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ボヘミアン・ラプソディ和訳後分析⑫~まとめ1~

これまで、楽曲ボラプ(フレディ・マーキュリー作詞作曲)を和訳し、さらに分析を行い、こちらも最後まで来たのでまとめをします。

最初は曲のまとめをしようと思いましたが、謎だらけで全くまとまる気配がないので、今までの分析手法を振り返ったり、結果をまとめます。

分析は今後も続けていきたいので、これまでに残された謎を整理して、次につなげたいと思います。


1.アカペラコーラスパート

"Bohemian Rhapsody"
Written by Freddie Mercury

Is this the real life-
Is this just fantasy-
Caught in a landslide-
No escape from reality-
Open your eyes
Look up to the skies and see-
I'm just a poor boy, I need no sympathy-
Because I'm easy come, easy go,
A little high, little low,
Anyway the wind blows, doesn't really matter to me,-to me-,

私の中でここの謎は、

Open your eyes
Look up to the skies and see

という詩です。

このパートで最も美しく、優しく包み込むようなコーラスだと思いますし、バックのピアノも流れるように入りますが、言っていることは「現実を見ろ」というような感じでキツい。

また、これは誰の声なのか?

また、lookと重複するような最後のseeは、何を示すのか。


また、分析では、私はアカペラの詩は途中までオペラと対応しているとしたが、それも確証が持てなくなっている。

アカペラ・オペラ関連説の理由は、I'm just a poor boyとeasy come easy goのセリフが同じだから、また、easy come~についてはメロディも同じだから。しかし、何か決定的ではない。

ただ、アカペラとオペラは対応しているところはあるとは思う。

easy come~のメロディはまさにオペラ・パートのソロ部分などのメロディだ(半音階ずつ、2音階内を下がったり上がったりする)。

しかし、アカペラ部分は他のパートにも対応してそうだとも感じる。

(だから、やはり残念ながらオペラパートの意味は保留ということだ。)

とにかくこう思っている。

やはり、このアカペラ部分は、曲全体のサマリーであると考える。最初はバラード(reality=殺人)、次にオペラとロックがまじりあったもの、そして最後のキーフレーズとなっているのではないか。


まとめると、

アカペラ部分は、

1.曲全体のサマリーとしての役割を果たすと推測した。

2.中間部分の、seeで終わる部分が謎である。

3.メロディも、重要な手掛かりとなりうる。

ということにしました。


2.バラード(最初のバラード)

"Bohemian Rhapsody"
Written by Freddie Mercury

Mama, just killed a man,
Put a gun against his head,
Pulled my trigger, now he's dead,
Mama, life had just begun,
But now I've gone and thrown it all away-
Mama, ooo,
Didn't mean to make you cry-
If I'm not back again this time tomorrow-
Carry on, carry on, as if nothing really matters-

Too late, my time has come,
Sends shivers down my spine-
Body's aching all the time,
Goodbye everybody-I've got to go-
Gotta leave you all behind and face the truth-
Mama, ooo- (Anyway the wind blows)
I don't want to die-
I sometimes wish I'd never been born at all-


バラードは、この曲の言語的な面(詩)で考えるとすると、かなり重要な部分であると言えそうです。

その理由には、物語がこの曲の中で一番しっかりしていることや、観客やリスナーも歌えることなどがあげられます。

詩としては、単語が単純なので覚えやすいし、音の面でも、韻を踏んだり類似の音が計算されて配置してあり、テンポがゆっくりなのも歌いやすいです。逆に単語が単純だからこそ真の意味がよくわからない、という側面も持ちます。

実はかなり個人的な意味合いが込められているとされていて、悲し気でドラマチックなこのバラードには、今でも憶測が飛び交います。

表向きの物語はイメージが浮かぶものの、この詩に込められた思いはなかなか読み解けません。


この殺人と離別の物語を、現代に当てはめると、まず殺人の時点でつまづきます。

私の中で、問題点は大きく4つ。

1.時間的表現のあいまいさ:justとnow、tomorrowなどがいつの時点なのか不明。
2."this time tomorrow"、"my time has come"などの意味も不明。
3.主語や所有格が省かれている。
4.どこまで個人的な内容を反映させているか不明。(本当に面と向かってmamaと話しているのか。そもそもmamaとは誰のことか?など)

誰を(誰がも含め)殺したかについてが謎なのは言うまでもないが、仮説を立ててみても、上記のような謎があり、検証を難航させます。

これを解くカギは、様々な古典作品および当時の最新作品の中に隠されていると思う(バラードだけじゃなく、全体を通して)。

そのめくるめく世界に触れながら、気長に I see状態を待とうと思う。


とにかくバラードはフレディの個人的な謎が多く、何かを誰かに伝えようとはしている、または何かの真実を内包している。

あくまで私にとって、何かプラスになることを期待して、今ある苦しみを乗り越えるために、そのメッセージを解明したい。

フレディも、Anyone can see(だれでもわかる)と言っている。


これでバラードのまとめを終えたい。


3.ギターソロ

バラードの次はギターソロを挟む。

2:55、(この曲全体が5:55なので、ちょうど中間あたりで、)ギターソロのメロディが転調し、オペラパートへと向かう。


4.オペラティック・パート

I see a little silhouetto of a man,
Scaramouch, scaramouch will you do the Fandango-
Thunderbolt and lightning-
very very frightening me-
Gallileo, Gallileo,
Gallileo, Gallileo,
Gallileo figaro - Magnifico-
But I'm just a poor boy and nobody loves me-
He's just a poor boy from a poor family-
Spear him his life from this monstrosity-
Easy come easy go-, will you let me go-
Bismillah! No-, we will not let you go- let him go-
Bismillah! We will not let you go- let him go
Bismillah! We will not let you go- let him go
           Will not let you go- let me go
           Will not let you go- (never, never, never)let me go
No, no, no, no, no, no, no-
Mama mia, mama mia, mama mia let me go-
Beelzebub has a devil put aside for me, for me- for me-

ここは、詩の内容より、音の面で重要といえる。

レコーディングに要したのは、3週間とも5週間ともいわれる。当時として異例の長さのようです。

歌えるメイ氏とロジャさんは1日10時間近く歌いっぱなしだったという。

ピンポン録音という方法で、たった3人(歌えるメンバー)で180人分の合唱を再現しているらしい。これも当時の技術では誰もやらなかった。


アカペラでも述べたように、最初にアカペラとオペラは詩が対応しているとしたが、それはあまり腑に落ちなくなってきているので、アカペラは全体のサマリーとした。

しかし、やはりアカペラにもオペラの対応部分はあると思われる。


オペラ部分の詩や音に関するなぞは、

1.登場人物:
1-a weとは誰か。魔王とは誰か(悪魔とは何か)。
1-b 3者の言い争いのようなものは本当に3者なのか。
1-c 登場人物は何人いるのか。例えば、高い声と低い声などで、人物に違いはあるのか。

2.オペラ部分は時系列に沿っているのか。(バラードの次の展開なのか、過去なのか)そもそも物語は絡み合っているのか。

3.ピンポン録音とただのミックス録音など、合唱の質の違いに何か意味はあるのだろうが、どんな意味なのか。

たとえば、scaramouch ~ frightening meまでや、we will not let you goなどはピンポン録音(180人分くらいのコーラスらしい)だが、前者は主人公側、後者は敵側として、あとで3つ巴の言い争いをするので、ピンポン録音の録音の合唱ならこの人物(たち)とは一概に言えないようである。


また、オペラに関する知識がないのでわからない部分もあると思う。形式などがあるかもしれない。こちらはおいおい身につけていきたい。

あとはもちろん、小男のシルエットやスカラムーシュ、ガリレオやファンダンゴ、雷などの意味するところや状況なども謎。主人公との関係もわからない。それらもアカペラと比較したり、メロディの面からわかる日が来るかもしれない。あるいはフレディしかわからないかもしれない。

ビスミラ、ママミアも、もっと宗教のことを勉強しなくてはいけないかもしれない。

課題は多い。その分楽しみも多い。


5.ハードロックパート

So you think you can stone me and spit me in my eye-
So you think you can love me and leave me to die-
Oh Baby-Can't do this to me baby-
Just gotta get out- just gotta get right outta here-


オペラの最後の全員合唱for meのバックに、ドラムが追ってきて、「ドン」となってから、ハードロックが始まる。

たぶん、このパートは、当時のライブでの肝

アルバムやシングルで(レコーディング)は、一般の人にアカペラやオペラパートも聞いてほしいと思うが、ライブに来てくれる人たちは、主にハードロックが聞きたいはず。それにお金を払ってきているはず。特に昔からのファンや不満を抱え閉塞感にあえぐ若者たち。

まるで今までの展開(泣いたり恐怖に叫んだりやられっぱなし)から逆切れするようなこの怒りのパートは、ストレス発散にもってこい。ある種のカタルシスでしょう。

ビデオでも生き生きとしたフレディの活躍する姿が。


ここの詩においては、謎は、

1.youは誰か

2.ここから出ていく、の「ここ」とは

3.時系列なのか

4.ほかのパート(バラードとオペラ)との関連性は

5.現実とのリンク(同様の体験をしたのか)

などです。


ここも短いですが、全く謎です。物語が先に進めば進むほど謎が増えていきます。


6.間奏

ハードロックの詩が終わり、演奏は続きますが、そのうち変調します。

ギターソロのコードが目まぐるしく変わり、メロディの音階は1つづつ、上下しながら、だんだん上がっていき、ギュイーンと吸い込まれてどこかに召喚されそうになります。ギターが止み、ピアノが同じようなメロディでたたかれ、最後は解放していきます。


だいたい、全5:55のうちの4:55あたり。残り1分で、穏やかなメロディにかわり、ウ~(ooo)のコーラスが入り始めます。

ここが切れ目だと思います。

そして、私が思う肝は、次に来るコーラスのOoo yeahだと思います。

歌詞カードにもありません。2回言います。

yesという意味の言葉で、今までの負の流れを変えます。

切れ目の部分からは、ギターは1オクターブ分、コードが上がりながら、だんだん上がってはいますが、最初の狂気的な変調部分より、陽の雰囲気で安定した感じで上がっています(王者のようなギター?)。oooとyeahは半音階分上がる(ライブでは下がることも)ように2回歌われ、次のベースでメロディの音程は下がります。

ギターソロ?がまたギューンと入った後、優しくなり、そして、最後の詩の部分。


7.バラード(最後のバラード)

Nothing really matters,
Anyone can see,
Nothing really matters-, nothing really matters to me,

Anyway the wind blows...

最後の詩は、主にこの曲全体のキーフレーズについてです。

①Nothing really matters to me

②Anyway the wind blows

の2つ。

アカペラ(サマリー)の最後にもあり、バラードパートにも埋め込まれています。

この二つの意味するところも最大の謎です。


詩は、直前のハードロックとは対照的に、とても穏やかに美しく優しく歌われます。

①は特にゆっくり、繰り返して歌われます。

詩が少ないので、ooo(ウ~)以降の1分間、このパートのほとんどは演奏です。

それも何度も変調し、声とギターとピアノが入れ替わり主役をとります。


最後に完全に静まっていく中で、②が聞こえるか聞こえないかくらいの声でささやかれます。


ここの謎は、全てのパートをまとめて、

1.風とは何か

ということにしておきましょう。


これですべてのパートが、一応、詩に対する疑問という観点でまとまりました。

次回はタイトルについて考察と全体のまとめについてです。

軽くやるつもりですが、どうなることやら。


ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

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