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[3/3]AIとコミュニティ―東浩紀 『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』を読んで
第1回:一般意志2.0とAI
第2回:一般意志2.0とITシステムの未来
この記事は、あくまで東浩紀氏の「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」を読んだ方向けのものであり、私個人の感想と解釈を備忘録的に述べています。
人間の仕事、AI、そして社会的不平等
社会的奴隷制や人間の不平等は、人間が一人または少数で達成可能な仕事や技術から距離を置くことによって引き起こされるとの説が存在します。大規模なプロジェクトや事業を成し遂げるための人間の協力は魅力的ではありますが、これは同時に社会的な対立構造を生み出す可能性もあります。
AIがここにどのような影響を与えるのかはまだ明らかではありません。もしAIが個々の生産性を大幅に高め、ほとんどの人が単独で大規模な事業を遂行できるようになったら、社会はどのように変化するでしょうか? それによって人々の社会的地位はどのように変化し、新たな対立が生じるとすればその性質はどのようなものになるのでしょうか?
AIと人間の無意識
フロイトによれば、人間の「間違い」や「忘却」は無意識の欲望を表すものです。同様に、人間のデータを学習するAIにとっても、これらの「間違い」や「忘却」は有用な情報源となり得ます。これらの欠点が存在すること自体が、人間の無意識を反映したものであり、それは情報量としては増加すると言えます。そのようなデータを学習するAIは、単にテキストを生成するだけではなく、人間について人間自身以上に知る存在になる可能性があります。
AIと心の揺れ
SNSの世界には、人間のアカウントを模倣するボットやAIが溢れています。これらは特定の意見に議論を誘導したり、偽のムーブメントを作ることにも利用されます。しかし、それだけではなく、AIは人間にとっての壁打ち相手として、あるいは新たな思考の刺激となる存在としても機能することができます。AIが人間の心の揺れを引き出し、新たな思想を創出する原動力となる可能性があります。
AIと多様なユートピア
AIが個々人の幸せを実現する手段としてどのように機能するかについて、ロバート・ノージックの「複数のユートピアのためのフレームワーク」の議論は示唆に富んでいます。人間の幸せの形は多様であり、その多様性を反映した社会制度の形成が理想的なユートピアとなることでしょう。しかし、それぞれの人間が自己の幸せを追求する結果として、孤独な社会が形成される可能性もあります。幸せの形は個々人だけでなく、人と共有することもまた、真の幸せを追求する上で必要なのかもしれません。
以上、東浩紀の「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」を読んで得られた洞察を基に、AIの存在とその可能性について考える機会を持ちました。引き続き、読書を通じて新たな視点を探求し、その中でAIが果たすべき役割を模索していきたいと思います。
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