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【QUEEN良曲編】オール・デッド、オール・デッド~愛しい君はいなくなってしまった~【ブライアンの優しいグリーフ・ケア・ソング】

死を書かせたらブライアンに勝るものはいるでしょうか。

勿論フレディのボラプなどもありますが。

そのために生まれてきたのかと思わせます。

それと向き合うために。


はじめに

以前「スウィート・シスター」で、一緒に訳した大好きな曲、オール・デッドを新たな記事にしておきます。

元記事こちら⤵️


All Dead, All Dead(1977)
Written by Brian May

Memories, my memories
How long can you stay
To haunt my days

She came without a farthing
A babe without a name
So much ado 'bout nothing
Is what she'd try to say
So much ado my lover
So many games we played
Through every fleeted summer
Through every precious day

All dead, all dead
All the dreams we had
And I wonder why I still live on
All dead, all dead
And alone I'm spared
My sweeter half instead
All dead
And gone
All dead...

All dead, all dead
At the rainbow's end
And still I hear her own sweet song
All dead, all dead
Take me back again
You know my little friend's
All dead
And gone

Her ways are always with me
I wander all the while
But please you must forgive me
I am old but still a child

All dead, all dead
But I should not grieve
In time it comes to everyone
All dead, all dead
But in hope I breathe
Of course I don't believe
You're dead
And gone
All dead
And gone.

思い出よ、どのくらい私につきまとうのか・・・

(詩の1番)

無一文、名前もなくやってきた彼女。
何の意味もない空騒ぎ、
あの子はそれを言いたかったのか。
本当にそうだった、恋人よ。
色んなゲームをしたね、
足早に過ぎる夏の日々、
すべてがいとおしかった。

(コーラス・サビ)

いなくなってしまった、まったくもって。
私たちが持っていたすべての夢
なぜ私はまだ生きているのだろうかと思う
いなくなってしまった、まったくもって
そして私はひとりぼっちで引き裂かれた。
私のいとしい半身がかわりに
なくなって、消え去ってしまった。

(ピアノ・ソロ)

(サビ2)

虹の終わりに
私にはいまだに彼女のうつくしい歌がきこえる
いなくなってしまった、まったくもって
もう一度私を連れて行って
わかってるよね、私の小さな友達は
なくなって消え去った

(天国のギターソロ)

(ブリッジ)

彼女のやり方はいまだにいつも私とともにある
私はずっとさまよっている
しかし、お願いだ、あなたは私を許してくれるにちがいない
私は年だけとっていますが、心はまだ子供のままなのです

(サビ3)

いなくなってしまった、まったくもって
しかし、私は悲しむべきではありません
やがてそれは皆に来る
いなくなってしまった、まったくもって
しかし、私は希望をもって息をし続けてる
もちろん、私は信じていません
あなたがいなくなって、消え去ったなんて。


付け加え

'Twas not for talk of loving 
'Twas not for talk at all 
So much ado about nothing
Would be her only call

愛情表現の話をしようとしたのではなかった
実際、実のある話ですらなかった
空騒ぎ、
これだけが彼女の呼びかけだったろう


フレディ・マーキュリーがボーカルの時は最初の部分はこの詩だった。

これがブライアン・ボーカルでは以下のように変わっている。

She came without a farthing
A babe without a name
So much ado 'bout nothing
Is what she'd try to say

「彼女」は無一文でやってきた
名前すらはっきりしない小さな君
軽薄な空騒ぎ
これが彼女の言おうとしてたこと

フレディが歌うことを拒否したのか、作曲のブライアンが自分でピアノを弾き、歌っている。

(最初のテイクから詩が変わることはよくある。スウィート・シスターやフー・ニーズ・ユーなど。ワン・ビジョンの映像でもフレディが適当に歌いながら、歌いやすいようにかどんどん歌詞を変えていくのがわかる。だから深読みのし過ぎかもしれないが。)


以前の記事でも書いたが、タイトルの感じから受ける感じと違い、とてもやさしい曲で、死についての詩。

一人っ子の妹すらいないブライアンが、子供の頃の唯一の妹の猫(または猫たち)について、その死を悼むという詩。


フレディが言うところの「失うものについての詩」。

あまりに個人的で、彼しか表現できない歌なのかとも思う。

内容も、他の人が歌うとただの暗すぎる曲になりかねない。


そしてこの曲の最もスピリチュアルなポイントは、

これがフレディのいない15年後をも表すということ。


意訳2

(あの子がいなくなってしまった、)

思い出よ、いつまで付きまとうのか


「彼女」は無一文でやってきた(最初は身一つで、貧乏だった)

名前すらはっきりしない小さな君(本名はbulsara?よく知らない)

軽薄な空騒ぎ

これが彼女の言いたかったことらしい


空騒ぎだったね、愛する人

色んなゲームをしたね

足早に過ぎた夏じゅう

かけがえのない日々


死んでしまった

僕たちがともに持っていたすべての夢

なぜ僕はまだ生きているのだろうかと思う

いなくなってしまった、

そして僕はひとりぼっちで引き裂かれた

僕のいとしい半身がかわりに

なくなって、消え去ってしまった


いなくなってしまった、

虹の終わりに(天国の近く)

僕にはいまだに「彼女」のいとしいがきこえる

いなくなってしまった、

もう一度僕をあの頃へ連れていって

そう、私の小さな友達は

なくなって消え去った


「彼女」のやり方はいまだにいつも僕とともにある

僕はずっとさまよっている

しかし、お願いだ、君は僕を許してくれるにちがいない

僕は年だけとったが、心はまだ子供のままなんだ


いなくなってしまった、

しかし、僕は悲しむべきではありません

だって、やがてそれ(死)は皆に来る

いなくなってしまった、

しかし、僕は希望をもって息をし続けてる

もちろん、僕は信じていません

君がいなくなって、消え去ったなんて。


クイーンというバンドには少なくとも予言者は2人いたようです。


総合評

この曲は優しく、取り残されたの気持ちをうたい、いやします。

ボラプで今まさに積極的に旅立とうとしているような人を、引き止めるような。

この傾向はボラプと同じアルバムの「’39」でも見られます。

未来の話なのか人間の汚した地球を救うため妻に先立たれたヒーローの悲しみです。B面の「預言者の唄」同様、人間の行いの愚かさも訴えているかのような科学的視点の歌です。

’39はレコードではやはりブライアンが歌うし、ライブではメンバー4人が舞台の前に並び、アコースティックな演奏が魅力のある、明るい曲みたいになってしまっていますが。

フレディはライブで明るく歌ってこの曲を布教していたのかも。私も大好き。

それに、この科学的な歌は彼にしか歌えない。

この曲はアルマゲドンの元になったかも。

1999年7月?のノストラダムスの地球滅亡予言の。


とにかく、まとめると、この曲はなんだか優しい気分になる、そしてちょっぴり悲しくなるという曲でした。




Queen Official 

Queen - All Dead, All Dead - At Last, the Video!


Queen - All Dead, All Dead Lyric Video (Hybrid Version)


おまけ

matsunoyaさんのノートでは、この曲のピアノの旋律が、キラークイーンのギターソロに似ているという興味深い指摘があります。

どちらも猫について書かれるので、その線もありかもしれません。

キラー・クイーンはプレイフルなプッシー・キャットが出てくるところで、擬似猫ギター音が入ります。

キラーのギターソロはブライアンが病気から復帰して完成し、ブライアンが最も気に入ってるギターソロというので、彼が作ったのかもしれない。

私にはギターソロはフック船長の「ワニを冷やかすな」ですが。あとはミッキーのハワイアンなウクレレ。

キラー・クイーンが明るく、幾分軽薄さも感じるのに対し、オール・デッドは死についての荘厳な作品です。中間のギターソロだけ光が感じられ、天国や虹の向こうの世界を思わせます。

彼のギターは七色ですね。


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