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[2/3]一般意志2.0とITシステムの未来―東浩紀 『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』を読んで

第1回:一般意志2.0とAI
第3回:AIとコミュニティ

この記事は、あくまで東浩紀氏の「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」を読んだ方向けのものであり、私個人の感想と解釈を備忘録的に述べています。


複雑性縮小とAIの役割

情報の海に溺れてしまう現代人。インターネットは有益な情報源である一方、その膨大な情報量と広告等による過剰な情報は、私たちに混乱をもたらし、事態をより複雑にしています。そのような状況の中で、AIは複雑性を縮小し、問題解決のプロセスを整理・提示する役割を果たすことが期待されています。AIは必要な情報を適切に抽出し、状況や問題を整理する能力を持っています。このため、人々はAIを利用することで情報過多から解放され、よりシンプルな生活を送ることが可能になると考えられます。

パターン・ランゲージとAI開発

「パターン・ランゲージ」は、建築家とクライアントが共同でデザインを進める先進的な手法で、このアプローチはAI開発における新たな可能性を示唆しています。ユーザーのニーズと開発者の技術が直接結びつき、共にプロダクトを形成する形の開発が可能になります。このような協働により、ユーザーの視点や経験が直接反映され、AIは単なる労働力供給装置ではなく、人間の理解者、そして人間の問題解決に対する真の貢献者となる可能性があります。

カント主義的な視点からのビッグデータ解析

ビッグデータ解析においては、通常は功利主義的な視点が取られがちです。つまり、人間はその行動や嗜好などから解析され、それに基づいてAIやマーケティング戦略が進められます。しかし、人間の全てが行動データから捉えられるわけではありません。

ここで重要となるのがカント主義的な視点です。人間の尊厳や自由、自己目的性といった価値観を尊重し、それらをデータ解析に反映する試みが求められます。例えば、個々の人間の感情や意志、価値観を理解し、それに基づいてAIが適切な対応を行うことが理想的とされます。そのような視点を取り入れることで、より個別化され、人間中心のサービスが提供可能となり、AIの役割も人間の理解者、そして問題解決者へと進化することが期待できます。

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