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【QUEEN和訳】スキャンダルScandal〜仏の顔も三度まで!ショー・マスト・ゴー・オンに続く魂の歌唱〜【私の好きな曲】

ひとはなぜ悲しい曲や物語に惹かれるのだろう。

これがカタルシスというのかもしれない。


歌詞全文

“Scandal”
By Queen 

Scandal - now you've left me all the world's gonna know
Scandal, they're gonna turn our lives into a freak show,
They'll see the heart-ache, they'll see the love break,
They'll hear me pleading, I'll say for God’s  sake,
Over and over and over again,
Scandal - now you've left me there's no healing the wounds,
Hey scandal, and all the world can make us out to be fools,
Here come the bad news, open the flood gates,
They'll leave us bleeding, we’ll say you cheapskates,
Over and over and over again,
So let them know when they stare, it's just a private affair,
They'll have us hung in the air and tell me what do they care,
It's only a life to be twisted and broken,
They'll see the heart-ache, they'll see our love break - yeah,
They'll hear me pleading, I'll say for God‘s sake
Over and over and over and over again, 
Scandal, scandal,
Scandal, yes you're breaking my heart again,
Today the headlines, tomorrow hard times,
And no-one ever really knows the truth from the lies,
And in the end the story deeper must hide,
Deeper and deeper and deeper inside, 
Scandal, scandal etc…

和訳

スキャンダル
あなたが私を置き去りにした今、
この世界の知るところとなるだろう

スキャンダル
彼ら(マスコミとその視聴者)は私たちの生活を面白おかしいいじめのショー(劇場)に変えるつもりです

彼らは(この)傷ついた姿を見るでしょう
彼らは(この)愛が壊れるのを見るでしょう
彼らは私が懇願するのを見るでしょう
私は「後生だから(お願いやめて)」と言います

何度も何度も何度も(繰り返されてきた)

[詩 2]

スキャンダル

今、あなたは私を去り、(したがって)もうこの傷口が癒(い)えることはありません

ねえ、スキャンダル

そして、世界中が私たちを愚か者(フール)にすることができます


ほら、悪いニュースがやって来たぞ

(激流の)水門を(どんどん)開け

彼らは(傷とその後の曝しや暴行により)血を流したままの私たちを置き去りにし

私たちは(絶望し混乱した状態で)「(あなたたちは)ケチ(なひとでなしどもだ)!」と叫びます。

何度も何度も何度も(繰り返された)


(ブリッジ)

だから彼らが(私たちを)じろじろ見てきたときは、(ぜひ)彼らに知らせてあげてください、

「これはプライベートなことですから(ほっといてあげなさい)」と。

彼らは私たちを空中に吊るす(干す)でしょう、

そしたら、私に教えてください

「彼らは何を欲しがっているんだ?」


それ(答え)は、ただの、
ねじれて壊れてゆく(誰か犠牲者の)人生


彼らは(私たちの)心の痛みを見るでしょう

彼らは私たちの愛が壊れるのを見るでしょう、ええ

彼らは私が懇願する姿を見るでしょう

私は「神よ」と言います

何度も何度も何度も何度も、

【ギターソロ】

【間奏】

スキャンダル

はい、あなたはまた私の心を壊しています

(そうさ 君はまた恋をしている)


【ブリッジ】

今日、(雑誌などの)「見出し」(になると)

明日(から)は散々(ハード)な日々。

そして、誰も決して本当には知りえません、

嘘の(報道)の下にある、僕らの本当の物語を。

そして最後には、ストーリー(みんなの最も知りたい真実)は

より深く隠さなければならなくなる

もっと深くもっともっともっと深く内に秘められるのさ・・・


Queen - Scandal (Official Video Remastered)


ちょっとした解説

このスキャンダルという曲は1989年の13作目のアルバム、「ザ・ミラクル」に収録されています。

シングルカットあり。

「ザ・ミラクル」から、
作詞など名義が全てクイーンになっており、公式には誰の作詞かわからない。

当時のインタビューでは、ブライアン・メイが「お分かりのように(明らかに)、自分が書いた」と言っている。

誰の作詞?説

理由は、この時、ブライアンは女優のアニータさんとのゴシップ報道があり、大変苦しんでいたからではないか。

苦しみは、
1、離婚による良心の呵責
2、報道により二重苦
3、敬愛の父親が死に向かっている
4、フレディもなんか死にそう

など四重苦。


詩もそう言われるとブライアンっぽい気もする。


しかし、最近気づいた。

ミラクルの歌詞カードを見ると、

最初の三曲

(パーティー→カショーギの船→ミラクル)

は、歌詞にまったく空白がない。

ずらりと文字が連なっている。

カンマ(,)のみで繋がっている。

この三曲は、最初がクイーン合作、次の2つはフレディ作詞と言われる。

最後の曲、Was It All Worth It(素晴らしきロックンロール・ライフ)も空白がない。

最後にピリオドが打たれるのみ。

「Was It All 〜(素晴らしき〜)」は、ほぼフレディの作詩らしい。


他の曲は切り替え時などに空白がある。

つまり、フレディが関わった曲はそうとわかるように、このような形態になってるのではと考察した。


さらに、

この「スキャンダル」の詩も空白がないのだ。

最近気づき、衝撃だった。


ということはフレディが関わった?

ブライアンっぽい気もしたが、共作だろうか?


とにかく、歌い方が半端じゃない。

ドラマティックなのだ。


この時、フレディ重病説も飛び交い(ライブをやめた、メディア露出も減った、なんか痩せてきた)、フレディも報道の攻撃を受けていたはず。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」では、1985年までしか描かれなかったが、

フレディへのマスコミの質問攻めのシーン(生い立ちや病気、性的嗜好)があった。

ポール・プレンターさん(フレディの元秘書、映画での悪役)に売られ、パパがAll QUEEN’s menという見出しのthe sun誌かなんかを読むシーンもあった。


またクイーン自体が、デビュー初期から記者に心無い記事を書かれつづけた過去がある。

例えば、「フレディが日本が好きなのは出っ歯が多いからだろう」、など、本当にサイテーのことをイギリスの記事(一部の)は書く。音楽性など関係なく、これはイジメ、モラハラにあたる。


メンバーも昔から怒っていて、戦いつづけてきた。

逆に言うと、彼らの結束を強めたとも言える。

悪、モラハラいじめに立ち向かう。


とにかく、ブライアン作と言われるが、フレディと共作なのか?

共作名義なのは、二人だけなら、

Is This the World  We Created(悲しき世界)のみだ。

あと、Seven Seas Of Rhye(輝ける七つの海)のブリッジ・エイトの部分はブライアン作だと本人が言ってる。


私はスウィート・シスター(”Sail Away Sweet Sister “)も疑っている。


考察するに、

この曲は二人のマスコミへの怒りが頂点に達し、


恐らく二人の気持ちがシンクロしたのでないか。


ブライアンの痛みが100%フレディに伝わった可能性がある。

よくぞ書いてくれた、と。

だから歌詞カードには空白がなく、フレディは自分の怒りのテーマ曲と認定した表れではないか?地味だけど。


とにかくかなり惹かれる曲なのだ。


傑作への叩き台?説

この1、2年後に「ショー・マスト・ゴー・オン」という最後の傑作が作られるが、

こちらはブライアン本人が作詞は自分だと言ったので間違いない。

ブライアン歌唱のデモを聞くとフレディは

「またブライアンが僕の喉を壊そうとしている!」と文句を言うとともに

「この曲に命をかける」と宣言したという。


まるで、32歳の秋元康作詞の「川の流れのように」を遺作にした美空ひばりのよう。


やはりこのペアは黄金ペアだった。

最期はブライアンが引導を渡し、フレディは安心し、死出の旅へとついた。と思う。


フレディが(心の奥で)こうして欲しい、というのをかなり汲んでいたと思う。


その一段階前がこの歌ではないか。

痛々しい内容なのに、皮肉たっぷりなのに、なんかフレディがイキイキしてる。

ミュージックビデオの演技はノリノリだ。

ロジャーは最もつまらないビデオだ、みたいなことを言い、その通りだが、フレディの演技から目が離せない。

可愛い。

病気のため、足に致命的な傷があったというが、そんな動きしたらもげちゃうんじゃ?とハラハラする。

この曲をあまりに熱心にフレディが歌い、演技し、喜んでいるみたいなのを、ブライアンは感じ取って、それで次作(ショーマストゴーオン)が生まれたのではないか?

※フレディはブライアン作のラブソングの「セイブ・ミー(1980)」や「トゥー・マッチ・ラブ・ウィル・キル・ユー(1988-89?)」などがお気に入り。第三アルバムの「ディア・フレンズ(1974)」も「こんなのが書けるんじゃないか!」などと誉めたという。


私が最も惹かれる部分は最後。

まさかブリッジ(変曲)部分で終わるとは。

怒りや嘆きの歌唱、演奏から一転し、最後に穏やかな優しい声になる。

皮肉を通り越して、達観の域だ。


これはショー・マスト・ゴー・オンの

ブリッジ部分に似ている。

ダークな重々しいプレッシャーな感じから、ここだけ光を隠しているかのようだ。

今日はヘッド・ライン、明日はハード・タイム。

昨日のフェアリー・テイル(おとぎ話)は、幾度となく花が咲いても、決してついえることはない。


まとめ

ショーの仮面の下で、苦しみもがいている。

この姿を描いてくれた。

なぜかそこにある滑稽さというか、ユーモアというか、余裕というか、どこか客観視したところが。

誰もが自分の人生の俳優だから、という、共通概念があるからか(シェイクスピアのように)。


フレディの詩や言葉には、常にそこに、「観客」という概念があったように思う。

バンドという生き方自体がそうだが。

お手本を示してくれている気がする。

例え反面教師だとしても、全てを見せてくれているような。


13作目のアルバム「ミラクル」以降は、クイーンの曲は誰の作詞なのかあやふやだが、そんなことはどうでもいいはずだ。

だってこれは真実の物語だから。


Queen - Scandal (Official Video Remastered)


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