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【心がすさんでない人は見ないで!】危険!デス・オン・トゥー・レッグズ和訳【QUEEN傑作】

「クイーンの最高傑作」。

当時のフレディ・マーキュリーが断言した4作目のアルバム「オペラ座の夜」(1975)。

メンバーはその時否定していたが、最終的にはその通りになってしまった。

その一番最初を飾る曲がこちら。


※注意

かなり悪口がすごいので、気を付けてください。

ある意味すがすがしいですが。


はじめに

(概要)

曲名:デス・オン・トゥー・レッグス
原題:Death On Two Legs(Dedicated To......
収録アルバム:4作目「オペラ座の夜」(1975年)
時間:3'43''くらい
特徴:アルバムのオープニング・トラック


以前訳した「フリック・オブ・ザ・リスト」の次回作と呼ばれる。


当時のマネージメントへの怒りがモチーフとなっている。


前作は、華麗なピアノから始まり、アラビア風サウンドにエフェクトのかかった呪いのような歌い出しと、色っぽい感じのサビコーラスで、怒りを芸術に昇華した。

しかし、あまりマネジメント陣に響かなかったようだ。


今回は最初から怒りを込めて歌われる。

もうおサラバする気が満々だ。


マネジメントの契約のせいで、ヒットしてるのに借金地獄みたいになっていたが、この曲で訴訟を起こされて、さらに違約金みたいなのを払うことになってもリリースした。

結局、マネジメントがエルトン・ジョンのマネージャーでもあったジョン・リードに代わり(映画「ボヘミアン・ラプソディ」にもでてきた)、このアルバムも大ヒットして、その後も自分達で経営したり、世界一になったり躍進をして、この問題は過去のものとなった。

めでたしめでたし。

映画では当事者は架空の人物(マイク・マイヤーズが演じた)だったが、本当にドラマチックである。


この曲の特徴のひとつは、なんといっても始まりのこのサウンド。


華麗なピアノから始まるのは同じだが、その後しばらく続くサウンドが怖い。


不協和音みたいなライン。

恐らくロジャーさんの高音の阿鼻叫喚か、ギターの人声。

音が急に切り替わり、マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーンのピアノリフが始まり、ギターに引き継がれ🎸、ギターはまたもアラブ風呪いサウンドを奏でる。

ここのギターソロも聴かせどころ。

作詞者のフレディがコードを指示したという。悪意に満ちている。


歌い出しから、タンゴのリズムに乗って、怒りを表す。

おどろおどろしいセリフに加え、歌い方がリキが入ってしまっている。


次の、あえて音を外したような不協和音のようなリズムからは、当事者なら聞いた瞬間血圧が急上昇しそうな文句が並べ立てられていく。


前作の記事で前述したが、この曲は動物が7種類出てくる。


タイトルは「2本足」の死なので、人間を思わせる。

死という、生き物ではない「概念」に2本の足(足が2本の動物は人間しかいない)を持たせておきながら(スフィンクスのなぞなぞのように)、

最初に出てくる動物はまさかの足なし

しかも、昆虫の中でもイモムシ系の無脊椎動物。


その後も韻を踏んでとんでもないことを述べている。


しかし、あまりにリズム感がよく、一周回ってかっこいいとさえ感じてしまう。


いじめっ子や強大な権力者を言葉の力でやり込めているような爽快感まで感じる。


これが最高傑作の幕開けとなるわけだ。


それでは歌詞について、動物に注目して見てみたい。

あなたはいくつわかるかな?


歌詞

"Death on Two Legs (Dedicated to......)
Written by Freddie Mercury

You suck my blood like a leech
You break the law and you breach
Screw my brain till it hurts
You've taken all my money-you still want more,

Misguided old mule
With your pigheaded rules
With your narrow-minded cronies who are fools
of the first division-

Death on two legs-
You're tearing me apart,
Death on two legs
You never had a heart of your own-

Kill joy, Bad guy,
Big talking, Small fry
You're just an old barrow-boy
Have you found a new toy to replace me,
Can you face me-

But now you can kiss my ass goodbye

Feel good, are you satisfied

Do you feel like suicide (I think you should)
Is your conscience all right
Does it plague you at night,
Do you feel good - Feel good!

Talk like a big business tycoon,
You're just a hot-air balloon,
So no one gives you a damn,
You're just an overgrown school-boy
Let me tan your hide.

A dog with disease,
King of the 'sleaze'
Put your money where your mouth is Mr. Know all,
Was the fin on your back part of the deal...(shark!)

Death on two legs
You're tearing me apart
Death on two legs-
You never had a heart (You never did)
Of your own (Right from the start)

Insane, you should be put inside,
You're a sewer rat decaying in a cesspool of pride
Should be made unemployed
Then make yourself null-and-void,
Make me feel good
I feel good.

(直訳+手直し)
デス・オン・トゥー・レッグス(○○○に捧ぐ)

【1節】
あなたはヒル(リーチ)のように私の血を吸う
あなたは法律に違反し、約束(ブリーチ)も破る
あなたは痛むまで私の脳を締め上げる
あなたは私のお金すべてを取った
ーあなたはまだ欲しい

見当違いの古いラバ(ミュール
あなたの豚と同レベルの頭の(頑固な)ルール
あなたの偏狭な馴染み連中を引き連れて
彼ら(フーwho)は、フール(馬鹿)の超一級クラス

[コーラス]
デス・オン・トゥ・レッグズ
あなたは私を引き裂いている(ア・パート
デス・オン・トゥ・レッグズ
あなたはあなた自身の心(ア・ハート)を持っていませんでした

キル・ジョイ(興覚め)、バッドガイ(悪い奴)
大口たたき(ビッグトーキン’)、雑魚(ざこ:スモールフライ
あなたはただの老いた行商人(オーゥル’バロゥ)の少年(ボーイ)です
新しいおもちゃ(ニュー・トーイ)を見つけましたか?
私に代わる(トゥ・リプレイス・ミー)ような。
私と向き合うこと(ニュー・フェイス・ミー)ができますか?
しかし今、あなたは私のお尻(アス)にキスすることができます
さよならの(グーッバーイ

いい気分(フィール・グーッ)?
あなたは満足していますか(サティスファーイド)?
自×したいと感じますか?(フィールラーイク・スーəサーイド
(私はあなたがそうあるべきだと思います)
あなたの良心は大丈夫ですか(オールラーイト)?
それは夜あなたを悩ませますか(アット・ナーイト)?
いい気分? (いい気分?:グーッ

【ギターソロ】

【2節】
大企業の大物(タイクーン)のように話す
あなたはただの膨張した熱気球(バルーン)です
だから誰もあなたに少しも敬意(デァーン)を払ってない
あなたはただの育ち過ぎの男子生徒(スクール・ボー)です
(おしおきに)鞭打とうか(ハード)

病気(ディジーズ)を持った犬です
あなたは低俗(スリーズ)の王様です
あなたのお金(マニー)を入れてください、
あなたの口がある(イズ:is)ところに
ミスター「知ったかぶり(ノーゥ・オール)」さん
背中(バーック)にあるヒレ(フィーン)は契約(ディール)の一部(パート)でしたか?
(サメ!:シャーク)

[コーラス]
デス・オン・トゥー・レッグ
私の心を引き裂く(アパート)
デス・オン・トゥー・レッグ
あなたは心(アハート)を持っていませんでした(あなたには決してありませんでした)
あなた自身の(最初の最初から:スタート

狂ってる(インセイン)
中に入れられる(プッリィンサイド)必要があります(牢の?)
あなたはドブネズミ(ーəラット)です
プライドの汚水溜まり(ス・プールォブ・プライド)で腐敗している
失業させるべき(エン・プロイド
それから自ら(ルフ)を法律的無効(エンボイド)にして
私はいい気分(いい気分:グーッ


7つの動物はわかっただろうか?


英語歌詞の太字にしてあります。

日本語歌詞は(ほんの)一部の韻をカタカナで示しています。


では動物について、順に解説していきたい。

A.動物

1.leech:リーチ、ヒル(蛭)

前述。

最初がまさかの足なしの「虫」です。

人の利益を吸い取るものという意味もある。

韻はブリーチ(約束などを破るという動詞)と踏む。


2.mule(ミュール):ラバ

ラバは、馬とロバのミックスのことで、見た目も両者の中間の家畜。

ピンヒールみたいな靴(ミュール)も同音。

動物ミュールは、日本では馴染みがないが、英語圏の子供達が読み書きを覚えるフォニックスでは、ロング・ユー(u)としてよく出てくる。

a、i、u、e、o(あいうえお)を単母音の基本として、その「u」。

ウーやユーと読む。

詩の1番の中盤は、ミュール、ルール、フールと韻を踏む。(血圧上昇ポイント)


また、

スガイデッド、オール' ュール

と頭文字Mが一致でリズム感。

「ラバのように頑固」という言葉もある。


3.pig:ピッグ🐖豚

ピッグ・ヘッデッド🐷ルール。

「pigheaded」は融通の利かない、頑固な、という意味で、悪口である。

良い意見にも耳を貸さない。

pigには、不快な人物。(また、人種差別者という意味も。)

ラバ同様、形容詞化した-ed(デッド)で終わり、dead(死んでる)と同じ発音。


ちなみに3つ目の韻、「フール(馬鹿)」のところも

そう呼ばれた「偏見のある馴染み連中」は

narrow-minded、ナロウ・マインデッドと、やはりデッド。

pigheadedと同じような感じで、新しいことに不寛容な、偏見のあるという意味。


この3つ(ミュール、ピッグ・ルール、フール)の形容詞デッド(ミスガイデッド、ピッグ・ヘッデッド、ナロウ・マインデッド)を合わせると、彼はフレディたちの新しいアイディアを受け付けなかったようだ。

(これは後から考えると大金を逃していることになる。)


ちなみに、ナロゥとクローゥニーズ(馴染み連中)は韻「オゥ」が同じ。

さらに、

フー(who)・アー・フールズ(fools)も、フーが似た発音。

Fは下唇を噛む擦れる音がポイントだが、歌うとその小さな音は薄れる。

「フール」もある意味「生き物」と言えるかもしれない。


とにかく、意味も韻も、悪口ながら、とても練られているのがわかる。


3.5.Death:デス(死)

このように大文字だと、「死神」という意味もある。

辞書によると「ガイコツのような生き物」だそうで、生き物と言える。

また、足のない日本のお化けと違って、多分2本足がある。


4.small fry(スモールフライ):雑魚

蝿(ハエ)のflyではない。

これは、稚魚などの小さい魚などのほか、「子供(たち)」という意味もある。

fish同様、複数形で用いられる。

馴染み連中も含むのか。小物が集まりあっている感じを示す。


この曲は(老いた)子供という表現もよく出てくる。

最初にbad guy(ガイ:男)といって、韻を踏んで、

big talking→small fry(フライ)とくるので、

「大人の男」に対して、「だがお前はただの子供」ととどめを刺しているのかもしれない。

実際、続く詩は、「お前はただの老いた行商人の少年だ」なので、意味も続いている。


因みにold barrow-boyも、「オゥルド・バロゥ」で「オゥ」で同じ韻が続く。

行商人は、手押し車(wheelbarrow)でモノ(英:果物)を売る人で、は、それは彼が商業(ビジネス)界の人物だからだろう。

頭文字Bも連続している。最初(bad guy)からBが多いセクションでもある。


5.dog:ドッグ、犬

猫好きの彼だが、苦手な犬が出てきた。しかも病気持ち。

狂犬病だとすると、野良犬。噛まれると病気がうつる。

曲中の「plague(プレイグ:悩ませる)」にもペストなど疫病など病気の意味がある。

犬自体も軽蔑的な意味として使うこともある。



6.shark:シャーク、サメ🦈

恐らく、この尾びれや胸びれしかない魚のような動物がピーク

耳元でささやくように、語り掛けるように発音される。

伴奏もここだけほぼない。


今までは、動物の名を言う時にyou areというのは避けて、「のように」、とか、ただ単語だけ連呼したが、これは、セリフのようだ。

しかも

Put your money where your mouth is Mr. Know all,
Was the fin on your back part of the deal...(shark!)

(あなたの口のある場所にあなたのお金を入れておけ、「知ったか」氏、その背中のヒレは契約の一部だったのか、サメ。)

と、かなり厳しい。


put moneyといえば、銀行とか財布、金庫とかに入れるが、口のある所に入れろという。あのジョーズのような巨大な口に。

最初からbig talkingとか、talk like a big business tycoonというので、大口(おおぐち)の、口の大きなイメージかもしれない。

サメやヒレは、1975年6月米公開のスピルバーグの映画「ジョーズ」を反映すると思われる。センセーショナルな音楽はジョン・ウィリアムズ(アカデミー賞)。

海面に三角形の背びれ(fin)が迫ってくるときの恐怖のメロディが社会現象となった。


サメは、お金などの搾取者を言う場合もある。

クイーンの中では、音楽業界の若いミュージシャンの搾取者を表すようだ。


where your mouth is

という、婉曲表現は、isで韻を踏むためか(disease, sleaze)?in your mouthだとあまりに失礼だからか。ジョーズの巨大な、そして血なまぐさい牙だらけの口をイメージさせるためか。


続きの

Mr. Know allについて。

know-allは、アメリカではknow-it-allと呼ばれ、「何でも知ってるふりをする人」という悪口。

big talkingなどと同様、「大口(おおぐち)」、というわけか。

ノーゥ・オールも、「オーゥ」と発音が似ている。

ここは、1番では同じメロディなのは「フーウーウー(ルズ):fools」のところで、遠吠えのように伸ばされる。


あとは、ここは頭文字Mがやたら多い。

Put your money where your mouth is Mr. Know all,

歌いだしの最初最初のmoneyが出てくるところも、my momeyやmoreと出てくるし、続くmisuguided old muleなど、M続きの箇所も多い。


まとめると、

契約にジョーズ(お前)の背中についている背びれ(殺戮の象徴)まで入ってるなんて思いもしなかったよ。だって後ろについてるから見えなかった、卑怯者め。口ばっかりの嘘つき野郎。お前の巨大で血なまぐさい大口に大好物のおまえの血なまぐさい大(俺たちからもとった)を蓄えたらどうだ。すごく広いから狭い銀行なんかよりピッタリだよ」。


7.rat:ラット、ねずみ

最後はドブネズミ。

もうここでは動物の中で初めて、歌詞カードでは「You're」と言ってしまっています。

あなたは下水をはい回るドブネズミだ、しかも、プライドの汚水だまりで腐っている)

タンゴのリズムで。3人のコーラスに乗せて。


ratは、mouse(マウス)よりも大型のドブネズミ。

sewerという「下水の」、がつくので、マンホールの下とかにいるタイプ。

cess poolも汚水だまり。


ネズミは、アルバムの順から言って彼の最初の曲とも言える、自らを表すような、「グレイト・キング・ラット」を思わせる。この「汚らわしい老人」も伝染性の病気(梅毒)が原因で44歳に亡くなるという物語。

(しかし、44歳で死ぬ人は本当に「老人」なのか?ちょっと若すぎないか?当時だとしても。多分心のことを言っている)

とても興味深い。


このセクションは、prやplやP、頭文字や発音「S」の多いセクションです。

Insane, you should be put inside,
You're a sewer rat decaying in a cesspool of pride
Should be made unemployed
Then make yourself null-and-void,
Make me feel good
I feel good.

基本的な韻は、冒頭の日本語訳でも示したように

各行の終わりの単語、

インサイドープライド、エンプロイドボイド、グッx2

(アイド、オイド、ウッド)

です。


ほかにも

最初の「インセイン(狂人)」と「インサイド(牢の中に入れられる?)」という似ている発音のほか、

「イン」も全6つあります(インインインサイド、ディケイニンニンナ、アニンプロイド)。


まだまだある。

是非、歌ってみて、発見してほしい。


Queen - Death on Two Legs (Official Lyric Video)



動物はこれくらいにして、罵り言葉など、他の要素についても5つくらい述べたい。


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