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行きたくないには理由があった【息子が幼稚園へ泣かずに行けるまで②】

ようやく少し心に平穏が訪れた。

心配ごとや不安や恐怖、悲しみや苦痛、そんな感情に心が支配されている時、私は周りを見る余裕が失くなる。

幼稚園に通い始めた息子が毎日、泣きながら行きたくないと訴えていた。

毎日号泣する息子をバスに乗せるのは、前日から憂鬱極まりない苦痛を伴った。

昨日は仕事に行かなくてはならない日だったから、泣いてバスに乗る息子を見送り、気持ちを切り替えて、お客様の所へ向かわなければならなかった。

しんどい。

幼稚園での息子の事を考えると、食事も喉を通らない始末。

なんとか仕事を終わらせ、家について、いつもならそのままバスで帰ってくる息子を待っているのだが、昨日は幼稚園へ直接迎えに行った。

すると、息子は幼稚園の先生に抱っこされながら泣いているではないか😨

誰も、そんな子はいない。

みんな迎えに来たお母さんの顔を見つけて笑顔で教室の入口に集まってきている。

迎えに来たお母さん達は、一列に並び順番に今日の様子を先生から報告されている。

これは、これは、酷い。

息子が寂しくて、一人ぼっちだと言っていた理由が分かった。

この儀式が終わって2便のバスが出発するまでの30分間、息子は一人で待っていなければならないのだ。

こりゃ、寂しいはずだよ。

皆はお母さんと一緒に帰っていくのに、自分は一人ぼっち。

大人だってこんな状況、嫌だよ。

迎えに行った日は、夜お風呂で泣かずに、

「明日も迎えに来る?」

そう問いかけられた。

「行くよ。」

私がそう答えると、息子は安堵したようにいつもの様にお風呂で遊び始めた。

今朝はバスをやめて直接園へ送って行こうかと思ったけれど、息子に聞くと、
「バスで行きたい!」と言う。

それなら、雨も降りそうだし、バスに乗りましょうか。

息子はバスに乗ることはやはり楽しいようだ。

そして、今朝、あんなに嫌がっていた幼稚園の準備を自ら始めた。

ポロシャツのボタンをとめられる様になって、得意気になり、私が履かせようとした靴下を自分で履き始め、軽やかな足取りでバス停に向かった。

その変わりようにビックリ仰天だ。

バス停でしばらく私の胸に顔を埋めていたが、バスが到着すると、泣かずに自らバスへ乗り込んで行った。

昨日とは別人の様な姿に、私は肩の力が一気に抜けて、

なーんだぁ、と心の中で安堵の雄叫びをした。

こんなことなら、早く迎えに行ってあげれば良かった。

幼稚園での様子を見ていない母親からすると、子どもが何が嫌なのか、分からない。

ただ、母親と離れることが悲しいのか、それとも幼稚園で嫌なことがあるのか、推測するしか術がない。

いくら先生から園での様子を報告されたとしても、先生がその子が泣く理由を分かっていなければ、親も分からない。

結果、子どもはずーと幼稚園を嫌がることになる。

若い少女の様な幼稚園の先生達は大変だ。

園の方針、やり方に従い、親の要望に真摯に対応し、子どもと笑顔で接する。

そんな仕事、よほど肝っ玉の座ったお母さんでないと、勤めるのは難しいと思う。

ただでさえ、子どもが好きな心優しい方々なのだから、心労で職をやめる方も多いことだろう。

私が今、こうやって心穏やかになったのも、全て息子が泣かずに幼稚園へ行ってくれたからだ。

あの状況が続いていたら、息子も私も毎日暗い気持ちで過ごしていたことだろう。

幼稚園を嫌がる子どもは、母親に甘えたいだけだなんて、全く違うと思う。

親としてはなんとか行って欲しくて、頑張るが、嫌がる理由が解消されない限り、子どもは変わらないと思う。

幼稚園へ行っても、最後の最後に嫌なことが待っている状態の息子は、きっと1日憂鬱だったに違いない。

本当に可愛そうな事をした。

怖がりでさみしがりやな息子には、あのバスを待つ魔の30分間、先生に抱きつくしか、心を保つ術がなかったのだろう。

今朝は今まで学級閉鎖になっていた違うクラスの子がバス停で大号泣。
きっと昨日初めて幼稚園で、息子と同じような気持ちを味わったのかもしれない。

先生に抱っこされてバスに乗せられて行った。

うぅ、昨日の我が子を見るようで胸が痛い。

私が園へお迎えに行けば、1時間も早く息子に会うことが出来る。ゆっくり買い物して帰っても、まだバスは到着しない。

こうして毎日の出来事に一喜一憂しながら私は生きている。

息子の悲しみは私の悲しみ。

それを身をもって体験した。

心は変わる。

天気と同じだ。

穏やかな日は、周りを見る余裕が生まれる。

心とはそういうものだ。

さて、今日も一番乗りで、お迎えに行こう❗️




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