見出し画像

開発者目線で考える怒りのマネジメント

「私は温厚な人間です。」

とは言えません。怒りの感情を持つ度合いは人それぞれとして、怒りの感情を持たない人はいないと思います。アンガーコントロールなど、普段から気をつけている方もいらっしゃると思いますが、怒りはなぜ生まれるのでしょうか?開発者目線でつらづらの話していこうと思います。

君には期待しているよ」で読み解く1つ目の因子

こう言われて皆さんどう思うでしょうか?「よっしゃやったるぜ!」と思う脳みそ筋肉な方もいると思いますが、恐怖を覚える人もいると思います。なぜでしょう。
それは期待と怒りが表裏一体であることを本能的に感じてるからだと思います。

私は精神科の先生でもないし、説法の上手な坊主でもないですが、怒りは何かしらの期待が裏切られたときに発生すると思っています。
「あんなに世話してやったのに」
「期待してやったのに」
”のに”がつくとだいたい怒りになります。求めていた期待が達成されなかった。そんなときに人は怒りを覚えます。

仕事場で怒ることは殆どないのに、なぜか子供には当たってしまうのは?

私はそうです。今時にご時世、職場で怒鳴りちらしていたら一瞬でコンプライアンスアウトですが、それを差し置いても子供の対応は仕事よりしんどい。ワクチン接種して痛い左腕にタックルしてくるし、寝たいのに叩き起こしてくるし、勉強したいのに折り紙を折ってくれって言ってくるし。
基本的に、大人は1日の行動のほとんどを邪魔されずに生きています。つまり邪魔されないことを期待しています。しかし、子供は究極のKYなので、これが叶いません。そんな大人の予測の上をいく子供の行動に、どうしても怒りを覚えてしまうのです。

車に乗ると性格が変わる人

車のハンドルを持つと急に怒りやすくなる人もいます。
「あいつどこ見て運転してるんだよ」
「さっさと行けよ」
などなど、声を荒げる人もしばしば。これも他人に上手な運転を期待しているからだと思います。自分の予測を超えた変な動きをされると、期待を裏切られ怒りを覚えます。

怒りを生むもう1つの因子

とはいいつつも、同じことをされて怒るときと、優しく対応できるときがありませんか?そこで現れるもうひとつの因子が「余裕」です。人間は余裕が無くなると、怒りのハードルがぐんと下がります。例えば時間が迫っているときなどの時間的余裕、お金がないときの金銭的余裕、仕事を抱え込んでいるときの能力的余裕など。

車の運転をしているときは、目的地に到達すること、何時までに到達する必要があること、安全を確保することなど、自分のもつ数々の余裕を削ることになります。そのため、些細なことが怒りを生むようになります。
また、子供に対して当たるときも、大体朝の余裕のない時間だったり、夕ご飯や寝かしつけが迫ったときだったりと、余裕がないときに起こります。

ライトスタッフ

この記事でも少し触れましたが、宇宙飛行士には、温厚で他人を思いやる心を持った人が選ばれます。それには明確な理由があります。

極限状態の環境で仕事をする必要があるので、怒りっぽい人を受け入れる余裕がありません。航空宇宙業界において、コミュニケーションがとれ、ストレスが軽減できることは、安全確保上必須の項目だからです。

じゃあ、怒りを感じないようにするにはどうしたら良いか。それは「期待」か「余裕」どちらかの因子を無くせばいいんです。両方取っ払う必要はありません。片方でいいんです。子供が何しても許せるときって、基本的に他にやることがないときじゃないですか?

開発者としてできること

開発者として一つだけ、ユーザーのストレスを軽減するものがあります。それが人間の時間的、能力的余裕を与えてあげること。金銭的余裕をユーザーに与えてあげることは難しいですが、この二つなら、やりようによってはどうにかなります。

Bedford rating sclale

これは、飛行機を操縦する上でのワークロードを評価する、世界的な評価基準の一つです。この評価が低いと判断されると、最悪開発のやり直しということになります。それだけワークロードは安全を阻害するものとして扱われています。ちなみに似たような評価基準がもうひとつあります。

Cooper Harper HQ rating Scale

Cooper Harper HQ Rating Scaleというもので、操縦性を判断する際に使うものです。お気づきの方もいると思いますが右下にはNASAの文字が。航空機の操縦性を判断する基準として使われていますが、もちろん宇宙船やロボットアーム、月面探査機などにも適用できます。つまり、将来のあなたがこれを使って機材の評価をすることになります。機材が宇宙開発を行う上でストレス因子となるなら、容赦なく不採用の印を押さなければいけません。

怒りを感じる必要がないようにするために

怒りを人に当てる人、自分に向ける人、様々いますが、究極は怒りを感じる必要のない人生を歩むことが大事だと思います。それは「期待」か「余裕」どちらかさえコントロールすることができれば叶います。
人に期待しない人って、ある意味アンガーコントロールが上手だなと思います。今日は〇〇さんと仕事する、きっとあの人はこれができない、こう言ってくると構えていると、意外とイライラしないかもしれません。自分が怒りを覚えた理由を客観視してレビューを行ってもいいと思います。人と会うのが苦手なら無理にOPEN DOOR MINDである必要もありません。

まとめ

最近になってですが、私は自分がストレスを感じないようにするために、1日の計画を立てるようにしました。事前の対策で「期待」と「余裕」をいい感じにマネージメントできると気持ちよく夜を迎えられます。また、妻にも”してあげたのに”より”してあげたいからする”を意識するようにして、いい感じにやっていけています。

まぁでも子供は別格ですね・・・。
明日から子供達はグリーンカードを渡された宇宙飛行士試験のスタッフだと思うようにします。


Aviator.