなことから桜の刺繍をしたお話です。

事の発端

2月某日。朝着替えようと思ってシャツを出すと、袖口の色が抜けてしまっていることに気づきました。去年の秋に無印良品で購入したもので、ベージュとグレーの中間のような絶妙な色が気に入って、この秋冬の間はよく着ていました。

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どこかわかりますか?

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ここです。どちらかと言うと目立つところではなくて、だからこそ自分でも色落ちに気づかずにいたのですが、気に入っていただけに気づいた時はかなりショックでした……。生地の厚さも色も春先まで着られると思ってたのに……!

「……春先? ん? そうだ、せっかくだから刺繍で春らしくしてしまえばいいんだ!」

ということでショックを受けてから5分後くらいには桜の花びらを刺繍することを思いついたのです。ちょうど色落ちの大きさも桜の花びらくらいのサイズだし! (立ち直り早いなあ)

実際に花びらを刺繍したレポ

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①いざ、直径7cmの刺繍枠を無理くりはめ込みましょう。袖口の生地の端の方、布や縫い目が重なって厚みもあるところですが、何度かはめ直しつつもセットできました。

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②水で消えるタイプのペンで下書きをします。色落ちの部分の一回り大きいくらいを目安に。(この後一度刺し始めてから上の方をちょっと修正しました)

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③今回は面積が小さく繊細なものを刺すので、刺繍糸は1本どりで。ロング&ショートステッチで全体を隙間なく埋めます。

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④薄ピンク1色で全面を刺し終わりました。この後3色使ってグラデーションをします。

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⑤ロング&ショートステッチの上からストレートステッチをしてグラデーションが出来ました。花の中心に向かって急激に濃くなるグラデをなるべく忠実に再現しました。

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⑥完成です! 桜の花びらがシャツの生地にさり気なく溶け込むようです。


刺し終わってから気づいた事

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今回色落ちしたところは、袖のボタンの近くの目立たないところで、腕を降ろしているときは見えづらいし上に一枚着れば袖口は隠れてしまいます。
シミのときはそんな所でもショックで隠したかったのに、刺繍をしたら見えづらいところにあるのが勿体ない気持ちに……。不思議ですね。

私がこのシャツに桜の花びらが散っているのを知っていれば、それだけで充分な気もするのだけど。温かい季節になって上着がいらなくなったら、誰かが気づいたらちょっと面白いんじゃないか、と小さな期待が芽吹きました。

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1日着て、洗濯ネットに入れてガラガラ洗って干しました。糸と糸の隙間が少し縮まってキュッと緊密になった気がします。

ほつれたり、毛羽だったりするかもしれません。きっと服と共に経年変化していくでしょう。
それでいいのです。飾って眺めるためではなく、昔の民族衣装の装飾のように、生活していく中ですり減っていく現代の刺繍もあっても良いでしょう。桜はいずれ散るのです。

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